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楽天、独自物流構想の果てのヤマト提携
国内最大級のECモールを運営する楽天がヤマトホールディングスと提携を決めた。消費者が「楽天市場」で購入した商品を、コンビニエンスストアなどで受け取れるようにする。一時は袂を分かったヤマトと提携した背景には、独自で構築しようとしていた物流構想の方針転換がある。
「ヤマトさんとは経営レベルでずっと様々なお話をしてきた。今回の提携話をいつから検討してきたか思い出せないくらいだ」
2015年7月6日、楽天はヤマトホールディングスと提携を発表、同社の三木谷浩史会長兼社長は笑みを浮かべた表情でこう言葉にした。
楽天とヤマトは今回の提携で、2つの連携を進める。1つは、楽天市場の商品受け取り場所の拡大だ。まず、8月をめどに全国約2万店舗のコンビニで受け取り可能にするほか、今年度内にはクール宅急便も含めてヤマトの全国の営業所4000店舗でも受け取れるようになる。もう1つは、従来、個別に管理していた楽天市場の受注データとヤマトの配送データを連係させることで、中小規模の出店者の業務軽減を狙うというもの。ヤマトホールディングス代表取締役社長の山内雅喜氏は「今回の提携は第一弾」としており、今後、さらに両社の関係を深めていく可能性が高い。
「ヤマトグループとの連携は日本の消費者の利便性を確実に向上させる」と三木谷社長が言えば、「日本のリーディングカンパニーである楽天と組むことで日本のEC市場はさらに発展するだろう」と山内社長が持ち上げるなど、蜜月ぶりを全面に強調した両社(写真)。だが、ECと物流、各界の雄が手を握るまでは紆余曲折があった。
楽天、独自物流構想の崩壊
今から遡ること3年前の2012年初頭、楽天は2006年にトヨタ自動車から引き抜いた武田和徳常務のもと、独自の物流構築を粛々と進めていた。
楽天は全国約4万店近い店舗が出店するマーケットプレイス。異なる店舗から複数商品を購入すると、自ずと店舗ごとに配送料がかかる。自ら在庫を集約し、物流を効率化できる米アマゾン・ドット・コムと比べると、配送コストが明らかに高い。事業構造的に物流面で非効率になってしまう問題を解決しようとしていた。
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