報道機関圧力発言、自民党に批判殺到

失言を恐れ自民党議員らテレビ出演制限も
野党は冷ややかな対応、東京では大学生数千人がデモ

 今月27日午後6時20分ごろ、自民党の谷垣禎一幹事長が、東京都心の千代田区にある同党本部で記者会見を開いた。2日前の25日、同党の議員37人が「文化芸術懇話会」という名の勉強会を立ち上げ、安倍政権に批判的なメディアを粉砕する案について話し合った件について謝罪するためだった。

 カメラのフラッシュが一斉にたかれる中、谷垣氏が頭を下げた。「(メディア弾圧発言は)国民の信頼を大きく損なうもので、看過できない」と述べ、問題の勉強会を立ち上げた木原稔・党青年局長を更迭し、党の役職を1年間停止する処分を下した、と発表した。

 谷垣氏は木原氏のほか、勉強会に出席した議員3人にも処分を下した。25日の勉強会で、長尾敬議員は講師として招いた右派の小説家、百田尚樹氏とのやりとりの中で問題発言を繰り広げた。長尾氏が「沖縄の主要紙2紙によってゆがんだ世論を正しい方向に持っていくために、どのようなアクションを起こすか」と尋ねたところ、百田氏は「沖縄の二つの新聞社は絶対につぶさなければならない」と答えた。大西英男議員は「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番」と発言し、井上貴博議員は「(マスメディアにとっては)スポンサーにならないことが一番こたえる」と発言した。毎日新聞や朝日新聞などによると、谷垣氏はこの3人の議員を「厳重注意」とする処分を下し「(自民党総裁の)安倍晋三首相と協議して下した処分だ」と強調したという。

 党所属議員たちがテレビに出演して失言することを懸念した自民党執行部は、議員たちのテレビ出演を制限する方針も打ち出した。このため同日、生放送で夜通し討論するテレビ朝日の番組に出演するはずだった自民党の議員たちは相次いでキャンセルし、野党議員だけが出演する事態となった。

 だが、問題はそう簡単には収まらなかった。沖縄県選出の野党議員4人は27日、メディア弾圧に抗議する声明文を発表した。同日夜には東京都渋谷区でも、大学生数千人がデモを行った。共同通信によると、ショッピングのため訪れた一般市民も加わり、安倍政権が安全保障法制の審議を無理に進めようとする動きや、メディア弾圧発言を批判するシュプレヒコールを叫んだという。

 自民党の動きに対し、野党は冷ややかな反応を示した。民主党の岡田克也代表は27日「(勉強会を立ち上げた)青年局長を更迭するくらいで解決する問題ではない。安倍首相が他人事のように言及しているが、(問題の勉強会には)内閣官房副長官や党総裁特別補佐も出席した」と述べた。枝野幸男幹事長も「権力がこのような発想を持っているということ自体が問題だ」と語った。

 だが、騒動の火付け役となった百田氏はこの日も、国会の外で問題発言を連発した。百田氏は自らが「つぶすべきだ」と主張した沖縄の主要紙の一つ、沖縄タイムスの電話取材に対し「私も言論人。言論は自由であるべきだ。メディアを公権力、圧力でつぶすとの趣旨で言ったのではない。私と意見が違う2紙を誰も読まなくなり、誰も読者がいなくなってつぶれてほしいという意味での発言だ。(沖縄の主要2紙を)しっかりと読んだことはないが、ネットで読むと、私と歴史認識が違う」と主張した。

東京=金秀恵(キム・スヘ)特派員
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連ニュース