(2015年7月15日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

中国主導のAIIB、創設メンバー57か国に

必死の株価対策が講じられた後、人民元には下落圧力がかかる〔AFPBB News

 先週の中国株急落の光景は、世界金融危機の後に中国人が口にした自国の金融システムの優位性に関する満足げな発言を覚えている多くの西側観測筋の間に、他人の不幸を喜ぶ気持ちを引き起こした。

 そのような満足感は理解できる。この数日間ほど規制当局者と政府高官が必死になり、なすすべがないように見えたことはめったにない。

 上げ相場の速度を緩めようとする取り組みは、当局者が予見できなかった株価急落を食い止めるための壮絶で多面的な取り組みと化した。

 株価下落の多くの理由の1つには、喜んでお金を借りて、株価が上昇し続けることに賭ける投資家に資金を融通するシャドーバンク(影の銀行)の役割があった。

 また、シャドーバンクと、まさにこの脆弱性の原因を結びつけた外国人観測筋はほとんどいないが、識者は常々、シャドーバンクは最終的に中国政府を悩ませることになると警告してきたではないか?

「中国のロードランナー・モーメント」では済まない

 ある大手銀行の最高経営責任者(CEO)は「中国のロードランナー・モーメント」に言及した。

 アニメの鳥のロードランナーを追いかけまわす不運なワイリー・コヨーテのように、崖っぷちから飛び出してしまった経済が、地面がもう支えてくれていないことに気づき、落下する瞬間のことだ。

 しかし、これは中国だけにとってのロードランナー・モーメントではない。