【社説】サムスン物産合併賛成の国民年金公団、理由を示せ

 サムスングループ総合商社のサムスン物産と同グループの事実上の持ち株会社である第一毛織の合併への賛否をめぐり対応に苦慮していた国民年金公団が、10日に合併賛成を決めたという。正式発表は両社の合併を決議する17日の臨時株主総会で行うとされる。国民年金公団はサムスン物産株の約11%、第一毛織株の約5%を保有する両社の大株主だ。

 サムスン物産と第一毛織の合併をめぐっては、サムスン物産の大株主である米ファンド、エリオット・マネジメントが反対を表明して以降、サムスンを中心とする合併賛成側と反対側の間で激しい株式取得競争が繰り広げられている。こうした状況で国民年金公団が合併に賛成するのであれば、それなりの理由があるはずだ。だが、公団は合併に賛成する意向をマスコミに匂わせたものの、これまでの議論の過程や決定の背景については何の説明もしていない。公的年金の委託を受けた管理者として、2000万人の加入者に最も基本的な説明責任を果たしていないのだ。

 国民年金公団は先月、SKとSK C&Cの合併については、合併案がオーナー家族の持ち株比率が高いSK C&Cに有利だという理由で反対を表明した。そしてその決定を株主総会前に公表した。よく似た事案について正反対の結論を出すのなら、その理由を説明しなければ国民は納得できないだろう。株主総会の場で立場を表明するというのは、堂々としていないばかりか年金の主人である国民を無視することだ。

 国民年金公団は主要30企業グループの上場系列会社184社のうち、約半分に当たる93社の株式をそれぞれ5%以上保有している。グループオーナーよりも同公団の持ち株数が多い企業も60社余りに達する。それだけ韓国の企業に影響を及ぼすことのできる力を持った組織なのだ。そのため、公団がこれら企業の経営に対する議決権を行使するときは、いかなる基準や原則に従って決定したのかを透明に公表し、議決権を政治目的に悪用したり、単なる愛国心やロビー活動に基づいて議決権を行使したりすることはないという信頼を国民から勝ち取るべきだ。老後を任せるに値する機関であることを、国民に確信させる必要がある。

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