杜の都で陣取り合戦 来月「イングレス」開催
ネット検索大手のグーグルが運営する携帯端末の位置情報を利用したゲーム「イングレス」の公式イベントが6月20日、仙台市で開かれる。国内開催は東京、京都に続く3カ所目で、参加者は数千人規模と見込まれる。ゲームを観光振興に生かす事例もあり、市は受け入れ準備に乗りだした。
イングレスは緑と青の陣営に分かれたプレーヤーが仮想空間で陣取りをするゲーム。現実の建物や史跡、記念碑などがゲーム内の拠点「ポータル」に指定されており、プレーヤーは現地を訪れた上でスマートフォンなどを操作し、拠点同士をつないで陣地を広げる。
公式イベントは年4回あり、大人数が集団戦を繰り広げる。ことし3月の京都には国内外から5600人以上が参加したといい、仙台にも同規模の人が訪れるとみられる。
仙台市内には勾当台公園や仙台城跡(青葉区)に、歴史的建物や彫刻作品などのポータルが存在。市がかつて実施した彫刻のあるまちづくり事業も、多くのポータルが指定されるのに一役買っているという。
昨年秋ごろから遊び始めたという泉区の会社員斎藤俊さん(54)は「会社の同僚に勧められたのがきっかけ。ただ歩くよりも楽しみながらウオーキングできるのが魅力」と語る。
プレーヤーが現地に足を運ぶという特性に注目し、地域の観光に活用する例もある。岩手県は昨年9月に「イングレス活用研究会」を設立し、独自イベントを開催した。陸前高田市も同様の研究会を設けている。
仙台市観光交流課は参加者の受け入れに向け、主催者側と協議に入った。担当者は「海外からの参加者も多いと聞く。おもてなしの準備をしたい」と宿泊施設確保の対応を検討する。
イングレスを提供するグーグルの社内ベンチャー「ナイアンティック・ラボ」の担当者は「プレーヤーには、ゲームはもちろん仙台や他の東北の街も楽しんでほしい」とコメントした。
2015年05月10日日曜日