インターネット時代の技術を使って世界各地の都市がもっとうまく機能するようにしたいという発想には、何も目新しさはない。しかし、数十億人の生活を改善するという目標をぶち上げてグーグルが参戦したことにより、なかなか約束を果たしてくれないと大方の専門家がぼやいているこの分野が、新たな注目を集めている。
インターネット検索大手のグーグルは「都市技術」を開発する部門を立ち上げたと発表し、同社らしい大胆さを発揮してみせた。ラリー・ペイジ最高経営責任者(CEO)によれば、この新部門は「生活コスト、効率的な交通、そしてエネルギー消費」といった多くの都市住民にとって大きな問題に影響するアイデアに取り組む。そのトップには、かつてマイケル・ブルームバーグ氏の下でニューヨーク副市長を務め、ブルームバーグ氏のメディアグループのCEOでもあったダニエル・ドクトロフ氏が就任するという。
グーグルは経済・社会生活の新しい分野に進出することがますます多くなっており、今回の壮大な構想もおなじみの反応を招くこととなった。この分野のある専門家は、同社の取り組みのファンを自称しながらも、「かなり思い上がっていると感じざるを得ない」と述べている。
■「ボトムアップ」型で変化起こす
「サイドウオークラボ」と名付けられたこの部門は、いくつかのハイテク企業が取り組んできたいわゆるスマートシティ構想の大半とは異なるものになりつつある。グーグルから声をかけられたマサチューセッツ工科大学(MIT)の都市問題の専門家カルロ・ラッティ氏によれば、ドクトロフ氏は専門家の小グループをいくつか編成してブレーンストーミングでアイデアを出させ、多数の都市住民の人気を得て次々に広がっていく可能性を秘めた実験的なプロジェクトを立ち上げたいと考えているという。
過去に都市のコスト削減やサービス向上を目指して行われた中央主導の「トップダウン」の技術プロジェクトとは対照的に、この種の「ボトムアップ」(下方から上に向かう)のアプローチには急激な変化を低コストで実現させる潜在力があるとラッティ氏は述べている。
スマートシティに関連する巨大な市場が存在する可能性に気づいたのはグーグルが初めてではない。MITメディアラボである部門のトップを務めるライアン・チン氏は「(グーグルは)少し遅れたと思う。IBMなどはしばらく前からこのアイデアを売り込んできている」と言う。
IBMでこの分野のゼネラルマネージャーを務めるマイケル・ディクソン氏によれば、そうした構想のほとんどは、都市の資産を最大限に活用してより多くの価値を引き出したり、将来の投資のために能力計画の効率を高めたりすることをもっぱら目指してきたという。
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