ライスミルクとは精製米や玄米を水と混ぜた穀物のミルクで、アメリカで流行の「第三のミルク」です。
カロリーは牛乳コップ1杯(200g)が134kcalなのに対して、ライスミルクは66kcalなので、カロリーを約50%抑えることができます。
『日経トレンディ』で2015年のヒット予測ランキング4位にランクインし、日本でもブームの兆しを見せる「ライスミルク」を詳しく調べました。
ライスミルクと牛乳の違いは乳糖の有無
ライスミルクの歴史は、アメリカのベジタリアンが動物性の牛乳の代わりに作ったことが始まりだそうです。
お米をミキサーにかけてすり潰したドリンクなので、ライスミルクは米のとぎ汁や甘酒とは違います。
牛乳と比較したライスミルクのメリットはコレステロールゼロで低カロリー、腹痛や下痢の原因になる乳糖を含まない事です。
逆に牛乳と比べたデメリットはカルシウムやたんぱく質が少ない事ですが、市販のライスミルクによってはカルシウムが添加されているものもあります。
乳糖でお腹が痛くなる原因は、乳糖を消化する「ラクターゼ」という消化酵素が成長するにしたがって機能しにくくなるためです。
血液型ダイエットによるとB型以外の人は牛乳が消化しにくいそうです。
→A型は糖質制限で太るけどO型は痩せる?ダダモ博士の血液型ダイエット
ライスミルクの気になる糖質は冷やす事でダイエット効果がアップ!
ライスミルクで気になるのが、ダイエットの天敵と見られている「炭水化物=糖質」ではないでしょうか。
炭水化物は「糖質」だけではなく、「糖質」と「食物繊維」に分けられ、食物繊維は消化されにくいため血糖値の上昇を抑えてくれます。
さらに糖質は「糖質」と「糖質以外」に分けられ、糖質以外の「でんぷん」をお米は主成分にしています。
お米のでんぷんは硬さの「アミロース」と粘りの「アミロペクチン」の2種類に分けられ、「アミロース」は炊いてから冷めることによって「難消化性でんぷん」(レジスタントスターチ)という食物繊維が増えます。
アミロースはタイ米やササニシキ、コシヒカリに多く含まれています。
レジスタントは「消化されない」、スターチは「でんぷん」という意味で、レジスタントスターチはエネルギーになりにくく、整腸作用や生活習慣病の予防する効果があります。
レジスタントスターチが消化されにくい理由は、お米が加熱されて糊化した後に冷めることで、一部のでんぷんが再結晶化して消化されにくい構造に変化するためです。これを「デンプンの老化」といいます。
消化されないでんぷんのレジスタントスターチ11の効果
冷めたお米に含まれる「レジスタントスターチ」の11つの効果は以下の通りです。
レジスタントスターチの11の効果
- 時間をかけて吸収されるため血糖値の上昇を抑える
- 中性脂肪やコレステロールの上昇を抑える
- 中性脂肪やコレステロールを吸着&排出する
- 食欲を抑える「セカンドミール効果」で食事量を抑える
- 水分を吸収するのでお腹がすきにくい
- 通常のでんぷんの半分しかカロリーが吸収されない
- ミネラルの吸収を妨げず、助けてくれる
- インスリンが出にくくなり、体脂肪がつきにくくなる
- 大腸から吸収されて大腸がんを予防する
- 腸内を弱酸性に維持して悪玉菌を抑える
- ビフィズス菌などの善玉菌の栄養になる
急激に冷やすとレジスタントスターチになりにくいので、自然に冷ます事がポイントです。
最適温度は4~5℃なので冷蔵庫で保存した温度が最適です。
お米を冷やして飲むライスミルクはレジスタントスターチの効果を活かした飲み物と言えます。
レジスタントスターチは冷ますことで増える以外に、メカニズムの違いによって4種類に分類されています。
玄米や加熱前の生米にもレジスタントスターチは含まれています。
RS1: 雑穀のように硬い組織に囲まれていることで消化酵素がでんぷんまで届かないタイプ
RS2: 十分に加熱されていない未糊化のでんぷんやアミロースの極めて多いでんぷんなど、でんぷんの粒子自体が消化されにくいタイプ
RS3: 冷やご飯や春雨のように一度加熱されて糊化したあと、冷めたり保存する過程で一部のでんぷんが再結晶して消化されにくい構造に変化したタイプ
RS4: 加工デンプンの一種で、でんぷんを高程度に化学修飾することで消化酵素が作用しにくくなったタイプ」
レジスタントスターチを多く含む食材はじゃがいもや小豆
EUではレジスタントスターチを14%以上含む食品について「食後の血糖応答が小さい」という「ヘルスクレーム」の表示が認められています。
お米のレジスタントスターチ含有量(乾いた状態で100g)
