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「初心者にオススメの平成ライダーは?」の模範解答を真剣に考える

2015-06-22 18:57:58 | 特撮



こんにちは、YU@K(@slinky_dog_s11)です。

平成ライダーはすでに15年以上も続いており、もはやひとつの立派なブランドと位置付けても良いだろう。ということで、どうしても付きまとうのが「初心者にオススメの平成ライダーは?」という質問。この質問は特撮オタクとして真面目に考え出すと非常に難しく、正解が十人十色だ。相手によって、そして答える人にとって、15通りの答えがある。それを十分に分かった上で、それでもなお、模範解答を考察してみようと思う。

※本記事では未完結の「仮面ライダードライブ」を選択肢から除外しています
※これを考察した私は平成ライダー全てをリアルタイムで鑑賞しており、全ての作品が漏れなく好きという認識の上で語っています。




■まず“初心者”って誰?

「初心者にオススメの平成ライダーは?」。この議題について本気で考えるなら、まずここからやらなければならない。この場合の“初心者”をどう定義するのか。例えば、一口に“平成ライダーを観たことがない人”でも、意味は全然違ってくる。観たことがなくても、例えば昭和ライダーなら観ているのか、また、戦隊シリーズは観ているのか。ヒーローに限らず特撮分野全般には少し詳しいのか。アニメや声優といった方面への興味や知識はあるのか。好きな映画やドラマはどんなジャンルなのか…。

これらの質問を全部ぶつけていけば自ずと「向いている作品」「向いていない作品」が出てくると思うが、そんなケース・バイ・ケースをひとつずつ考えていってもこの場合はきりがない。ということで、文字通り“初心者”という単語を最大限に解釈し、最大公約数で捉えていきたいと思う。つまりこの場合の“初心者”は、【特撮作品全般に疎い20代男性】と仮定したい。「男性」としたのは、普通に考えて仮面ライダーなどのヒーローものは女性より男性の方が観る人が多いからであって、決して女性のファンを軽視したものではない。また、「20代男性」としたのは、世間的に最も趣味に費やす時間があるとされる大学生を中心に考えた結果であり(約50話ある仮面ライダーを完走するにはある程度の時間が必要)、30代以上になると昭和ライダーへの興味の方が強い可能性も高いからだ。





よってこの記事では、【特撮作品全般に疎い20代男性】に最もオススメの平成ライダーを考えていきたい。



■人気と作風から絞り込む

私は以前、Twitterで「平成ライダー総選挙」と称して100人の投票でランキングを付けるというお遊びをしたことがある(詳しくはこちら)。もちろん、100票なんて統計学的には信頼できない数字であり、あくまでひとつの参考なのだが、戦闘シーン部門、ストーリー部門、と経て「あなたが一番好きな平成ライダーを教えて下さい」という質問には、以下の結果が出た。





100人が1人1票しか投票できないスタイルなので(複数投票が不可なので)、少し偏った結果にはなったが、ダブルやクウガが飛び抜けて票を獲得しているのが印象的だ。この票を基に、今度は作風の「明るさ」「暗さ」を横軸として付け加えてみたのが下の表である。作風の定義だが、「テーマやシーンがメイン視聴者層である子供に観せる上で軽いか・重いか(一般教育的にどれほど適切か否か)」「残酷な描写の有無」「主役キャラクターの性格」を総合的に加味した、私の印象によるものだ。また上記の人気度も、「複数投票不可」による偏りを想定して手を加えてある。決して人気が「低い」からといって「不人気」ということではなく、そこは“相対的に”であることをご承知いただきたい。





キバや響鬼も大好きなのだが確かにダブルやクウガからすれば人気が低いと言わざるを得ないのか!?…などと血の涙を飲み込みつつ表を作った訳だが、やはりこの場合「人気が高い」ものからオススメするのが定石だろう。そうなると、この時点で「キバ」「響鬼」「カブト」「ウィザード」「ディケイド」「フォーゼ」「剣」あたりまでは除外されてしまう。分かってくれ、やっている私も辛いのだ。しかしこういう質問の最大公約数を狙っていくのなら、こうやって消去法で決めていかなければならない。

次に作風だが、極端な話、人気が上位ながらいきなり「ファイズ」を勧めるのは、私ならあまり選ばない選択肢だ。個人的には「ファイズ」が一番のお気に入りなのだが、あの毒っ気と美しさが万人受けするとはどうしても思えない。ここも唇を噛みしめながら涙の除外とするべきだろう。同じ意味で、「鎧武」も賛否が分かれてこその面白さがあるので、外しておく。目指すは最大公約数の“一般受け”なのだ…。



■初期の作品の扱い

ここで難しいのが、「クウガ」や「アギト」といった初期の作品だ。今のブランドの基礎を作った偉大な作品群であり、しかも「クウガ」は“シリーズ1作目”という基本とも言えるかもしれない作品。むしろもう「クウガ」が模範解答で良いんじゃないか、とすら思えるが、ちょっと待って欲しい。

