6月に入り、中国の株式市場が不安定な展開になっている。上海の株式市場は5月末以降で9%超も下落し、26日には一日で7%超も下落した。
この下落に対し、中国証券監督管理委員会(CSRC)は、今のところ、急速な株価上昇を受けた調整であるとの認識を示している。株式市場の変動に相応の警戒をしているようだ。
景気減速への懸念が高まる中国にとって、株価の過度の上昇は、バブルの発生につながる懸念が高い。現在、景気対策として金融緩和策を実施しているものの、なかなかその効果が顕在化していない。中国政府は、実体経済の減速と株価の不安定な展開の二つの問題と対峙しなければならない。
バブルを作り出そうとする中国政府
景気の先行きを考える上で、株価は重要なファクターの一つだ。株価の上昇は、資産効果を通して消費意欲を支え、景気にもプラスに働くことが想定される。
そのため、中国政府も株式市場の下支えを狙い、金融緩和策などの対応策を取ってきた。
中国政府の株式市場に対する政策の一つに、上海と香港の取引所間での株式の相互取引を可能にしたことがある。
これにより外国人投資家は香港市場を経由することで、取引に規制がある上海市場にも投資できるようになった。中国国内でも、相互取引を活用して信用取引が活発化したと考えられる。特に4月から6月中旬までの間、上海の株価指数は30%以上の上昇を記録した。
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