白米 14.1%
玄米 14.8%
白米の他にも小麦粉製品やジャガイモ、バナナ、あずきなどにもレジスタントスターチが含まれています。
冷やすことでじゃがいものレジスタントスターチはお米の2倍以上 、小豆はお米の20倍 になるので、ポテトサラダや冷たい和菓子はダイエットにオススメです。
高アミロースのお米は粘りがなく、美味しくありませんが、低GIで健康的なお米です。しかし体に良くても、冷めてボソボソした食感のお米を食べるのは嫌ですよね。
冷たいライスミルクを飲む事で、美味しくレジスタントスターチの効果を得ることができます。
しかし糖質がゼロになるわけではないので飲みすぎには注意しましょう。
ライスミルクの購入方法と値段
ライスミルクの購入場所はナチュラルローソンやコストコ、カルディーファームなどの輸入品を扱うスーパーやネット販売が主流でした。
しかし2015年の5月1日からキッコーマンが缶入りのライスミルクを発売で、スーパーや薬局などで手軽に購入することができるようになってきました。
海外のライスミルクの値段は1000mlで300~600円程度と少し高めですが、手作りすれば安く作ることができます。
市販のライスミルクの原材料は玄米と白米があり、2種がブレンドされていたり、植物油や砂糖、塩などが入っている場合があります。
ライスミルクの見た目と味
ライスミルクは市販のものは甘味料が入っていたり、ココアなどのフレーバーが入った商品があります。
牛乳と思って飲むと全く違いますが、お米ドリンクとして飲めばさっぱりとして飲みやすいです。
ちゃんとお米の味(ライスミルクですから) 優しい甘みがgood pic.twitter.com/MPHmFjKXYb
— ପ꒰⑅りんのん°͈꒳°͈꒱੭ु⁾⁾ (@want_joshiryoku) 2015, 7月 5
スーパーで気になるものを発見!
ライスミルク。
味は甘酒。思った以上に甘い。
調べたら今年流行るかも!?とのこと。ほうほう(*´ー`*) pic.twitter.com/SArKdBZ0ec
— えどみん* (@edomi_320) 2015, 6月 10
ライスミルク買ってみた。ほんのり甘く、さらさらで美味しい。 pic.twitter.com/nr5fNmTvyZ
— Atsuko (@peridotto) 2015, 7月 11
ダイエットと美容の効果で選ぶなら玄米ベースのライスミルクがおすすめ
ライスミルクは玄米ベースの方がダイエット効果が高いです。
玄米の9つのダイエット効果をまとめました
玄米ライスミルクの9つの効果
- 食欲を抑制する作用
- ビタミンB1が糖質の分解を促進
- 脂肪の代謝を促すビタミンB2が豊富
- 代謝が良くなって肌の再生能力が高まる
- ビタミンEが活性酸素を中和して老化を防止
- カリウムがむくみを改善する
- セレニウムというミネラルが白髪を防ぐ
- フィチン酸が体内の毒素(環境ホルモン、農薬、水銀など)を体外に排出
- 食物繊維が豊富なので便秘を解消
白米を10年間食べてきた人は玄米を10年間食べた人と比較して体内の水銀量が10倍多かったそうです。
玄米を毎日続けるのは大変ですが、ライスミルクなら手軽に続けることができます。
玄米・発芽玄米・白米ライスミルクの成分比較い
発芽玄米と玄米、白米の栄養素の違いをまとめました。
こちらの表で比較すると、ギャバ(γ-アミノ酪酸)は発芽玄米に白米の8倍含まれています。
ギャバは脳の神経細胞の伝達物質として存在し、精神の安定や学習能力の向上に効果があり、脳卒中、頭部外傷後後遺症の頭痛、耳鳴り、意欲低下の治療にも使用されています。
白米は玄米と発芽玄米に対してビタミンEやビタミンB1,マグネシウム、食物繊維の量が少ないです。
白米の脂肪は発芽玄米と比べて3分の1です。しかし脂肪の量は白米を粉にした状態で100gに0.9g、発芽玄米が3.1gなのでそれほど気になる量ではありません。(カルビ肉100gに脂質は47.7g)
ライスミルクを手軽に手作りする3つの方法
ライスミルクはあまり日持ちしないので飲みきれる量をその都度作るようにしましょう。
ライスミルクを手作りする方法は3通りあります。
生の玄米でライスミルクを作る方法
【材料】
- 玄米 大さじ3
- 水 400ml
【作り方】
- 玄米を水につけて発芽させる(夏:半日~1日・冬:2~3日)※水は1日2回入れ替える
- 水をざるで切ってからミキサーに水と塩をいれて1~2分混ぜる
- 粒を茶漉しなどでこして完成
炊いた米でライスミルクを作る方法
【材料】