信じたくはないが、「クウガ」はもう15年も前の作品なのだ。今あらためて観返してもその素晴らしさとクオリティの高さは健在だが、やはり映像が15年前だ。特に、CGや合成といった面で、15年前の技術で作られているのだ。最大公約数で“オススメ”を狙っていくときに、正直、ここはマイナスポイントのひとつになってしまうのではないだろうか。





もちろん、「クウガ」は何も悪くない。素晴らしい作品だということはむしろ私だって夜通し語れるくらいに知っている。が、昨今の映像作品やVFX大盛映画を普通に観てきたであろう【特撮作品全般に疎い20代男性】は、「クウガ」を観て「合成やCGが古いな…」とは思わないだろうか。思って欲しくない!思われたくない!が!これはもう仕方がない。「古い」とはもうその人にとって絶対的な感覚であり、他者がどうこう言える話ではない。そして、「古い」ことは「悪い」ことではない。アニメでもドラマでも、中身以前に映像の古さが気になってしまう作品というのは、若いオタクの多くはよくあることではないだろうか。それはもう仕方のない感覚なので、「古いから抵抗がある」と言われてしまえば、その人にとって無意識にひとつのマイナスなのだ。

今、架空の【特撮作品全般に疎い20代男性】に「クウガって映像が古いね」と言われて脳内で殴りかかるイメージまで出来上がったが、こればかりは仕方がない。むしろ、他の作品から平成ライダーに入ってもらい、追々「クウガ」という名作に突入して貰った方が、純粋に楽しめるだろう。「特撮ヒーロー」ならではの絵作りは独特であり、まずはそれに慣れて貰いたい以上、「古い」という情報は“一旦は”取り除いておきたい。よって、「クウガ」や「アギト」といった約15年前の作品たちを、断腸の思いで除外する。



■ディケイドや電王といった“特異点”の扱い

こういった質問で扱いが難しいのが、「ディケイド」や「電王」といったレアケースの扱いだ。「ディケイド」は言わずもがな存在がイレギュラーであり、物語も10年間の総括、そして映画に丸投げする最終回は物議を醸した。「電王」は、当時の爆発的な人気を受けての関連作・派生作が純粋に多い。「さらば電王」や「超電王トリロジー」など単なるスピンオフや番外編を超えて本編と同等に語りたい作品も多く、扱いが難しい。





あくまで【特撮作品全般に疎い20代男性】に勧めるとするならば、結論から言うとこの2作は除いていきたい。「クウガ」や「アギト」の“映像が古い”と同じで、作品内容そのもの以外の部分、つまり盤外の諸々もその作品の面白さに加担しているので、そういった付随要素をなるべく少なくする方針で進めるなら、これらの作品も“一旦は”テーブルから外すべきだろう。「ディケイド」を観てから興味があるものにさかのぼる、という手法もよく挙げられるが、初期から10作の全てを観てからディケイドを観た時の感動もプライスレスなので、一概にこれをオススメすることは私には出来ない。「電王」も、シリーズを俯瞰して見た時のその影響力は、もうすこし後のタイミングで観た時の方が分かりやすいだろう。(純粋に関連作が多すぎる、というのも大きい)



■消去法を重ね合わせる

ここまでの結果を全て書き並べてみる。

・人気度から除外
 …「キバ」「響鬼」「カブト」「ウィザード」「ディケイド」「フォーゼ」「剣」

・作風から除外
 …「ファイズ」「鎧武」

・映像面から除外
 …「クウガ」「アギト」

・特殊な扱いによって除外
 …「ディケイド」「電王」


消去法で考えていくと、ここで残ってくるのが「龍騎」「ダブル」「オーズ」だ。上記の全ての方法論をそのまま適用するのなら、人気や作風の総合値を加味した上で、消去法で「ダブル」だろう(自作の表を参照)。重ね重ね言うが、決して「龍騎」や「オーズ」の人気が無いという話をしているのではない。ここまできたら分かってくれ…!俺も辛いんだから!



■結論は「ダブル」

ということで、【特撮作品全般に疎い20代男性】に「初心者にオススメの平成ライダーは?」と聞かれたとしたら、「ダブル」と答えるのが本記事における模範解答となった。これはあくまで「仮にN人に勧めた時により多くの人の“面白かった!”を獲得しやすい作品」という最大公約数を狙ったものであり、作品のクオリティや人気の優劣を安易に決定づけるものではない。そこは、十分に注意していただきたい。だからこそ、例え人気作であれど賛否両論の声がつきまとうものは除外したし、言い換えれば最も広く“一般受け”を狙えるのが「ダブル」なのではないだろうか。





だから、とりあえず「ダブル」が麻雀で言うところの「安牌」だ。「これはちょっと合わなかったかな…」という反応の危険度が最も低く、かつ、そのもののクオリティも高い。人気作ゆえにその後もVシネマや小説といった展開が続き、映画のゲスト出演もほどほどだ。ダブルから、映画のコラボでディケイドやオーズといった他のライダーに入っていきやすい。適度にメディアミックスも豊富なので、現行の新ライダーが始まった時に馴染が早いだろう。(2015年現在の「平成ライダー」コンテンツとしてのバリエーションや方法論の基礎なので)

