大きくなったらどんな自分になっているんだろう? ワクワクしていた子供時代もいつの間にか過ぎ、ふと気がつけば、それなりの社会人になっている今日この頃。今の生活にとてつもなく大きな不満がある訳ではないけれど、果てしなく続く毎日の会社員生活の中、少し気になっている事もある。僕はこれで良かったんだっけ?と。
あまり人には言っていないけれど、僕には1つの夢もある。自分の手で人に喜んでもらえる場所=カフェを作ってみたい。美味しいコーヒーと音楽、誰もが肩の力を抜いてゆっくりと寛げる店。そんな店を作りたい。でも実際のところはどうなんだろう? 脱サラしてカフェを経営するのだって大変に違いない。そんな時にふと、脱サラして三軒茶屋でカフェの経営を始めた先輩を思い出した。
今回はインターネット広告の業界から脱サラし、カフェ経営を始めた先輩に教えてもらった話を皆さんにも共有したいと思います。漠然と同じような事を考えている方々に、少しでもお役に立てば幸いです。
内装やインテリア、メニューなど、まずは自分の妄想を膨らませるべし
カフェを開きたい! と思っても、実際のところ何が必要で、何から手をつければ良いのか? すらわかりません。やはり開業資金?それとも納得のできる物件探しが大変? どれにしても相当なお金が必要になりそう。一人で漠然と考えていても一向に進まないので、久々にカフェを始めた先輩の店を訪ねて相談してみる事にしました。三軒茶屋にあるカフェ「サラヴァ (SARAVAH)」。懐かしいレコードの音が響き、コーヒーの香りが心地よい、夜はBARとしての顔を持つ大人の隠れ家カフェです。
――先輩、ご無沙汰しています。実はちょっとご相談できればと思って。先輩もカフェの経営を始めてもう1年半くらい経ちますよね? 僕も以前からカフェの経営に興味がありまして……。でも実際どのくらい大変なのかとか、何から始めたら良いのかもわからなくて。今日は真面目な話で申し訳ないんですが、実際のところ、何から考えたらいいものですか?
久々に会ったと思ったら、そんな事を考えていたとは。う~ん、カフェの経営も楽ではないよ(笑)。確かに資金のことも、物件のこともどちらも大切だと思う。けどその前に、自分なりにどういったカフェを開きたいのか?っていうコンセプトやイメージに当たる部分を先に考えてみた方がいいと思うよ。自分が開くカフェの光景をリアルに想像していくことで、開業に必要な資金の額も、物件選びのこともわかるようになるから。
どのくらいの広さのお店で、どんな内装、インテリアで、どんなメニューで、そこにどんなお客さんが座っていて。リアルにその光景を想像していって、テーブルやイスの値段を調べてみたり、テナントの相場感なども調べていって。自分もまだ1年半の経験だから、あまり偉そうには言えないけれどね。焦る必要もなくて、そういったところから少しずつ学んでいくのも良いと思う。
【ポイントその1】自分の開くお店の光景をリアルにイメージすることが第一歩
事前学習も大事だが、もっと大事なのはスタートを切ること
――先輩も以前まではネット広告の業界で頑張ってましたよね。まあ先輩が会社に居た頃と今も、やってる仕事の内容はあまり変わっていませんが。相変わらずクライアント対応に追われる毎日で、自分がどんなカフェを開きたいか? もほとんど考えられてなくて。先輩の場合は何がきっかけになって、脱サラを決めたんですか?
実は明確なコンセプトやイメージのことはあまり決められてなかったよ(苦笑)。「俺、このままで良かったんだっけ?」っていう同じような想いがあって、レコードをかけながら、美味しいコーヒーがゆっくりと味わってもらえるお店にしたい。というくらいだったと思う。「癒しの音楽とコーヒー」がコンセプトかな。そんな時、プライベートで通っていたバーのオーナーに「カフェの経営に興味があって」と話をしていたら、「じゃあ、昼間の時間帯にお店を貸すから、カフェをやってみたら?」と言ってくれて。そこから一気に開店まで進んだ感じ。
――それで一気に開店まで?脱サラするの不安じゃなかったですか?
もちろん不安がない訳ではなかったかな。でも若いうちに何かやりたい!っていう想いも強かったし。どちらかというと思い切って会社を辞めてから、カフェの開店に向けて本気で動き出した感じかな。素人だったから勉強することも一杯あったけど、進めながら必要なことを学んでいったんだと思う。人間、必要に駆られると学ぶようになるね(笑)。
【ポイントその2】事前に学ぶに越したことはないが、一步を踏み出して初めて本当に学べる事もある
近隣の店の人気メニューも調査し、自分の店ならでは看板メニューを考えるべし
――先輩、僕の場合は料理が得意な訳でもないんです。美味しいものを食べるのは好きですが……。提供する料理、フードメニューの事って、実際のところはどうしたんですか?
もちろん同じように料理のプロという訳でもなかったし、フードメニューをどうするか?については結構苦労したよ。自分で作れないものはお客さんに出せないし、何でも揃えるという訳にもいかないし。コーヒーに合わせて美味しく食べられるもの、シンプルだけどまた食べたくなるような味。そんなイメージからスタートして、段々と選択肢を絞り込んでいって。もちろん近隣のお店はどんなメニューを提供しているんだろう?と思って学ばせてもらったりもしたかな。ついでに値段(設定)のことも参考にさせてもらったり。
【ポイントその3】出店候補エリアのお店の状況、メニューや価格設定のこともリサーチしておこう
これはあくまでも自分なりの考え方だけど、看板商品になるメニューというか、目玉になるようなメニューはあった方が良いと思う。できるなら近隣の他のお店が提供していないもので、お客さんに人気があるもの。お客さんに何の店として覚えてもらうか?記憶してもらうか?はかなり重要だと思う。低価格で安いというよりも、店独自の価値になるもの。そんなメニューが見つけられるのがベストだと思う。
【ポイントその4】お客さんに何によって覚えてもらうか?低価格がウリでなく、店独自の価値追求を
集客はシビア。だからこそ開店告知のためのWEBやチラシの制作は手を抜かないように
――なるほどです。すみません根堀り葉掘り色んなことを聞いてしまって。ついでにもう少しだけ教えて頂きたいんですけど、開店したらお客さんって案外来てくれるものなんですか?それともやはり厳しいものですか?
