ラスポテトが好きだ。
これはフライドポテトの一種である。外は断崖絶壁のようなカリカリ感、中身は空に浮かぶ雲のようにホクホクしている。たいへんに心かき乱されるものだ。
昔から売店やお祭りなどで売られているポテトなのだが、最近ちょっと見かけなくなってきている。今回はおなかいっぱいラスポテトを食べてみたい。
ラスポテトを求めて
ラスポテトを食べに亀戸のサンストリートまでやってきた。
亀戸は遠かった。調べたが、やはり売っているところが少ないのだ。
いつでもラスポテトが食べられる亀戸の人うらやましい。もっというと憎い。住民税が他の場所の10倍になればいいのに……。
お目当ての売店「ゆうめん」。ラスポテトには売店がよく似合う。
しかし本当にあるのか、ラスポテト。
実は、さっき記憶を頼りに上野動物園前の売店に行ったら「昔やっていたけれども、今はやっていないんだよね」といわれてしまった。
目で確認するまで全然安心できないのだが……
ハイ、あった。ありました。これです! これがラスポテトです!!!
オレンジと白のパッケージがノスタルジック。これ見れば「あーあれか!」ってなる人多いだろう。
でも買ってみたらパッケージは真っ白だった。
これ、見た目はふつうのフライドポテトと全然変わらないが
ふつうのフライドポテトより香りがだいぶ強い。
ホワァーンと袋から漏れ出すのがはっきりとわかる。
ラスポテトは2層構造。カリカリゾーンとホクホクゾーンがくっきり別れているのがご確認いただけますでしょうか。
ぼくも食べるの久しぶり。なんか震えてきた。
おお、うめえわ。
味の記憶に「思い出補正」がかかっているんじゃないかと心配したが、ラスポテトはぼくを裏切らなかったね。
ポテトの外側のサクサク感と内側のホクホク感。これがどちらも独立しておいしく、口の中でどっちに集中したらいいのかわからなくなる。
でもそれは幸福な逡巡。いくらでも迷い続けていたい……!
やっぱり珍しい食べ物
――ラスポテト、人気ありますか?
店員「人気はすごくあるよ。やっぱり珍しい食べ物だから」
――そうですよね、珍しいですよね(興奮)。都内だとここ(亀戸サンストリート)くらいしかわからなかったんです
店員「このへんだとね、上野の動物園の前の売店で食べられるけどね」
――そこさっきいったら、今はやってないって言われちゃいました
店員「そうなんだ。うちでもやったり止めたりしている。タイミングよかったねー」
なにそれ。あっちこちで、やってたりやってなかったりするものなのかよ。それじゃあラスポテト探して食べられるのって、運命じゃん。運命関わってくるのかよ、ポテトに。でも良かったよ、運命。運命に感謝。ワー。
ラスポテトは家でも作れる
……と、ショッピングモールで運命フィーバーしていたのだが、グーグル検索で、これが家でも作れるということを知った。
グーグルはかんたんに運命を乗り越えてくるのやめてほしい。
通販で業務用の「ラスポテトの材料の粉」1キロを買う。これで20人前。値段は1,470円と大変リーズナブル。
こんなポスターがオマケについてきた。そうそう、これ小さいころに見たことある。ちょっと泣きそう。
あんまりにもありがたいので、我が家の冷蔵庫の一番いい場所に貼らせていただきました。うれしい。
ラスポテトを作る
この「材料の粉」に水を入れて撹拌、揚げればラスポテトになるという。ラスポテトってそんな粉と水みたいなもんから本当にできるの……?
かきまわしていたら……
あっという間にネットリしはじめた。すごい、ただの粉がタネになるまで1秒ぐらい。この粉、ポテトになり急いでいる。冷静になってほしい。
ちなみに最近ラスポテトを見ないのは、この工程が手間でふつうの冷凍のポテトの方が楽に作れるから……らしい。昔は冷凍ポテトを作る技術がなかったのだ。
あとは袋でしぼって、
揚げれば、できたー。
手作りだとこういうヘンテコな形のやつができるのがいい。家ラスポテトの醍醐味である。
うん、ラスポテトたちもわかってくれたようです。
これも通販で買ったラスポテト専用パッケージ(なんでも売ってるね)に入れば、ハイお待ち。
いい。すごくいい。いいわ~。
自分で作ったラスポテト、感慨深い。あと家の中でいつでも揚げたて食べられる、という安心感にもひたれる。しみじみうまいです。
カレー味ラスポテト
手作りなので自由にいろいろやってみたい。カレー粉をかけてみた。
スパイスでサッパリ、意外にもさわやかな味になった。ポテトってどうしても後半もたれるから、こっちの方が実用的かも。
あんこ味ラスポテト
あんこときな粉をつけてみた。これは揚げアンドーナツにそっくり。味のだまし絵のようなふしぎな感覚だ。
でかいラスポテトはおかずっぽい
家で作れば形も自由自在。でかいのを作ってみよう。
揚げてる途中で思いっきり割れた。
でかい方が中のホクホク部分が大きくなって、ぼくはこの方が好み。
あと、でかいと急におかず感がでてくる。晩ご飯前のつまみ食いしてる気分になった。
お花を作る
クッキー型を使えば、お花のラスポテトもできる。
これはチーズとグレイビーソースでプーティーン(むかしウェンディーズでそういうのがあった)に。なんかもう、ラスポテトの味の面影が残っていないが、とにかく全面的においしい。
ご飯の上に乗っけてラスポテト丼にしたら、ふつうにおいしい。ラスポテトの万能感に衝撃である。
それから、おれの味覚ってひょっとしたら全然あてにならない……?という気づきにも衝撃を受けた。
ポテトそばでシメ
ちょっと前に話題になったフライドポテトそば。これもラスポテトで作ってみた。
……どうしよう。完全な味がする。おれ、今後のそばは全部これでいいかもしれない。
うめー。こちらが主体的に食う、というより、そばにあやつられている。
ラスポテトはふつうのフライドポテトよりもいろんな味がついている。そばの汁に味が絶妙に溶けだしてきて、ただの乾麺のかけそばが一気にレベル99になるのだ。魔の属性である。
気が付いたらそばなくなってた。
以上、ラスポテトの報告でした。まだまだラスポテトの粉残ってるけど、これはそばにいれるのが正解です。だいたいそばに入れて消費していくぞー、という気になりました。
著者プロフィール
斎藤充博
1982年生まれの指圧師です。自分で企画した「下北沢ふしぎ指圧」で施術しています。身近なところでふしぎを探すのが趣味です。
ブログ:下北沢ふしぎ指圧(http://fushigishiatsu.com)
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