映像監督や俳優として活躍し、「仕込みiPhone」で文化庁メディア芸術祭の受賞歴も持つ森翔太が、読者の夫婦のお宅へおじゃまして、夫婦の普段通りの食事をご馳走になります。リアルに将来や結婚のことを考え始めた32歳に、夫婦の在り方を教えてください……!
第2回は、Google Adwordsで「彼女募集します」と広告を出したことをきっかけに出会い、結婚したというご夫婦のお宅へおじゃまします!
森翔太の「お宅の夫婦茶碗、お借りします。」
第2回:Google Adwordsで恋人募集→結婚した夫婦の、異国気分なマイルドアジアランチ
こんにちは。
夫婦のおうちを訪れて日頃の御飯を食べにいくという、ピースフルなこの連載。
今回、私は五反田にやってきました。
この日、東京は5月なのに真夏日を記録した。
五反田に来るまでの道のりは困難だった……
実はこの日、順調に五反田に着いたわけではなかった。
朝から完全にお腹を壊していた私は、五反田に着くまでに、すでに死ぬ思いを経験していたのです。
びっくりするほどつまらない4コマを書いてしまった!
えと、、皆様も体験しなかったでしょうか? 学生時代、授業中とかトイレに失神するまで我慢したとき、「神様!助けてください!」みたいに願った経験。普段は無宗教なのに、こんなときだけ神頼み。僕はそれを「トイレの神様」と昔から呼んでました。
今回のご夫婦
うわーー!こんなどうでもいいことを言ってる場合じゃない!
そんなわけでご夫婦紹介!
夫:razokuloverさん(Twitter ID: @razokulover)
Webエンジニア。GIFMAGAZINEなど、GIFが簡単に作れるサイトを作ったりもしている。
妻:korotoroさん(Twitter ID: @korotoro)
イラストレーター。ブログにはkorotoroさんの作ったものが沢山載っている。このたび応募してくださったのは奥様!
前回の記事を読んでの一般応募! ありがたい!
アイコンだけ見てもどんなご夫婦かまったく想像できません。どきどき。
ご夫婦のご自宅へ
ここは五反田。
ご夫婦宅へ行く道が、私を誘惑する。
通りに無数にある風○店。さすが五反田。
別に私はそんなに風○に興味はないが、思わず足を止めて見とれてしまう。
メシ通スタッフ「あのー森さん!」
メシ通スタッフ「森さーん!」
取材に同行している、メシ通の編集スタッフのおふたり。
メシ通スタッフ「森さん! 風○チェックは暇なときにしてください!」
森「そ、そんな怖い顔しなくても……」
ご夫婦宅に到着
だいぶ時間をロスしてしまったけれど、無事にご夫婦の家に到着。
もはや何かしらの目的を達成した気でいるけど、今のところ何も達成はできていません。
森「失礼しまーす」
ガチャ……
目を疑いました。
目の前にはお祝い花が。
いや、しかしその前に……。
奥様の頭に何かがついている。
つっこみどころが多い!
リビングへ。
森が持っているのは、ご主人のアイコンデザインクッション。奥様が頭につけている魚のカチューシャは、奥様が作ったものだ。
森「早速なんですが、何か手伝うことありませんか?」
夫「すごい。いきなりですか!」
森「虫退治でもゴキブリ退治でもハエ退治でもなんでもやりますよ!」
夫「そんなに虫は出ないですよ……」
妻「じゃあ、あれ頼んじゃおうかな……」
ベランダを見せてもらう森。目の前は林みたいになっていてとても癒される。
妻「ベランダが汚れてしまって」
森「任せてください!」
というわけで、
ハンモックがいい感じである。
前回に続き、ベランダを掃除することになりました。
森「あ、ホウキがないですね……」
メシ通スタッフ「買い出しにいきますか!」
おつかいに行く私。
ホウキ以外にも、奥様に頼まれたおつかい品も購入。
とにかく暑い!
森「よし! はじめるぞ!」
掃除は余裕で終わった。
数々の(清掃バイトの)修羅場をくぐってきた私にとって、この仕事は簡単すぎた。
着々と準備をすすめるご夫婦。いつもはほとんど奥様が作ってしまうらしい。
ハンモックに揺られながら待つ私。ハンモックには純文学が似合う。
そうこうしていると、いよいよ料理が完成したらしい!
