BARBATE, SPAIN - JUNE 03:  Fishermen lift bluefin tunas from the water to a boat during the end of the Almadraba tuna fishing season on June 3, 2014 near the Barbate coast, in Cadiz province, Spain. Almadraba is a traditional bluefin tuna fishing method in Southern Spain already used during Phoenician and Romans times. Fishers place mazes of nets to catch tuna migrating from the Atlantic Ocean to the Mediterranean Sea and select those that have the best size. Almadraba tuna is well demanded by Japanese for its quality. Today fishers use a different technique to control the catch amount by releasing many of the bluefin tunas before hauling the nets to avoid exceeding their limited quota fixed by International Commission for the Conservation of Atlantic Tunas 'ICCACT'. Almadraba fishers association claim the fishing quota could now be increased as fishers are struggling and the tuna population has recovered quite well.  (Photo by Pablo Blazquez Dominguez/Getty Images)

アンダルシアの伝統マグロ漁法が消滅寸前!? 危機の裏には「日本の存在」が…

スペイン南部、ジブラルタル海峡沿岸には、約3000年前から伝わる「アルマドラバ」と呼ばれるマグロの漁法がある。

大西洋から地中海へと移動するクロマグロを、海峡に仕掛けた定置網で捕らえて複数の船で取り囲み、網の一部を引き上げる。そうやって水面近くに寄せ集められ、暴れるマグロの群れに、漁師たちがナイフでとどめを刺すのだ。

残酷に映るかもしれないが、アルマドラバ漁では成魚しか捕らえない目の粗い網を使うので、他のどんな漁法より持続可能だと専門家は指摘する。

ところが今、このアルマドラバ漁が危機に直面している。主な原因は、世界でマグロが乱獲されたあおりを受け、スペインのマグロ漁獲割当量が減らされたこと。そして、マグロの最大市場である日本の消費者の嗜好に応えるため、生け簀で4ヵ月間エサを与えて太らせてから出荷する「蓄養」を始めたことにある。「蓄養マグロはより脂がのっていて、日本人の好みに合う」とマルハニチロの社員は説明する。

一方、マグロ漁を行うカボ・プラタ社の経営者は、「天然もののほうが美味しいと確信しているが、スペイン市場で好まれるものが、日本市場で受け入れられるわけではない」と話す。

いまや日本の業者には、天然ものより蓄養もののほうが高値で売れるのだという。マグロ漁を行う企業側も、漁獲割当量の削減分を埋め合わせようと次々と蓄養に参入している。アルマドラバ漁から蓄養に切り替えた企業はこう本音をもらす。「会社経営のためには利益を重視せざるを得ないのです」。

ニューヨーク・タイムズ(USA)より
PHOTO:PABLO BLAZQUEZ DOMINGUEZ / GETTY IMAGESPABLO BLAZQUEZ DOMINGUEZ / GETTY IMAGES

COURRiER Japon Vol.129 21世紀の「ホワイト企業」