見どころが多かった「テキスタイルネット展」の私的体験リポート |
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生地や糸、繊維技術を体験できる展示会「テキスタイルネット展2016年春夏」が7月8、9日、ラフォーレ原宿(東京都渋谷区)で開催されました。布に関する素材とテクノロジーの現在を体感できる貴重な機会だけに、会場は大勢の来場者でにぎわいました。
出展企業が構えるブースでは興味深い商品や技術が紹介され、セミナーではモードやビジネスの今が報告され、密度の高い2日間となりました。私は9日に「2016SS メンズコレクション速報とウィメンズ展望」と題したファッション対談セミナーに講師として参加。山中建さんとの対談形式で16年春夏の新トレンドをリポートしました。おかげさまで満席となりました。ご参加頂いた皆さま、本当にありがとうございました。
対談後はブースを拝見しました。30を超える会場内のブースは見どころが多く、どれも勉強になりました。テキネの持ち味のひとつは「体験型」という演出。プロも消費者も楽しく見て回れる構成です。繊維の素材や技術にまとまって触れることのできるチャンスはそう多くないので、新たな発見や驚きがたくさんあった今回のテキネは個人的にも収穫大でした。出展企業のご担当者からもいろいろと教えてもらえました。
世界的に知名度の高い佐藤繊維をはじめ、個性的な取り組みで繊維・アパレル業界をリードする企業・団体が参加していて、回る時間が足りないと思えるほどでした。私が訪れたブースのうち、特に興味を持ったところをご紹介していきましょう。
体験型の面白さを実感できたブースのひとつが「EUROPORT(ユーロポート)」のプリントシステムです。こちらのブースでは、手持ちの画像データをそのままTシャツにプリントしてもらえました。USBに保存したデータをブースに持っていけば、好きな生地を選んでプリントしてもらえます。せっかくの機会でしたので、私もこのセミナーの記念写真をプリントしてもらいました(笑)。iPhoneで撮った写真をパソコンにコピーして、すぐにフルカラーでプリント。きれいに仕上がりました(左から、千金楽社長、私、山中さん、フォトグラファー土屋さん)。ありがとうございました。
貴公子ならぬ「ニット界の奇行子」とも呼ばれているという田沼英治さんが運営する「Knittingbird(ニッティングバード)」はニットに関する技術や商品を紹介していました。来秋冬シーズンのトレンド素材でもあるフェイクファーに関してオリジナル糸を展示。ニットで作るフェイクファーの魅力も教えてもらえました。ニッティングバードの特製リリアンヤーン「Toyful(トイフル)」も素敵でした。
大手メーカー、グンゼのブースでひときわ目を惹いたのは、ピアノ風の鍵盤を布にプリントした、電気を通す導電性ニットの展示。こちらの生地は鍵盤部分を指で押すと、その場所ごとの音が鳴ります。つまり、ピアノを弾く感覚で布を鳴らすことができるわけです。いわゆるウエアラブル技術は世界的に今後の期待が大きい分野。今回の「鳴る布」を発展させれば、シャツの袖をパソコンのキーボード代わりにしたり、外国語をしゃべらせて服を「通訳」にしたりといった応用ができそうです。
山忠紙芸、シャフテックツチハシはお得意の糊を使った加工の技術を披露。短い繊維を垂直に差し込んで、ベルベット調の手触りを生むフロッキー加工が目玉展示です。立体感や質感を印象づけやすいフロッキープリントは、アイテムとして見たことは多いのに、その仕組みが専門家以外にはあまり知られておらず、実際の製法が分かる展示はありがたいものでした。
回を重ねるごとに規模が大きくなり、セミナー・展示内容も厚みを増している「テキスタイルネット展」。次回の開催情報はアパレルウェブ内にある「テキスタイルネット」のサイト上で随時公開されるはずですので、ウォッチしておくとよいでしょう。デザインやマーケティングが話題を集めがちですが、ファッションはやはり素材で決まるところが大きいので、見逃せないイベントだと思います。
テキスタイルネット
http://www.textile-net.jp/
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2015/07/13 02:31
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