ご夫婦の料理
目を閉じてご対面の瞬間を待つ私。
ドキドキしながら料理を待つ。ああ、一体今回はどんな料理が出るのだろう……。
メシ通スタッフ「それでは目をあけてください!」
森「ぎゃああああああああああ!!!!!!」
(時計周りに左手前から)カオマンガイ、ヤムウンセン、トムヤンクン。
目の前には一般家庭の食卓らしからぬ、見事なタイ料理が並んでいた……。
私は一瞬、アジアに来たのか? と困惑せずにはいられなかった。
すごい……。いつも、こんな感じなの!?
料理をみたときのイメージ図。
全員で乾杯。ご主人はお腹が著しく弱いため、いつも白湯しか飲まないとのこと。
カオマンガイ。鶏肉の脂で炒めた白米をスープで炊いたご飯。そして鶏肉。特性のタレをかけて食べる。
森「うますぎる。これ店の味ですよ!」
妻「鶏肉と一緒に御飯を炊いたから、ご飯が旨みを吸収してるんですよ」
森「素晴らしい。まさにご夫婦だ。鶏肉とご飯が手を取り合っている!」
妻「そ、そうですね……」
トムヤムクン。ザ・タイ料理! パクチーとエビ入りスープの織りなすハーモニー。
森「なにも言えねえ……」
メシ通スタッフ「何か言ってください」
森「うますぎる! 一般家庭でトムヤンクンとか作れてしまうものなのですね……」
ヤムウンセン。酸味のある春雨サラダ。エビ、豚のひき肉、キクラゲ、玉ねぎなどがのっている。なにげに入っているナッツがいい!
妻「『ヤムウンセン』っていうタイ料理の春雨サラダです」
森「うまい!」
メシ通スタッフ「まだ食べてないじゃないですか!」
森「いや!もうわかるんですよ!見た目でおいしさが!」
箸が止まらない森。
森「すごいです。今日の昼食、全体的なテーマが、アジアですね!」
夫「妻がアジア好きなんですよ。いつもこんな感じだから、外で食べないんですよ。家で食べればいいやって」
森「外食する必要ないですもんね!」
夫「結婚して、ホント体調が良くなりました。今までカップ麺とか、そんな生活だったんで」
妻「ナンプラーあるといろいろ便利ですよ。この中だったらカオマンガイが一番簡単かも」
出会いはGoogle Adwords!?
森「お二人の出会い的なものが、Googleアドワーズって聞いたんですが……」
夫「Googleで検索したら、右側にリスティング広告が出るじゃないですか。そこに僕が『彼女を募集しています』という広告を出したんです。で、すごい話題になって、記事になったりして」
妻「そのことを人づてに聞いて、私も知りました」
夫「過去にアドワーズで広告出してやってた人が1人いて、それを見たことがあったんです。あとは、Googleから「2,000円払えば10,000円分の広告が出せます」っていうクーポンみたいなのが送られてきてたりもしていて。それで、ネタ半分本気半分で」
森「一応、正しい動機もあったんですね」
夫「でもまあ、来ないだろうって思っていたんです。そしたら、なんだか盛り上がっちゃって……」
森「どれくらいの期間出したんですか?」
夫「募集していたのは1週間ぐらい。で、5人来たんですね。でも、一番先に連絡が来たのが妻だったんです。だから「先着順だ」みたいになって、初対面で新宿かどこかでご飯を食べて、次は上野動物園に行って」
出会って2回目で同棲を決める。
夫「2回目にあったとき、(互いの)家が遠いって話になったんですよ。板橋の方に彼女が住んでいて、僕は大井町に住んでいて。だから『会いづらいから、一緒に住む?』みたいな話をしたら『じゃ、そうだね』みたいな」
森「は、早すぎる」
妻「付き合う前に、一緒に同棲しようって話になっちゃって」
夫「だからほとんど、知らない人と一緒に住み始めた感じですよね」
妻「不動産屋に行って書類を書く時に、まだ互いの誕生日とか知らなくて、『ええっと……? あー、5月なんだ』とか」
驚きっぱなしの森。
妻からの三か条
夫「実はまだ結婚は早いだろうって思っていて乗り気じゃなかったんです。あと、会社を友達とやることになって、起業することも決まっていて」
妻「夫が当時、起業して忙しくなりそうだったから、婚前に3つの条件を出しました」
夫「『1:家で仕事をしやすいように、モニターを買うこと』『2:週に1回、デートをすること』『3:それを守って結婚すること』という」
森「最初に条件を言っていくことって結構大事ですよね、後付けでぽろぽろ言われるのがあまりよくないというか」
夫婦円満の秘訣
