ギリシャと債権者側に大きな隔たり,「進展」度合いにすら異論
2015/05/28 04:29 JST
(ブルームバーグ):ギリシャ救済をめぐる協議で同国と債権者側の隔たりは依然として大きい。交渉の進展度合いについてすら双方から異なる見解が示されている。
ギリシャ政府の当局者は、同国が27日の会議で合意文書の起草に着手すると発言。チプラス首相も解決は近いと記者団に語った。これに対し欧州連合(EU)の欧州委員会当局者は早急な合意はなく、なお多くの作業が残されていると言明した。
欧州委でユーロ問題を担当するドムブロフスキス副委員長は、ギリシャ側の発表を受けてブリュッセルで記者団に対し、「まだその段階ではない。合意に向けてできる限り迅速に作業している」と述べた。
ギリシャは国際通貨基金(IMF)への16億ユーロ近い支払いを来月に控えており5日に最初の期限が来る。匿名を条件に語ったギリシャ当局者は、債権者側との間にまだ意見の相違があることは認めた。また、IMFが合意への主たる障害だとも述べた。IMFのガビリア報道官はコメントを控えた。
ギリシャ当局者の発言が伝えられると2年物ギリシャ国債相場は上昇し、ロンドン時間午後4時58分現在の利回りは114ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の23.77%。
G7で打開策探るルー米財務長官は27 日にギリシャのチプラス首相と電話で会談。ドイツのドレスデンで開催の主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で状況打開を働き掛ける方針を伝えた。
同長官はロンドンで行われたイベントに参加、「議論のための発言をやめ合意が可能な賢明な落としどころを探るべき時だ」と表明。「事故を回避することは欧州と世界経済の利益のために重要だ」と続けた。
欧州中央銀行(ECB)はギリシャの銀行向 け緊急流動性支援(ELA)の上限を前週と同水準の802億ユーロで据え置いた。事情に詳しい関係者が明らかにしたもので、この決定後のギリシャの銀行の流動性バッファーは約30 億ユーロという。
ギリシャ銀行(中銀)は銀行からの預金流出が安定したためELA上限の引き上げを求めなかったとギリシャ政府当局者が述べた。ECBとギリシャ銀行の報道官はコメントを控えた。
原題:Greece at Odds With Creditors as Definition of Progress Absent(抜粋)
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更新日時: 2015/05/28 04:29 JST