いやいや、たぶん予定通りにはいかないよ。俺自身もカフェ経営を舐めてたな~って今になってみれば思うから(笑)。既存店の昼間の時間帯を借りて営業するという方法で初期投資は抑えられたし、会社を辞めてから半年間コーヒーの淹れ方や料理の事を学びに行ったり、店舗経営の数字面のことも学んだりした。それでも順調とは言えなかった。開店してお店の看板を出しておいたらお客さんは来るか?っていうと、残念ながら全く来ない(苦笑)。なかなかシビアだよ。開店して半年くらい経つまでは、お客さんが定着してくれるまでは本当に厳しかったと思う。
――やはりお客さんの集客は簡単じゃないっていう事ですか?
簡単ではないよ。ただ俺の場合は開店準備に追われていて、お店の広告宣伝のことまで手が回っていなかった。だから開店前にWebサイトの準備もできていなかったし、開店を告知するチラシなども準備できてなかった。そして開店してから危機感を感じて、近隣に住むお客さん向けにチラシを用意してみたり、Webを始めてみたり。あとはお店の存在に気付いてもらうための看板作りにも力を入れたかな。知らないお店に入ってきてくれるお客さんって本当ありがたいものなんだよ。
【ポイントその5】開店前までに、開店を告知するチラシやWeb、看板などをしっかりと準備しておく
一人のお客さんに喜んでもらえなければ、リピートなんて望めない
――先輩もこの1年半の間にいろんな事を経験されてきたんですね。すごく参考になる話ばかりでありがたいです。最後にお金のことも含めて、カフェ経営で気をつけた方がいい事ってありますか? ぜひ僕に何かアドバイスをしてほしいです!
そうだなあ。カフェの経営って、店作りももちろん重要なんだけど、それなりに自分で覚悟することも必要だと思う。もし事前に少しでも経営上のリスクを取り除いておきたいと思うなら、今は徹底的にシミュレーションをしておく事が大切。これは後々になって考えておいて良かった!と思うことになるから。
例えば初期投資にどのくらいのお金をかけるか?については、裏返せばどこまでのリスクを取るか?という意味にもなる。大きな投資をしても成功するとは限らないので、自分の許容範囲を超えた無理な投資はしないという開業の仕方もある。初期投資でカッコイイ店を作りたい!っていう気持ちもあると思うけど、開店後の運転資金は本当に大切。運転資金がなければ経営もパンクするからね。
店作りのコンセプトのこと、物件のこと、経営計画、資金の準備、メニュー作りまでを考えていったら、お店を開業するためのリアルな行動が必要。最初は頭の中でエア経営というか、机上で考えるだけでもできるけど、いざ開店となったら、いろいろと体も動かさないといけない。営業を許可してもらうため、各方面のお役所に届出も必要だし、調理や接客の実地訓練も出来る限りやっておいた方がいいし、さっき話した広告宣伝のこともしっかりと準備しておかないといけないし。
けど開店してみて一番大切だなと思ったのは、わざわざ自分の店に足を運んでくれたお客さんに対して、如何に喜んでもらうか?ということ。来店してくれたお客さんに対して120%の気持ちとサービスで接していかないと。一人のお客さんに喜んでもらえなければ、リピートなんて望めないし。けど、そうやって120%の気持ちで仕事をしていると、カフェを開いて良かった!と思える嬉しい瞬間もたくさんあるよ。ここについては言葉で説明するのは難しいけど、店を続けていけばいくほど、不安の反対側にある「喜び」のことも感じられるようになってくると思うよ!
※今回はカフェ経営のことをリアルにお伝えするために、実在するカフェのオーナーさんにご協力を頂き、実際の経験、体験談をお話頂き、その内容をもとに記事を制作いたしました。尚、記事中に登場する相談者=僕については、取材者の視点であり、架空の登場人物となっています。
今回取材にご協力頂いた方:カフェSARAVAH(サラヴァ)オーナー 金澤信哉さん
夜はバー「Junc de cote cote(ジャンク・デ・コテコテ)」という別の顔を持つSARAVAH(サラヴァ)は、大人の雰囲気を持つ隠れ家的カフェ。新鮮なコーヒーにこだわり、コーヒー豆の焙煎は少量ずつと業者にお願いしているとか。コーノ式ペーパードリップで淹れるブレンドコーヒーとストレートコーヒーを始めとして、アレンジコーヒーや紅茶、アルコールまで揃っています。懐かしいレコードの音とともに、コーヒーの良い香りが漂うお店。ランチタイムの一番人気は、だしベースのスープから作る特製のハヤシライス。ブラウンソースはデミグラスソースベースではなく、あっさりマイルドなトマトベースに玉ねぎの甘みと新鮮な豚肉を使用することで旨味を引き出しています。8のつく日はハヤシライス特割日だそうですよ!
カフェSARAVAH(サラヴァ)
住所:東京都世田谷区若林1-8-8デンス河野ビル102
営業時間:11:00~19:30(LO:18:45) TEL:03-3410-7514
公式HPはこちら
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