先日のエントリーでは、漫画市場規模について紙雑誌、単行本を中心としたデータについて書きました。
今回は、雑誌の印刷部数とマンガアプリのダウンロード数について、2015年5月時点情報で書いてみます。
一般社団法人日本雑誌協会さんが、主要雑誌(マンガを含む)の印刷部数を公表しています。
*:印刷部数は販売部数ではなく、一部返本されています。返本率は各社各誌によってマチマチで、およそ50~30%ほどと言われています。
データは、雑誌協会に加盟して印刷証明付きのものに限り掲載されています。
成人誌を含めると、現在刊行されているマンガ誌は200~300誌にのぼるとされていますが、その中でおよそ60誌の主要データが掲載しているという事になります。
例えば、スクエニのガンガン系や、秋田書店のチャンピオン系の雑誌のデータは入っていません。
四半期ごとのデータの為、最新のデータは、2015年1~3月期のデータになります。
最大の週刊少年ジャンプが240万部ほど、3位のコロコロまでが100万部で、トップ10の総印刷数が約800万部です。
これだけだとピンとこないので、前年の2014年1-3月のデータを載せてみます。
トップ3は変わらず、Wジャンプが30万部ほど落ちこみ、総数が約840万部ということで、前年から全体に40万部落ち込んでいますが、コロコロが60万部代から約40万部上積みして100万部の大台にのっていることが印象的です。
これは『妖怪ウォッチ』の効果と思われます。ジバニャン強し。
しかしまだ、だからどうしたというお話ですね。
日本雑誌協会さんのHPにて、現時点で一番古いデータは、2008年の4月~6月期のデータでしたので、これも載せてみます。
トップは順位、印刷部数共にあまり変わらず、安定の週刊少年ジャンプです。印刷総数は約1140万部ということで、この7年で340万部ほど落ち込んでいるということが判ります。ここまで来ると大きな変化だと思います。
この辺りで、いくつかのことが判ってきますね。
この通算7年間ごしのデータを(途中は精査していませんが)見ると、トップ10の雑誌が1誌も変わっておりません。ランキングもほぼ同じと言って良い形で、ほとんどの雑誌の印刷部数のみ下がっているという状態です。
例えば、この期間の人気就職先企業のランキングでも、それなりに動いていますし、主要なITサービスの栄枯盛衰ぶりを考えると、この動きの無さについては、やはりユーザー層に変化がないと考えられるでしょうか。
次にマンガ少年誌3誌の推移をみてみます。
[『なる☆まん』辰巳出版より引用]
前回エントリーの漫画市場規模の推移と、トップのWジャンプの推移がほぼ一致する形ですが、10年ほど前まではマガジンとジャンプが伯仲しながら、2006年あたりから現在のランキングに落ち着いていることが判ります。
このマンガ雑誌の栄枯盛衰の歴史については、ニコニコ動画に「週刊マンガ雑誌の歴史 」というシリーズがありまして、見事にまとめられております。少々長いですが、ご興味ある方にはおすすめです。
マンガ雑誌に代わる存在として近年注目をされているのが、スマホ・タブレットで閲覧するマンガアプリです。
中でも、マンガボックス、comico、GANMAなどは、オリジナル作品を連載する形をとっており、スマホ時代の新しい形の雑誌と言えると思います。アプリについては、印刷部数に代わりダウンロード数が、その流通量を判断する主要指標の一つです。
現在、連載型のマンガアプリで主要なものは、ほとんどが2013年秋以降のサービス開始となりますが、ダウンロード数とはその数は数百万単位。トップのcomicoに至っては、そろそろ1000万ダウンロードをうかがう勢いです。
[各社プレスリリースや公表されている記事などから作成]
ダウンロード数は、紙雑誌の印刷部数同様、それ即ち毎月毎週マンガを読んでいるユーザー数と言う訳ではありません。こちらの業界で読者数に当たる言葉「アクティブユーザー数」を表す、月次のMAU、日時のDAU数については、ダウンロード数の4~6割ほどの数のユーザーが、各アプリのマンガを毎月ペースで読んでいるようです。
また、マンガアプリにも多様性があり、他社コンテンツを販売するものから、他社コンテンツを販売するものもあります。中でも、公表されている中では最大のダウンロード数となる1100万超を誇るLINEマンガも、最近は連載作品やユーザー作品を掲載し始めました。また、アプリという形はとっていませんが、スマホ上のブラウザで読まれることをメインとし、成人マンガも含めてユーザー数の非常に多い「めちゃコミック」なども、積極的に自社アプリ内のオリジナルマンガ制作を進めています。
次回は、デジタルマンガの市場を中心に、最近の傾向について触れて行きます。