- 炊いたご飯・・・100g
- 水・・・・・・500ml
【作り方】
- 材料をミキサーに入れて1~2分混ぜる
- 粒を茶漉しなどでこして完成
米粉や上新粉でライスミルクを作る方法
【材料】
- 米粉 大さじ2
- 水 200ml
【作り方】
- 材料を混ぜるだけで完成
- レンジや鍋で加熱すると、とろみがついて滑らかになる
※後ほど詳しく作り方を解説します
お好みで塩をひとつまみ入れたり、砂糖や蜂蜜を加えてもOKです。
ミキサーを使わないでライスミルクを作ってみた
米粉や上新粉を使ってライスミルクを作れば安く大量にライスミルクを作ることができます。
今回は発芽玄米粉をこちらで1キロ750円で購入してみました。
米粉は大さじ1が約10gなので、さきほどのレシピで計算すると20gで200mlという事は10ℓ作ることができます。
米粉で作れば1ℓあたり75円で作れたので、かなり安いです。
中はこんな感じでした。粒子は小麦粉のように細かいです。
早速材料を混ぜてライスミルクの味を比較してみました。
①水と混ぜただけでは粉が喉に張り付く感じで美味しくなかった
②電子レンジ600Wで1分加熱すると、とろみが出て粉っぽさが半減
③さらにレンジ600Wで1分加熱。合計2分過熱すると餅っぽくなった
④③のライスミルクに水を100mlほど混ぜると②よりも粉っぽさがなく、滑らかになった
米粉でライスミルクを作ってみた結果は④が一番美味しいです。
電子レンジ600Wで2分加熱して、好みのとろみになるまで水を加えてから冷蔵庫で冷やして飲むのがおすすめです。
滑らかに作るポイントはレンジは30秒で1度止めてかき混ぜることです。
加熱しないと粉っぽくてあまり美味しくないですが、料理に使うなら混ぜるだけでOKなので手軽ですし、玄米の香ばしさがあるので慣れてくると癖になる美味しさです。
そのままだと味がないので、色々アレンジしてみると色んな美味しさを発見できそうです。
ライスミルクの作り方によるメリットとデメリット
ライスミルクの作り方によるメリットとデメリットをまとめました。
メリット
- 生米で作る・・・・生のデンプンの「βデンプン」は消化されにくく、血糖値が上がりにくい。吸収されなかったでんぷんは大腸で腸内細菌のエネルギー源になる
- 炊いた米で作る・・・余ったご飯で作れる。とろみが出る
- 粉末から作る・・・水と混ぜるだけで作れる
デメリット
- 生米で作る・・・生の玄米や白米には耐熱芽胞菌が存在し、100℃で数十分 加熱しないと殺菌できないため、家庭での熱殺菌レベルでは死滅しない。食中毒などの原因となる菌なので、作った後はすぐに飲まないと危険。お米をこす作業が面倒
- 炊いた米で作る・・・残りご飯の白米のライスミルクの場合は栄養価が低い。お米をこす作業が面倒
- 粉末から作る・・・粉末を購入する必要がある。商品によって米以外の混ぜ物が入っている
家庭用ライスミルクは食中毒を起こす危険性があるので以下の点に注意しましょう。
- 室温で3時間を越えたライスミルクは飲まないようにする
- 生米を使用したライスミルクは消化が悪く、食中毒が起こりやすいリスクがある
ライスミルクを生米で作る場合、土壌由来の耐熱芽胞菌は20℃~50℃で増殖するため、夏場は特に危険です。
家庭で手作りのライスミルクを作る場合は食中毒に充分注意してください。
ライスミルクのレシピ応用
ライスミルクあずきバー
レジスタントスターチたっぷりの小豆とライスミルクのあずきバーならダイエット中でも安心です。
卵も使わないライスミルクのビーガンフレンチトースト
材料が少なくても作れるヘルシーなフレンチトーストです。
“牛乳・卵なし”ビーガンフレンチトースト by ☆Mary♪☆
ライスミルクのベリースムージー
ライスミルクは牛乳と違い、ミネラルの吸収を妨げずに助けてくれるので、フルーツスムージーにピッタリです。
夏野菜ライスミルクシチュー
ライスミルクならシチューもお米のとろみでヘルシーに作れます。
あんにゃの夏野菜ライスミルクシチュー♡ by SKE48石田安奈
ライスミルクまとめ
ライスミルクはお米と水でできたドリンクなので、アレルギーを起こしにくく、低脂肪なのでダイエットのカロリーカットに役立ちます。
牛乳に比べるとカルシウムが少ないので、小魚や豆腐、ひじきなど、カルシウムを含む食物を積極的にとるようにしましょう。
ライスミルクの味はほのかな甘みで、料理に使うとお肉が柔らかくなります。
玄米ベースのライスミルクをドリンクや料理に取り入れて、デトックスとカロリーカットを始めてみませんか?