急落する中国株、「インバウンド消費」への冷水警戒
[東京 22日 ロイター] - 日本の国内消費を支える「インバウンド消費」に、減速警戒感が強まっている。バブル的様相を示していた中国株が急落。高値からの下落率が本格調整のめどとなる10%を超えてきた。中国株がさらに下落し、消費ムードに水を差せば、海外旅行や日本国内でのいわゆる「爆買い」に影響が出る可能性もある。
<本格調整入りめどの10%超える下落>
面白いデータがある。中国からの訪日観光客の出身別地域と、株式投資の含み益の比較だ。来日観光客の出身別では、2013年7─9月時点で、上海が25%、北京16%、広東11%の順となっている。一方、今年1─4月の株式含み益は上海地区の株式保有者が15万元でトップ、2番目が北京の8万元(広東は浙江に次いで4番目)と、ともに1位、2位が同じ都市となっている。
入手可能なデータの違いで比較する時点が異なるほか、大都市から多くの観光客が来日するのは当然とも言えるが、このデータに注目するSMBC日興証券・金融経済調査部シニアエコノミストの肖敏捷氏は、中国株が急落すれば来日観光客の中心である大都市層の「懐」に、多少なりとも影響が出る可能性があると警戒する。
上海総合指数.SSECは前週19日の市場で6%を超える大幅安となった。6月12日に付けた7年半ぶりの高値5178ポイントからの下落率は13%となり、本格調整入りのめどといわれる10%を割り込んできた。年初からみれば、依然として38%高の水準にあるが、このまま急落が続けば「逆資産効果」への懸念が強まる。
肖氏によると、中国では今こんなブラックジョークが流行っている。「株が急落すると、朝までの下落ならなら、お土産はなし、昼までなら海外旅行はなし、夕方までなら、パパはなし(帰ってこない)」。それだけ中国株の急落が庶民の話題になっているということだろう。
<所得水準上昇で底堅い消費>
ただ、中国経済が、これまでの株価の上昇でバブル的な活況を呈していたわけではない。消費は小売売上高が5月まで3カ月連続で前年比10%を超える増加となり、比較的堅調だが、国内総生産(GDP)成長率は投資の減速で7%台に減速。反動はそれほど大きくならない可能性がある。 続く...