中国・浙江省最大の造船会社、正和造船は今年3月、裁判所に企業再生手続きを申し立てた。2010年には従業員5000人が年間14隻の船舶を建造するほどの好況だったが、ダンピング受注と発注減少で経営が立ち行かなくなった。昨年12月には江蘇省の明徳重工、今年3月には同省の東方重工が経営破綻した。
昨年まで韓日を抜き、3年連続で受注世界トップの座を守ってきた中国造船業界が停滞局面に陥っている。今年に入って以降は破綻が相次ぎ、受注も激減した。2010年に一時は3000カ所に達した中国の造船所は現在100カ所余りに減少した。実際に受注活動を行い、正常に経営できている造船所となると20カ所余りにすぎない。
■ばら積み貨物船の発注減と円安が直撃
中国造船業の衰退はばら積み貨物船(バルク船)の発注減少と円安が主因だ。中国は自国の商船建造量の50%以上がバルク船を締める。しかし、最近のドライ貨物の運賃暴落で世界のバルク船発注量は過去20年で最低の水準まで減少した。昨年までの10年間はバルク船の発注量が月平均600万DWT(載貨重量トン数)に迫っていたが、今年は40万DWTと90%以上減少した。
中国と同様にバルク船を主力とする日本が円安を追い風に攻撃的に受注を伸ばしていることも圧力だ。低価格で中国に発注していた海外の船会社が日本の造船会社に受注先をシフトしているからだ。JPモルガンのイ・ソクチェ常務は「中国と日本は建造船舶全体に占めるバルク船の割合がいずれも50%を超え、円安が中国の造船所にとって最大の脅威になっている。今後10年間、中国が世界受注トップに返り咲くのは困難ではないか」と指摘した。