野球のすごさを味わった一ヶ月、神スイング・稲村亜美インタビュー

いしたにまさき | ブロガー/ライター/アドバイザー

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約1か月前に書いた「トヨタ野球CM動画で注目を一身に集めた稲村亜美の神スイング」という記事、公開日には稲村亜美さんの名前そのものがヤフー急上昇ワードの1位にもなり、おかげさまで大きな反響となりました。facebookでのシェアが4.4万というのも体験したことがない数字です。

この記事はWebの記事にしては珍しく、1か月経過した今もアクセスや反応が続いており、これはなにかが起きたとしか思えない状況です。そこで、これはもうご本人に聞くしかないということで、ヤフーニュース編集部ご協力のもと、稲村亜美さんに直接取材させていただくことになりました。

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・亜美って、ホントに野球やってたんだね

記事で取り上げたトヨタCM自体は、記事の半月前には公開されており、記事公開の時点で約500万再生、現在は約840万再生となっています。

しかし、神スイング記事公開後、稲村さんのところにいきなり情報番組のテレビ取材含めて野球関連のオファーの電話が1日で数件入ったそうです。

稲村:親とか友達から「亜美ヤフー出てるよ!検索ワードだよ!どうしたの?」って連絡がたくさんきて、びっくりしました。友達からは「亜美ってホントに野球できたんだね」って言われて、シニアとクラブチームだったので、たしかに野球仲間以外の普段の友達って私が野球をやっている姿って見てないんですよね(笑)

その後も雑誌・新聞・Webでの取り上げやグラビアでの登場はずっと続き、この1か月で10本以上の取材・撮影を稲村さんはこなしたそうです。3日に1本のペースですからね、すごいことです。

特にグラビアについては、稲村さん本人が以前から野球グラビアというのをやりたいと言ってきたこともあり、野球とグラビアという形で取り上げてもらえたことも、すごくうれしかったそうです。

稲村:球場でグラビア撮影することができて、しかもカメラマンは普段はスポーツ写真を撮っていらっしゃっている方で、アスリートのように撮ってもらいました。おかげで、すっかり日焼けしちゃいましたけど(笑)

また、記事後、各メディアで取り上げられる際には「神スイング」という言葉も稲村さんといっしょになって流通しており、これは私にとっては、新しい言葉を生み出すことができたと思えることでした。

稲村:神スイングという言葉がなければ、こんな風にはならなかったと思います。ありがとうございます。

・野球ってすごい

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トヨタCMの実際の撮影のことについてもお話を聞きました。

稲村:女性はやっぱりソフトボールの経験者が多かったので、野球経験者であった私が最後のバッターに選ばれたというのはあるかもしれません。私が入ってた野球チームでも、最初3人いた女の子たちは、途中から部活のソフトボールの方に行ってしまいましたから。撮影のためにバットを振ったのは20回ぐらいでした、いろんな角度から撮っていたので、数としてはわりと少ないですね。で、実はバッティングはあんまり得意じゃなくて、ピッチングの方がうまいんですが、今回まじまじと自分のバッティングフォームを見たのが新鮮でした。

なお、先日撮影後にはじめてスタッフのみなさんとお話する機会があったそうなのですが、稲村さんのお尻がきれいに見えるように、いちばんいいお尻になるように、なんどもなんども映像を調節したという話を教えてもらったそうです。

稲村:動画見ましたよ!というところから話が進んでいくのがうれしくて、とある雑誌の取材では、会社の野球チームの方がみなさん見学にきてくれて、みんな野球が好きなんだなあって、うれしくなりました。練習はつらかったんですけど(笑)、野球やっててよかったです。

また、最初のテレビの取材のとき、稲村さんのマネージャーさんが実際には聞かれたことなんですが、バッティングセンターで取材を受けている稲村さんを見て、とあるサラリーマンの方が「あの人、もしかして稲村さんですか?、私あの動画を見て、きょうバッティングセンターにきたんです」と話しかけてきたんだそうです。稲村さんのスイングを見て、どうしてもバットを振りたくなってしまった人がいた。これ、ちょっと身震いするような出来事です。

