[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第122回】ハイレゾ全曲レビュー:TMNの名盤「CAROL」の聴きどころ徹底解剖

高橋敦

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2015年04月13日
■イントロダクション〜ハイレゾの宇宙を越えて〜

僕はTM NETWORKのマニアでも小室哲哉氏のマニアでもなかった。しかし70年代生まれの僕らの世代にとって彼らの音楽はマニアだけのものでは全くない。彼らの音楽そのものが特に意識せずとも自然と耳に届いてきていたし、僕らがその後に聴いた音楽も彼らから何かしらの影響を受けたものが多かったと思う。それを積極的に取り入れた形にせよ、それへの反発という形にせよ。とにかく、TM NETWORKは僕らの世代の共通体験だ。

そして1988年に発売された本作「CAROL -A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991-」は、彼らの珠玉の作品群の中でも特別な存在感を放つ作品だと思う。この作品で初めて「コンセプトアルバム」というものに触れた方も少なくないのではないだろうか。

「CAROL -A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991-」

その作品がアナログマスターテープからハイレゾ化され発売されるという朗報は、それ自体が大きく歓迎された。しかし発売されたそれによってもたらされた衝撃はさらに大きかったはずだ。実際に聴いた方なら納得してもらえると思うが、その音質がすばらしい。そしてそのおかげでこの作品に込められていた音楽性、音楽としての完成度がさらに露わになり、僕らはいま再びもう一度この作品に感動できたのだ。

やらないわけにはいかないだろう。ハイレゾ全曲レビューを!

…というわけで今回はそういう企画だ。TM NETWORK「CAROL -A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991-」ハイレゾ版(ダウンロードはこちら)の全曲を主にオーディオ視点でレビューし、それだけでは飽き足らず「BEYOND THE TIME (EXPANDED VERSION)」についてはもっと詳細に語りまくる。※ちなみに前回のハイレゾ全曲レビュー:宇多田ヒカル「First Love」はこちら

1988年の「CAROL」が2014年にもたらした幸運

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