(2015年7月13日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
ユナイテッド航空と言えば「Fly the Friendly Skies」というスローガンが思い浮かぶが・・・(写真は7月8日、米サンフランシスコ国際空港で待機するユナイテッド航空機)〔AFPBB News〕
旅客機が滑走路を走行する間、スピーカーからガーシュウィンの曲が流れる――。これ以上に米国的なことはほとんどないだろう。
しかし、ユナイテッド航空は先週、コンピューターの障害のために全便の一時運航停止を余儀なくされた。この2カ月間で2度目のことだ。
座席の足回りが狭くなっている、運賃が上昇している、欠航が出るなど、今日ではいろいろな理由で航空業界という言葉は悪いサービスと同義語になってしまっている。
ペルシャ湾岸諸国の航空会社は米国の競争相手を圧倒している。アジアの航空会社は格が違う。米国の空が外国航空会社に閉ざされているうちは、この差は広がるばかりだろう。米国政府の受動的な共謀も手伝って、世界の航空業界の重心は東に移動しつつある。
世界の強豪に大きく劣る米国勢
米国の航空会社が衰退し続けていることは不思議でも何でもない。競争が制限されている分野では、米国経済のパフォーマンスは必ず悪化する。逆もまた然りだ。この国では国内線旅客の80%を大手4社が分かち合っており、サービスのレベルは標準を下回る。
同じことは、少数の巨大企業が牛耳る有線インターネット接続業界にも当てはまる。例えば、ジョン・F・ケネディ空港で飛行機に乗る経験がチャンギ国際空港でのそれより劣るのと同じくらい、米国のインターネット接続の質はシンガポールのそれよりも劣っているのだ。
英国の調査会社スカイトラックスが顧客の投票結果をまとめて発表した世界の航空会社ランキングでは、米国勢はデルタ航空の45位が最高だ。上位はアジア勢と中東勢で占められており、欧州勢が1、2社食い込んでいるという状況だ。世界の空港ランキングについてもほぼ同じことが言える。
明らかな是正策は、米国の空を外国の航空会社に開放することだろう。しかし、米国の大手航空会社――ユナイテッド、アメリカン、デルタ――はその正反対の方向を目指している。
3社は米司法省に対し、湾岸の大手航空3社(エミレーツ、カタール、エティハド)が米国内の都市に乗り入れる権利を無効にすることを望んでいる。湾岸の3社はこの10年間で420億ドル相当の補助金を本国政府から受け取っているというのがその理由だ。米国の3社はこの提案を、「オープンスカイ(開かれた空)」協定の向こうを張って「フェアスカイ(公正な空)」と呼んでいる。