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「両親は110歳」に漫然と支給を続けた年金機構 問われるチェック態勢 要確認は全国8千人も

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「両親は110歳」に漫然と支給を続けた年金機構 問われるチェック態勢 要確認は全国8千人も

 鈴木光枝容疑者

 両親生存を装い年金を不正受給したとして、岐阜県警が詐欺の疑いで無職、鈴木光枝容疑者(86)=岐阜県恵那市=を逮捕した事件は、約50年にわたり年金が漫然と支払われていた実態を露呈した。日本年金機構(旧社会保険庁)が支給した総額は5千万円以上とみられる。なぜ発覚がこれほど遅れたのか。チェック態勢が問われている。

 虚偽見抜けず

 日本年金機構は、受給者の生存確認に住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)を使っている。住基ネットに未登録の場合は、受取人が年1回機構に提出する現況届で確認する。

 県警によると、鈴木容疑者の母は昭和40年4月、父は43年7月に亡くなり、恵那市に死亡届が出された。2人は住基ネット整備前に死亡したため未登録だった。

 鈴木容疑者は、両親が生きているとする虚偽の現況届を提出して年金を受け取っていた疑いが持たれている。鈴木容疑者は「身に覚えがない」と否認している。

 両親は生きていれば110歳以上で、あまりに高齢だとして恵那市に問い合わせるまで機構は生存確認をしていなかった。死亡届が出ていることで虚偽に気付き、ことし3月に県警に告発した。

 公印、どうやって

 恵那市などによると、平成9年まで、現況届には受給者の生存証明として市区町村長の公印が必要だった。当時、同市では市民課が対応していた。市側は「死亡届が出されている以上、公印を押すことはあり得ない」と説明している。

 鈴木容疑者は平成元年まで恵那市職員で、会計課や税務課などに所属していた。しかし市側は「所属の異なる市民課の公印を持ち出すのは不可能」としている。

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