東横線追突:ブレーキの力低下、雪や油混じり…安全委報告
毎日新聞 2015年05月28日 11時50分(最終更新 05月28日 13時24分)
関東地方に大雪が降った昨年2月、東急東横線元住吉駅(川崎市中原区)で起きた電車追突事故で、国の運輸安全委員会は28日、ブレーキパッド(制輪子)に付いていたちりなどが雪やレールの油と混ざり合って車輪に付着し、ブレーキの力が低下したのが原因だとする調査報告書を公表した。
事故は昨年2月15日午前0時半ごろ発生。元住吉駅に約30メートルオーバーランして停車していた下り普通電車(8両)に後続の普通電車(同)が追突、乗客72人が重軽傷を負った。
安全委が制輪子を試験したところ、微量でも付着物がある場合、降雪下でブレーキをかけ停止するまでの距離は、ない場合に比べ約1・3倍に拡大。付着物が増えると距離が延びることも確認した。
東横線に乗り入れる東京メトロなどは3カ月に1度の定期点検時に制輪子を清掃しているが、東急の追突車両は定期点検を受けていたものの、最大で約1年8カ月間、制輪子を清掃していなかったという。東急は事故後、3カ月に1度清掃するよう改めた。報告書は、運転規制を見直し降雪時は早めに速度規制や運行中止を決める▽制輪子清掃を定期的に実施する−−などの再発防止策を促した。【松本惇】