取材・構成 清武英利(ジャーナリスト)
かつて日本人の多くが、製品だけでなく「技術者の楽園」という企業理念に技術立国ニッポンの理想を重ねた、ソニー。経営改革の名のもとソニーの魂が失われゆくなか、待ったと声をあげた男がいた。
黙っていられない
今年1月以来、ソニーの平井一夫社長や取締役のもとに、現経営陣の責任を厳しく追及した意見書や質問状が、たてつづけに届けられている。それは経営刷新、なかでもエレクトロニクス部門の復活を迫る〝建白書〟だ。直近の6月11日付の質問状を含め、すでに4通、A4判で計82ページに及び、「全取締役・経営陣は再任候補たりえない」という言及もある。
まとめたのは、ソニーの初代最高財務責任者(CFO)、伊庭保・元取締役副会長(79歳)だ。
凋落著しいソニーは革新的な商品を送り出すことができないまま、この17年間で都合6度、8万人の削減を掲げたリストラ路線を取ってきた。
それだけに提言は、多くのOBたちの支持を集めている。4月16日には、伊庭氏はPlayStationの生みの親である久夛良木健・元副社長やCTO(最高技術責任者)だった森尾稔・元副社長ら計4人の有力OBとともにソニー本社に出向き、現経営陣に長期的視点に立った再生を強く求めた。
これに対し、リストラ路線へと舵を取った出井伸之・元会長は「株主総会前にメディアに意見出す事止めましょう!」と反乱のOBたちを牽制し、社員やOBの間でも論争になっている。
迷えるソニーは一体どこに行くのだろうか。6月23日に迫った株主総会を前に、批判の急先鋒である伊庭・元副会長に、その真意と再建へのビジョンを聞いた。
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