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NASA 冥王星の無人探査機画像を公開
7月14日 15時40分

NASA 冥王星の無人探査機画像を公開
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NASA=アメリカ航空宇宙局は、冥王星に近づいている無人探査機がこれまでに撮影した画像やデータを公開し、起伏がある表面の地形やより正確に測った冥王星全体の大きさなど、14日夜予定されている最接近を前に、最新の成果を報告しています。
NASAの無人探査機、「ニューホライズンズ」は太陽から平均で59億キロの距離にある冥王星に近づいていて、日本時間の14日夜9時前、およそ1万2000キロの距離まで最接近します。
NASAは、探査機がこれまでに撮影した画像や観測したデータを14日までに公開し、冥王星と、「カロン」と呼ばれる冥王星の月の1つが、これまでで最も鮮明な姿でとらえられています。
冥王星は明るい茶色に見え、直径は2370キロとこれまで考えられていたよりも数十キロから100キロ程度大きく、地形は起伏が多く、クレーターとみられる場所や深い谷や崖などもあるとみられることが分かりました。
また、冥王星が持つ薄い大気から宇宙に向けて窒素が放出されていることが観測され、さらに北極は、メタンや窒素などを含んだ氷で覆われているとみられることも明らかになりました。
探査機は、最接近に向けて、今後は観測に集中し地球に送るデータの量を最小限におさえる予定で、次に地球に届くのは日本時間のあす午前、最接近に無事、成功したことを報告する通信だということです。
85年前の発見以来、冥王星に探査機が接近して観測するのは初めてで、今後の画像やデータに大きな期待が寄せられています。

冥王星とは

冥王星は、1930年にアメリカの天文学者が発見した天体で、2006年、国際天文学連合が「惑星」の定義を見直すまで、長年に渡って太陽系の9番目の惑星として親しまれてきました。直径はおよそ2400キロと地球の月の3分の2ほどの大きさで、太陽の周りをだ円形の軌道でおよそ248年かけて1周し、その太陽との距離は平均で59億キロ、最も近づいたときでも44億キロの距離があります。
発見された当初は、太陽系の惑星の中で最も遠いところにあると考えられ、アメリカの天文学者が発見した惑星だったことから特にアメリカの愛好家の間で人気があります。
冥王星という名前は、ギリシャやローマの神話に登場する冥界の王を意味する「プルート」にちなんで付けられ、ディズニーの人気キャラクターも同じ「プルート」と名付けられるほど注目を集めました。
しかし、1990年代以降、冥王星よりもさらに遠い領域に冥王星と似た特徴を持つ天体が相次いで見つかったことから、これらも惑星と呼ぶべきか、国際的に議論されるようになります。
そして2006年、国際天文学連合は惑星の定義を見直すことを発表し、これに伴って冥王星は、惑星ではなく「準惑星」と分類されるようになりました。
それでも、最初に発見したアメリカでの人気は衰えておらず、冥王星が準惑星になった7か月前の同じ2006年に打ち上げられた今回の無人探査機、「ニューホライズンズ」による初の探査に、大きな注目が集まっています。

冥王星の模様の謎解明に期待

9年前、「惑星」から「準惑星」に位置づけが変わった冥王星。日本の研究者は、今回の探査で小惑星などがぶつかり合って惑星が作られる途中の姿を残した「準惑星」に迫ることで、太陽系の8つの惑星がどのようにできたのか、手がかりを得られる可能性があると期待を寄せています。
太陽系の成り立ちを研究している国立天文台の渡部潤一教授は、9年前、国際天文学連合のメンバーとして冥王星の位置づけを、それまでの「惑星」から「準惑星」に変える決定に携わりました。渡部教授は、冥王星を「準惑星」とした理由について、直径が月よりも小さいことに加えて、冥王星が回っている軌道の周辺にはほかにも同じような大きさの天体が複数あり、惑星ができる前の段階とみられることを挙げています。
「準惑星」は、冥王星の位置づけを改めた際に新たに設けられたジャンルで、現在は、冥王星のほかに4つの小惑星が「準惑星」と位置づけられています。
渡部教授は、「冥王星は小さな天体どうしが衝突して惑星に成長する途中経過を残したいわば生きた化石で、どのような新しい発見が待っているのか、非常に楽しみだ」と話し、小惑星などがぶつかり合って惑星が作られる途中の姿を残した「準惑星」に迫ることで、太陽系の8つの惑星の成り立ちを知るうえで、重要な知見が得られる可能性があると期待しています。そのうえで、渡部教授が今回の探査で特に注目しているのが、冥王星の表面に見られる模様です。
太陽から遠く離れた冥王星は、主に氷で出来ていると考えられていますが、NASAの探査機「ニューホライズンズ」が、冥王星に接近する過程でとらえた複数の画像では、北極付近が明るくなっているのに対し、赤道付近は、帯状に黒っぽくなっています。
これについて渡部教授は、「冥王星の表面には全く見たことがない模様があって、特に赤道付近にある帯状の黒い模様が注目される。探査機から送られてくる画像などを分析することで、なぜこうした模様の地形ができたのか明らかになることを期待したい」と話し、冥王星の模様の謎が明らかになれば、惑星の成り立ちを解明する手がかりを得られる可能性があると指摘しています。

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