米国:生きた炭疽菌を誤送付…国防総省の研究施設

毎日新聞 2015年05月28日 11時26分(最終更新 05月28日 12時34分)

 【ワシントン和田浩明】米西部ユタ州の国防総省研究施設が、致死性が高く生物兵器として使われることもある炭疽(たんそ)菌を誤って生きたまま米国内9州の研究施設と韓国の米軍施設に送付していたことが27日分かった。同省のウォレン報道部長によると感染は確認されておらず「一般へのリスクもない」という。生物学的脅威の検査方法の開発のため、不活性化した菌を送るはずだった。

 ◇不活性化のはずが…

 国防総省は送付先の州を明らかにしていないが、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、東部メリーランド州や南部テキサス州、西部カリフォルニア州など全米の施設に送られたと報じている。

 ソウル近郊の在韓米軍烏山(オサン)空軍基地の生物兵器検出施設に1検体が送られたが、同省は「適切に破棄された」としている。

 国防総省と共同調査している米疾病対策センター(CDC)によると、事件は炭疽菌サンプルを受け取った民間研究施設からの報告で発覚した。CDCは送付先の研究施設の安全体制の見直しや廃棄物の取り扱いなどについても調べる。

 米国では昨年6月にもCDCが生きた炭疽菌を誤って外部の実験施設に送付する事件が起きている。2001年には炭疽菌を報道機関や連邦議会に郵送する事件が起き、5人が死亡した。

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