日本HPが、5K解像度(5120×2880ドット、最高リフレッシュレート60Hz)に対応した27インチIPS液晶ディスプレイ『HP Z27q』を発表しました。特徴は5K解像度対応モデルとしては異例となる12万8000円(税別)という低価格です。販売開始は本日から。

単に現状の液晶ディスプレイとして見ると10万円オーバーは安価ではありませんが、ライバルとなる市販の5K対応機種はデル『UP2715K』のみで、実売価格は19万円台(税込)。またPC一体型となる『iMac with Retina 5K display』は23万8000円(税別)。こう紹介すると、本機がどれほどの価格破壊モデルかがわかるでしょう。

HP 5K対応液晶ディスプレイ Z27q

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HPのディスプレイの中でも、Zシリーズはプロクリエイター向けの高画質モデルとなりますが、もちろん本機も同シリーズに属するだけあり、安価なモデルというだけではありません。

たとえば色域(色の表示可能範囲)に関しては、Adobe RGBを99%カバーする広色域仕様。もちろんsRGBでは100%、BT.709仕様も100%をカバーします。さらに色補正も、各カラーモードで1台1台に対して実施してから出荷。到着後はカラーマッチングの手間なく、すぐに使える仕様です。

バックライトはLEDタイプを採用し、最大輝度は300nit(300cd/平方メートル)。応答速度が14msで、コントラスト比は1,000:1。応答速度とコントラストが低めなのは、プロ用グレードモデルにはよくある仕様ですが、画質優先の考えから、それらの実効性能を改善する回路を搭載しないため。
デザインなども画質優先のためか、額縁(ベゼル)は現行モデルとしてはかなり太めです。



入力端子はDisplayPort 1.2×2基のみ。これは2系統ではなく、5K表示には2本並列で接続して使います。
ただし注意点として、本体(ビデオカード)側も、DisplayPort 2系統の同時出力に対応する必要があります。現状で動作保証するモデルはHP製ワークステーションの一部モデルとかなり限られるため、現状では注意が必要です。



このあたりは日本HPが公開している資料(下記リンク)を参照ください。ちなみにこうした仕様は、これはデルのUP2715Kと同じです。

Z27q (27インチ 5K IPSモニター)セットアップガイド Ver1.0 (日本HP、PDF)

さらに4ポートのUSB 3.0ハブ機能を内蔵。4基のうち1基は高速充電(USB Battery Charging 1.2仕様)に対応する仕様です。本体スタンドは左右45度までのスイベルと、下5度~上22度のチルトに対応するタイプを搭載します。

本体サイズは634.3×548.8×217.1mm(幅×高さ×奥行)、重量は高画質の27型だけあり、7.42kgと重め。

なお同モデルは、先週アドビシステムズと玄光社が東京・渋谷で開催した『デジタルフォト&デザインセミナー 2015』のHPブースで展示されており、近日の正式発表が予告されていました。



実機を見たところでは、色域や画質は流石HPのハイエンドモデルと呼べる高いレベル。また展示機で動作していたAdobe Photoshopは、UIを拡大しない(ドットバイドット表示)状態でしたが、27インチといえども超高解像度だけあり、画素密度から来る精細さ、そしてアイコンなどの小ささも印象的でした(比較用の指は人差し指です)。



OSDメニューなどもしっかりと日本語表示に対応していましたが、フォントもいわゆる中華フォントなどではなくしっかりとしたもの。5K対応として低価格なモデルではありますが、このあたりも水準以上です。



また視野角や色度変移(角度による色変化)なども、最新IPSパネルだけあり非常に優秀。条件としては厳しい上下方向からでも色変化は少ないものです。このあたりは動画を確認ください。



また、同時に発表された『HP Z27s』も注目製品。こちらは4K解像度(3840×2160ドット)/リフレッシュレート60Hzに対応したIPSパネル搭載機。価格は9万8000円(税別)で、販売開始は本日から。

こちらのZシリーズに属する広色域・高画質の4K対応機でありながら、比較的手頃な位置づけのモデルとなります。

色域はsRGB 100%に対応し、30bitカラーに対応。応答速度は6ms(中間色)。バックライトはLEDタイプ。輝度は最大300nit(300cd/平方メートル)で、コントラスト比が1,000:1。こちらはダイナミックコントラスト機能も搭載されており、有効時は500万:1。

入力端子はDisplayPort×1、Mini DisplayPort×1、HDMI×2(うち1基はMHL対応)の4系統。複数入力からの2画面合成表示として、ピクチャー・バイ・ピクチャーとピクチャー・イン・ピクチャーに対応します。

本体サイズは625.6×535.9×242.4mm(幅×高さ×奥行)、重量は7.8kg。スタンドは90度のピボット(縦画面回転)が可能なタイプ。さらに左右45度ずつのスイベルと下5度~上20度のチルトにも対応。こちらも4ポートのUSB 3.0ハブを搭載します。



このように意欲的な仕様となる2モデルですが、とくにZ27qはまさに価格破壊と呼べるもの。
5K解像度対応機は4Kとの解像度差が比較的小さいことから、急激な普及はあまり見込めない(メーカー側も価格低下に積極的ではない)との予測もあっただけに、この価格はまさに青天の霹靂とも呼べそうなインパクトがあります。

ハイエンドディスプレイの中でも売れ筋の一角となることはほぼ間違いなさそうなモデルでしょう。

HPが税別12万8000円の27型5K液晶、Z27q発売。Adobe RGB99%カバーの広色域パネル搭載

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