稲村:神スイング記事の後に、ツイッターのフォローが3000人ぐらいだったのが、1万1000人ぐらいまで一気に増えたんです。それって、要するに野球好きのみなさんがフォローしてくれたってことだと思うんです。それに中国人、韓国人の方もけっこう多くて、タイの人もいて、英語の人もいて、、、野球ってすごいと思いました。

稲村さんは、ひょっとして、みんな野球の話をしたかったところに、いわば野球のアイコンとして登場したということに、今なっているのかもしれません。あえて「野球のアイコン」という書き方をしたのは、稲村さんは例えばカープ女子のような感じで、ごひいきの球団が特にないんです。

稲村:野球をやるのは好きなんですけど、野球観戦にはそこまで関心がなくて、実は選手の名前とかもそれほど知らなくて、これを機に関心を持とうかなと思います(笑)。でも、最近は球場にも行くようになりました。

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・ヤフーニュース編集部の技

神スイング記事は、朝8時に公開されました。朝の経済ニュースが中心な時間帯が過ぎた、昼のニュースの11時にヤフートピックスに掲載され、そのまま「稲村亜美」というキーワードは、ヤフー急上昇ワード1位を取りました。

稲村さんは、神スイングという言葉の大事さを語ってくれましたが、そこにさらにヤフー急上昇ワード1位という冠がついたことで、稲村さんの記事が一気に広がっていったことは、何度強調しても強調しすぎるということはないでしょう。

ヤフートピックスは、ヤフーニュース編集部が選ぶものですが、ヤフー急上昇ワードはユーザーの行動の結果です。だから、編集部が決められるものではありません。だから、ヤフートピックスに掲載された記事がヤフー急上昇ワードにダイレクトに反映されたということは、まさに編集部のニュースを選ぶ力がユーザーの評価されたことを意味しており、これはまさに編集冥利に尽きる出来事だったと言えるでしょう。

ヤフーニュース編集部:企業そのものがニュースになることはあまりないんですが、今回のように新しい視点が加わることで、ネットで広がって話題になって、企業のPRだったことがニュースになるという幸運はあったと思います。あとお尻の話ですが(笑)、動画の最後の方に出てくるシーンなので、みんな全部見てから話題にしているというのもすごいと思いました。

そう、稲村さんの神スイング記事は、稲村さん本人の力・記事の書き手・ニュースの編集部・その読書というニュースの参加者全員が作りだした野球の新しいタイプのニュースとなったのです。

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今、稲村亜美さんのところには、野球に関連した様々なお仕事が舞い込んでいます。6月18日は、野球の玩具の新作発表記者会見にも、プレゼンターとして登場しました。

この取材をした日もヤフーニュース個人のエンタメランキング1位は稲村亜美さんの記事でした。つまり、野球が話題になるたびに、稲村さんの神スイング記事は読まれ続けています。

野球の世界では、アイコンはプロの選手がその役割を担ってきました。そのため、野球の世界に女性のアイコンはずっと不在であったように思います。野球の世界で、みんなが共感できる女性のアイコンの誕生の瞬間を私たちは目撃しているのかもしれません。

いしたにまさき

ブロガー/ライター/アドバイザー

Webサービス・ネット・ガジェットを紹介する考古学的レビューブログ『みたいもん!』管理人。2002年メディア芸術祭特別賞、2007年第5回Webクリエーションアウォード・Web人ユニット賞受賞。「ネットで成功しているのは〈やめない人たち〉である(技術評論社)」など著書多数。2011年9月より内閣広報室・IT広報アドバイザーに就任。「ひらくPCバッグ」など、ネット発のカバンプロデュースも好調。

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