即興SS
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即興SS

2015-06-01 03:46

    ○出会い

    夜11時。仕事を終えて退社する。
    安いアパートに帰ると、美少女が全裸で横たわっていた。
    最低限の髪留めでツーサイドアップにしている黒髪。中学生程の体格だ。

    おそらく、1階の入り口から1番近いこの部屋に偶然転がり込んだのだろう。
    うっかり鍵を閉め忘れてた事が何回かあるので、今日がその閉め忘れた日という事だ。
    部屋は荒らされておらず、ただ彼女の足跡だけが転がり込んだ場所で途切れていた。

    警察に連絡……とりあえず服を着せる……詐欺や事件ではないのか……といった思考を押し退けて、ある点に興味と疑問が集中した。
    彼女には猫耳と尻尾がついている。遠目にも作り物とは思えない。
    歩み寄り彼女の隣に屈む。
    おもわず耳に触れてふにふにしていた時だった。

    彼女「ひにゃっ!」
    彼女が目を覚ました。



    俺氏「うぉっ!」
    思わず声が出る、お互いに目線が合い時間が止まる。
    まず、何から言葉をかければよいか分からない。
    犯罪に巻き込まれない為にも、口を押さえ彼女を羽交い絞めにすべきかと思った瞬間。

    彼女「ごはん・・・食べたい・・・」
    俺氏「そっ、そ、その前に・・・服着ようか。取ってくるからちょっと待っててね。」
    そうじゃなくない?と一人ツッコミしながら、服を取りに行ったー


    ○食事

    服を渡した後、体を拭くお湯で塗らしたタオルを手渡した。
    服のサイズがガバガバサイズであった為、半袖のワイシャツを1枚だけ着ているようだった。
    食事と行っても、基本的には野菜ジュースと塩パスタだ。
    コンビにに行くわけにもいかないので、魚の缶詰を総動員し皿に盛り付けた。猫だし。
    これをレンチンでできるご飯と一緒に出す。
    俺氏。やはり塩パスタを茹でる。

    彼女「おいし~~~♪」
    缶詰盛り定食でも喜んでもらうのはうれしかった。
    黙々とおいしそうに食べるので、野暮な話は食後に切り出す事にした。
    彼女「ごちそうさまー」
    俺氏「ご馳走様でした。」

    俺氏「なぁ。」
    彼女が首をかしげる。
    俺氏「何か事件に巻き込まれたの?どこに住んでるの?名前は何?」
    彼女の冴えない表情で一瞬沈黙した。
    俺氏「あー。とりあえず、名前を教えてくれないかな?」

    彼女「私は・・・かおる・・・」
    俺氏「かおるちゃんか、俺は俺氏。俺氏って呼んでね」
    俺氏「かおるちゃんはどうして此処に居たの?」
    かおる「・・・えっと・・・公園のベンチに座っていたの。そしたら夜になっていて、お腹が減って、ここに居た・・・」
    俺氏「うーん、そうかー・・・」

    腕を組んで黙り込む。
    何がなんだか分からない。
    全裸の意味は、家に帰らないのか。
    新手の詐欺や窃盗を考えたが、共犯者がこの少女にそれを任せるかと言うと危うい。
    何かの事件性があるにしても、ヒントは何もない。
    服を探したりご飯をつくってる最中に平行して色々確認したがざっと見る限りでは目に見える変化もない。
    とにかく、話すしかないようだった。

    俺氏「公園に来る前は覚えてる?」
    かおる「公園しか覚えてないの」
    俺氏「どこから公園に来たのか分からない という事?」
    かおる「うん・・・」

    ・・・その後、しばらく話した結果分かった事は以下のとおりである。
    ・公園に居たら夜になった。空腹で歩き出し、最寄のアパートであるこの部屋に入り込む。その後、そこで意識が途絶えた。
    ・彼女の雰囲気から詐欺等は考えられないと判断した。事件性についても、公園にこの子を放置する理由が考えられなかった。かおるの体は足以外綺麗だった(意味深)点も不可解である。
    ・名前以外の有益な情報は得られなかった。

    幸いな事に今日は金曜日であった為、監視と警戒の意を込めて彼女を寝かしつけた後、ネットサーフィンをしながらオールする事にした。
    直近のニュースを一折りチェックしたり、amazonでめぼしい防犯用のグッズと女児用の服をプライムで買った。女児服の入ったカートに妙な罪悪感を覚える。
    健康保険証もないので、念のために家庭の医学書も購入する。

