FIFAに激震、副会長らを汚職で米当局が起訴-会長選直前
2015/05/28 08:55 JST
(ブルームバーグ):米検察当局は27日、汚職捜査の一環として国際サッカー連盟(FIFA)関係者9人を起訴した。この中にはエウヘニオ・フィゲレド副会長(ウルグアイ)らが含まれる。サッカー・ワールドカップ(W杯)を運営するFIFAは危機的状況に追い込まれた。欧州サッカー連盟(UEFA)は29日に予定されているFIFA会長選の延期を求めた。
スイス警察当局は27日未明、チューリヒの高級ホテルでFIFA関係者7人を逮捕した。スイス当局はW杯開催が決まっているロシアとカタールの選定をめぐり調査を進めている。米国ではFIFAの元幹部2人とスポーツマーケティング会社の幹部らが起訴された。
米司法省は組織犯罪、通信詐欺、資金洗浄に絡む捜査拡大で逮捕者が増えるとの見通しを示した。
リンチ米司法長官は記者会見で「彼らはサッカーの公正さを維持し、ゲームの高潔さを守るための規則を順守するはずだった」と発言。「それなのに自らの利益のため、私腹を肥やすために世界のサッカービジネスを腐敗させた」と述べた。
今回の捜査は世界で最も視聴されるスポーツイベントの指導者らに疑惑の影を落とすものだ。サッカーW杯関連の年間収入は10億ドル(約1240億円)を超え、スポンサーは米コカ・コーラや独アディダスなど幅広い業種に及ぶ。FIFAのゼップ・ブラッター会長の起訴には至らなかったものの、同会長の将来も一転して不透明になってきた。司法当局は銀行業界による関与やFIFA資金の取り扱いについても調査を進めている。
会長選UEFAはFIFAに対し、29日に予定されている会長選と総会の延期を求めた。理事会は会長選が今後半年以内に行われる可能性があるとの見通しを示した。UEFAメンバーらは28日に会合を開き今後の対応を決めるとしている。
1998年以来FIFAを率いてきたブラッター会長(79)は29日に予定されている投票で5期目を目指している。
ドイツのサッカーリーグ、ブンデスリーガのラインハルト・ラウバル会長は「FIFA総会の議題が計画通りに実行されれば、誤ったシグナルを送ることになるのは確実だ」と指摘。「彼らは単に従来通りにビジネスを続けることはできない。こうした疑惑が事実であると判明すれば、FIFAやサッカー界全体に激震が走ることになるだろう」と述べた。
企業スポンサーも警戒感を強めている。コカ・コーラは発表文で、「この長期にわたる問題がFIFA・W杯の使命と理想の姿を汚した。当社はこれらの重大な疑惑について繰り返し懸念を表明してきた」とコメントした。
スイス当局はFIFAのオフィスから資料を押収し、2018年W杯開催地ロシアと2022年開催地カタールの選定に関連した犯罪の有無を調査すると発表した。
原題:Growing Scandal Engulfs FIFA, World Cup in Corruption Probe (1)(抜粋)
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更新日時: 2015/05/28 08:55 JST