ただこれはあくまで“最大公約数”と“一般受け”を狙った結果であり、例えば刑事モノが好きな人には「クウガ」を勧めたいし、ドロドロな群像劇を好んで観る人には「ファイズ」や「キバ」だし、学園モノなら「フォーゼ」、少年漫画的な熱さなら「剣」、ドラマ重視なら「響鬼」(後半はなし崩しで観せる)、とにかく雰囲気が陽性の作品が好きなら「フォーゼ」「電王」、といったように、その人の好みのジャンルを探った方が“正答率”は格段に上がる。また、俳優や声優のファンというのも大きな情報だし、むしろ好きなアニメや他の特撮と脚本家が被っていれば儲けものだ。

「人に何かを勧める」というのはプレゼンであり一種の営業なので、相手の好みを的確に探り、沼に引っ張り盛大に引きずり落とすには、やはりテクニックが求められるだろう。その出発点として、まずは“最強の安牌”と言える「ダブル」を、ひとつの目安としてはいかがだろうか。



■ダブルの勧め方

最後に、私がまず推したい「ダブル」の奨励鑑賞順を、記載しておきたい。

1)基本はTVシリーズ全49話
2)TVシリーズ12話と13話の間に「仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010」(ただしディケイド完結編の扱いが難点)
3)TVシリーズ44話と45話の間に「仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ」
4)TVシリーズ完走後、「仮面ライダー×仮面ライダー オーズ&ダブル feat.スカル MOVIE大戦CORE」
5)「仮面ライダーW RETURNS」(Vシネマ2本)
6)「仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦MEGA MAX」(ただしオーズ全話とフォーゼ序盤鑑賞済みが望ましい)
7)「小説 仮面ライダーW 〜Zを継ぐ者〜」(TVシリーズ完走直後でも可)
8)その他の映画ゲスト出演



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4 コメント

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納得です (さばんな)
2015-06-22 20:46:28
私も平成ライダーをリアルタイムで見続けてきた世代です。ダブルが安牌だというのには大いに賛同です。

私が考えるダブルが見やすい理由のポイントは
「敵が分かりやすい」
という点だと思います。

 平成ライダーはグロンギやアンデッド、ヘルヘイムのように敵に物語の重要な設定や謎があったり、ファイズやキバ、グリードのように敵幹部ポジションのキャラが物語を展開するところに複雑さがあります。
 ダブルは犯罪を行う「人間」が敵であり、しかも犯人が犯行に用いるアイテムは主人公側と共通の規格であるガイアメモリだというのは分かりやすいです。
 敵側の組織である園咲家もガイアメモリの売人と分かりやすく、メンバー一人一人のキャラクターも父、長女、婿、次女、ペットとい実に覚えやすい設定となってます。
Unknown (あじろ)
2015-06-22 23:52:52
初心者に勧めるだけでなく、純粋に面白い作品を勧める上でもやはり私もWを推してしまいますね。
個人的にWの大きな美点は各種展開が面白い上に、終了後も全く泥を塗っていないところでしょうか。
本編だけでも面白いのに御馳走のように映画・Vシネ・小説と待ち受けているので本当に贅沢な作品です。

唯一弱点を挙げるなら最初にこれだけ見やすくて面白いものを見てしまうと、あとで他の作品を見た時に物足りなさを感じてしまわないかというところでしょうか。
そういう意味ではオーズ・ウィザード辺りは他と比べれば薄味ながらも最後まで見終わった後は気持ち良く、あとに見る作品のハードルも上げ過ぎず初体験にはいいかなと個人的に思います。
特オタからは個性がないと言われがちなウィザードも、二ノ宮知子さんほどの作家さんが見ても衝撃を受けたという話は興味深かったので。
Unknown (Unknown)
2015-06-23 00:38:05
なかなか面白い企画ですね。
『W』が初心者にオススメ、納得です。
ただ私なんかは映画が物語の根幹にあって欠かすことが出来ないという点から、絞った3作の中では『オーズ』を薦めたいかな。

私は『キバ』で平成ライダーにハマって、以降後続でも遡ってもついにこれを超える面白さは味わえてません。まぁ、正直人には薦めにくいな……と思っていたのですが、最近の配信を観るに、案外そうでもないかもと。わかる人にはわかるし、いい意味で本放送時の熱が抜けていまは観やすい環境かもしれません。
まぁ、そうなりますよね… (Unknown)
2015-06-23 00:38:33
初期の名作を除外する時の心情お察しします。
確かに2話簡潔に途中で飽きられる可能性を除けば、『w』が手堅い選択なんですよね…敵も味方もキャラが立ってて、話は解りやすいし、子供番組だと嘗めている人にも、1.2話の完成度ならある程度は大丈夫でしょう。まさに過不足ないハーフボイルドな作品です。
Wを追いながらドライブ(こっちも粗の少ない事件もの)をリアルタイムで見てもらい、10月スタートの次のライダーが面白ければ001並みに洗脳できます。
ただ…やっぱり龍騎とか555を見てもらいたい…

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