    こんな日が、来るとは思わなかった…。


    ○思い出す

    その後、慌しい数日を過ごした。
    問題解決の前に彼女と穏便な共同生活を成立させる事に徹底した。
    まず、かおるには徹底して俺氏ではなく”お兄ちゃん”と呼ばせる事にし。
    物凄い情けない気持ちになりながら1人でお風呂に入る事もしつけた。
    居留守を教え会社に行った日は気が気ではなかった。
    彼女の容態を観察したり、警官の友人にライトノベルで女の子が転がり込んでくる話あるけど事件的にはどうなのか聞いたり、ネットで類似例を探したりしたが、有効打が打てずにいた。
    特に、生きた耳と尻尾については何も分からず、また直感的に誰かに見せるわけにもいかなかった。
    学者でも、警察でも、この子を誰かに見せるのは本当に行き詰まった場合の最終手段として考えた。

    このままずっと一緒に暮らすわけにもいかないので、休日に何か策を模索していた時だった。
    かおるが会社の書類を手にした時だった。
    かおる「このマーク、見た事ある!」
    驚きより、喜びに近い感情が押し寄せた。
    かおるが指差していたのは、俺氏の勤めているA社の主要取引先であるB社であった。
    (A社はB社の下請けである。)
    B社に勤めている社員さんのお嬢さんのなのかもしれない。
    これまでにない有力な情報だ。
    慌ててB社のHPを開き、かおるに見せる。
    俺氏「これ、このマークの会社だけど、ほかに何か分かる事とか、見たことがある?」
    かおるはしばらく黙った後
    かおる「・・・分からないけど、嫌な感じがする。」
    俺氏「嫌な感じって、どういう事かな・・・?」
    かおる「なんか、嫌なの・・・」
    かおるは小学生並に舌っ足らずである。
    そのため、情報や考えを引き出すのに非常に苦労する。
    それでも色々質問攻めしたら拗ねて離れていってしまった。

    一息ついた所で、B社の名詞を並べて1枚1枚考えることにした。
    独身、既婚、独身疑惑、既婚疑惑に名詞を分類してゆく・・・顔で判断するのは非常に失礼ではあるが・・・
    ところが、ある1枚の名詞に目を奪われる事になった。

     ”藤原 薫”

    そういえば、名詞をもらってしばらくしてすぐに担当が替わった。
    理由は退職との事だった。
    適当な与太話を思いついたところで、携帯に連絡しても繋がらない。
    B社に勤めて長く、親しい人に連絡する事にした。

    プープー
    B社「もしもしー」
    俺氏「もしもし、俺氏ですー」
    B社「あ、俺氏さんどうもですー」
    俺氏「すいません、お休みの日にかけてしまいまして」
    B社「あーいえいえー」
    俺氏「申し訳ないのですが、1つ聞きたい事がありまして、お時間頂いてもよろしいでしょうか?」
    B社「あ、今大丈夫ですよ、ええ」
    俺氏「申し訳ないです。・・・先日退職された藤原薫さんなんですけども、」
    B社「えぇ」
    ピリッとした語調に変わる
    俺氏「彼の私物で返し忘れた物がありまして、住所とか教えていただけますか?何回か携帯に連絡したのですがなかなか繋がらないものでして・・・」
    B社「あーそれなら、私が返しておきますよ」
    俺氏「いやーB社さんにお願いするのは申し訳ないです。私暇なので直接返しにゆこうかと。返し忘れてしまったの私なので。」
    B社「いやーちょうど私の帰り道なので、今度お会いした時にでも渡してもらえればー・・・」

    話は譲り合いの平行線になり、結局お願いする事にした。
    仕方なく、私物として安物のUSBメモリをでっちあげる事になる・・・
    電話が終わりひと段落した所で、名詞をもって拗ねた薫の元へ行く。

    俺氏「かおる」
    かおる「・・・」
    俺氏「無理やり、色々聞いて悪かったよ。」
    かおる「・・・」
    俺氏「その、かおるの事がしりたくてどうしてもー」
    かおる「思い出したの」
    遮るようにかおるは言う。

    かおる「私は、あのマークの会社に居た・・・」

    抱えてた疑惑が確信へと変わり始める。

    ・・・続く?

    ○原案
    成人した人の統合が失調したら見た目が猫耳美少女になる。
    という世界観設定の話が読みたい。
    (URL)
    ツイートのニュアンス的にファンタジー寄りは、実際の病気として知れ渡ってる感じのSF寄りですかね・・・?
    猫耳少女を保護する機関と、引取り人になる話もホットですね!!!!!

    ちょっと、妄想が膨らんで書きたくなり奴。

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