妻「何でも具体的に噛み砕いて伝えることかも。ちょっと忙しくて『どうしよう……!ワー!』ってなっている時に、「忙しいんだけど手伝って!』とだけ言ってしまうと、相手もどうしたらいいのか分からなくなっちゃう。だから『この後、どれぐらいしたら洗濯物を一緒にたたむのを手伝ってくれる?』って言う」
夫「そういえば『何分後に』とかは、よく言われますね。確かに『すぐに』とか言われるとイラッと来ちゃうけど、それならこちらも時間の調節ができるし」
妻「あとは、「相手にとって興味がないこと」が何かをある程度把握すること。結婚式のとき、準備の最初の方で、彼があまり興味ないって分かった。だから割り切って、最低限のことを訴える。「二度目の下見は二人で行かないとダメなんだよ」っていう感じで。相手にしたって興味のないことに長々付き合わされるのもストレスじゃないですか」
森「なるほど!普通だったら『もっと式場に興味もってよ!』って言いますよね」
妻「じゃなくて『あと2回行けば済むから!』って言う」
夫「気がついたら結婚式してました」
玄関の壁に貼られている結婚式の写真。
パワースポット
森「パワースポット調べます?」
メシ通スタッフ「またですか? それ恒例なんですか?」
パワースポットを調べる森。
森「前回、あまりに反響がなかったんで、悔しいのでやります。人には属性あるんですよ!そしてそれぞれに相性のある場所があるんですよ。えと……。奥様は……「空」です!」
妻「わ、わーい……」
森「「空」は「東京タワー」がパワースポット! 暇なときに行ってください!旦那さんは、「火」です!「阿蘇山」がパワースポットです!暇なときに行ってください!」
夫「暇なときに行ける距離ではないですね……」
ごちそうになったお礼の動画
というわけで、今回のお礼動画コーナー。
考える森。
森「何かやりたいこと、ありますか?」
夫「そういえば、まだ新婚旅行に行けてないんですよ」
妻「国内だったら北海道とか、海外だったらヨーロッパとか行ってみたいですけどね~」
森「それだ! お二人を新婚旅行に連れてってあげます!」
ご夫婦をつれて猛暑日の公園へ行くことに。
バーチャル新婚旅行へ出かけました。動画はこちらからご覧ください。
撮影風景。
完全にブルーバック合成に失敗しましたが、そんなこと関係ないのです!
要は気持ちなんです!
razokuloverさん、korotoroさん、本当にありがとうございました!!!!
撮影:石川真魚
ご夫婦がお気に入りのお店
サイン 五反田
住所:東京都品川区東五反田2-1-2 remy gotanda 4F
電話番号:03-5421-1532
営業時間:7:00 - 23:00(L.O.Food 22:00 / Drink 22:30)
定休日:不定休
一風堂 五反田店
住所:東京都品川区西五反田1-25-5
電話番号:03-5740-7697
営業時間:月~金/7:00~10:00、11:00~翌4:00 土日祝/11:00~翌4:00
森翔太に食事を作っていただけるご夫婦を大募集!
森翔太の「お宅の夫婦茶碗、お借りします。」では、読者のみなさまから、森翔太をご自宅に招き、食事を作ってご馳走していただけるご夫婦を大募集しております! メシ通Twitterアカウント(@mesitsu)宛に「森翔太の企画へ応募したい」とツイートしてください。その後は、メシ通スタッフがDMを送らせていただきます! ※フォロー外からDMを受信できる設定にしておくか、メシ通アカウントをフォローしておいてください。
自慢の手料理やご自宅がある、森翔太に頼みたい家事や面倒事がある、森翔太に記念ムービーを作ってほしい、などなど、素敵なご夫婦のみなさまからの応募をお待ちしております! ※顔出し出演OKな方を優先させていただきます。
書いた人:森 翔太
映像監督/俳優。1983年生まれ。映画「タクシードライバー」にインスパイアされて制作したガジェット「仕込みiPhone」の動画が、YouTubeに て通算約400万再生、国内外のテレビメディアで取り上げられた。第17回 文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品、Ars Electronica2014入賞。「映像作家100人」(BNN社)などの書籍掲載。サントリー"C.C.Lemon"「仕込み筋肉 3号機」、NISSAN"リーフ"「充電ラブストーリー(エレキングバンド&篠崎愛)」などの監督する。なんにせよ、将来は見えない。公式サイト|Twitter