OSS(Open Source Software)のIaaS(Infrastructure as a Service)構築用のソフトウェアスタックである「OpenStack」。そのOpesStackイニシアティブの共同創設者であり、そのOpenStackを企業市場に提供するために米Piston Cloud Computingの共同創業者がJoshua Mckenty(ジョシュア・マッケンティー)氏である。同氏は今、PaaS(Platform as a Service)のためのソフトウェアスタック「CloudFoundry」を推進する中核企業である米PivotalでフィールドCTO(Chief Technology Officer)を務め、Foutune100社などの大手企業との対話を続けているという。Mckenty氏は利用企業に何を伝えているだろうか。(聞き手は志度 昌宏=IT Leaders編集部)
−−フィールドCTO(Chief Technology Officer)とは、どういった役割なのか。
良く聞かれるが、まず一般的なCTOとは異なることから説明したい。ベンダー企業に属するCTOの役割は、技術者チームのマネジャーであり、製品戦略や製品の提案などだ。だが私は、Pivotalのエンジニアを束ねているわけではない。
私の役割は、世界中の大手企業に対し、彼らのCTOとして助言することだ。CloudFoundryの採用や活用方法、そのために組織をどう最適化を図るのかなどに取り組んでいる。
−−欧米の大手企業であれば自らCIO(Chief Information Officer)だけでなくCTOを置いているケースもあるはずだ。
現在、利用企業が求めているのはビジネスのスピードアップだ。特に、新しいサービスを実現するためのソフトウェアをいかに早く開発し稼働させるかに最大の関心時だ。そのためにDevOps(開発と運用の融合)やPaaS(Platform as a Service)への期待がたかまっているわけだが、ツールへの依存度は10%に過ぎない。残り90%の課題は、企業文化をどう変えるかにある。そこでは、私のようなアウトサイダーが必要になる。
ソフトウェアを早期に開発/稼働させるには、ソフトウェア工学的なアプローチが求められる。アジャイル開発やエクストロリーミングプログラミングといった考え方を取り込みながら、今のDevOpsへと発展してきた。ただDevOpsは、あくまでソフトウェア工学の範囲であり、開発者と運用者が協力すればよい。
これに対し、ビジネスにおけるアジャイルやリーン(削ぎ済ました)を実現するには、事業部門のオーナーから開発、最終製品までのすべてが連携できなければならない。そこでは、ビジネス部門のオーナーとソフト開発部隊とのコミュニケーションの改善が不可欠になってくる。
もちろんCIOの中には、自分たちの取り組みが遅れていることを認知している層がある。十分にマネジメントできていない“シャドーIT”の存在を知っているからだ。IT部門内に「Innovation Center」などを設置し自ら改革に取り組むケースもある。ただ、残念ながらビジネスの現場に詳しくなかったり、ビジネスオーナーと会話できていなかったりする。あるいは、会計上の決まりから、IT投資についても年間計画でした立てられないという会社もある。
だから私は、ビジネス部門のオーナーからソフトウェアを使って何か実現したいのかを聞き出し、そのためのソフトウェアをIT部門はどう提供できるのかを共に考えながら、両者を仲介している。
−−ビジネス部門のオーナーには何を伝えているのか。
他社のビジネスストリーだ。従来企業は今、新興企業の新しいサービスによってビジネスモデルを破壊されている。だが、その中でも上手く抗戦できている企業がある。そのパターンは概ね、新興企業のやり方を真似ること、すなわち早く動くことである。だから、スピードの重要性を強調している。