トップページ社会ニュース一覧海岸に約160頭のイルカ 救出作業
ニュース詳細

海岸に約160頭のイルカ 救出作業
4月10日 17時50分

10日朝、茨城県鉾田市から鹿嶋市にかけての海岸に、イルカおよそ160頭が打ち上げられているのが見つかり、地元の人たちが救出作業に当たりました。
10日午前6時半ごろ、鉾田市の海岸に多数のイルカが打ち上げられていると通報があり、鹿島海上保安署で調べたところ、鉾田市から南側の鹿嶋市にかけての鹿島灘に面した海岸におよそ160頭のイルカが打ち上げられているのが確認されました。
鉾田市によりますと、打ち上げられたのは、イルカの一種「カズハゴンドウ」で、いずれも体長は2メートルから3メートルあり、体中が傷つき、衰弱していたということです。海岸では、地元の人たちやサーファーがイルカをシートに載せるなどして海に戻そうとしたほか、子どもたちがイルカの肌が渇かないように水をかけ続けるなど、救出作業を行いました。また、比較的体力があるイルカを沖合で放流するため、3頭が海上保安庁と県警察本部の2隻の船に載せられ、10キロほどの沖合で放されました。3頭のイルカは、海に入ると、勢いよく泳ぎだしていったということです。しかし、衰弱して死んだイルカも多く、ショベルカーで砂浜に穴を掘って埋める作業も行われました。
鉾田市などでは、午後5時をもっていったん作業を打ち切り、11日朝から作業を再開することにしています。
茨城県内では、4年前の3月にも、鹿嶋市の下津海岸に52頭のカズハゴンドウが打ち上げられているのが見つかりました。

救出作業に当たった人たちは

救出作業に当たった地元の人たちは、イルカの体が傷つかないように海に戻そうとしていましたが、イルカの衰弱は激しく、波で再び浜辺に打ち寄せられていました。地元の男性は、「生きているから助けたいのですが、戻ってきてしまいます。なぜこんなことになってしまったのでしょうか」と話していました。イルカを救おうと水をかけ続けていた女性は、「テレビで見て、近所だったので、急いでバケツを持って駆けつけました。水かけないと死んじゃうから、かわいそうです」と話していました。
アクアワールド茨城県大洗水族館の海獣展示課の酒井孝副参事は、「温帯域にすんでいるので、この種類のイルカがこんなにこの地域で打ち上げられるのは異常な事態だ。餌を深追いして迷い込んだ可能性など、ほかの機関とも協力して原因を詳しく調べていきたい」と話していました。

専門家「原因は主に3つか」

イルカやクジラの生態に詳しい、水産総合研究センター国際水産資源研究所の木白俊哉鯨類資源グループ長は、イルカが集団で砂浜に打ち上げられる現象は、国内外でたびたび報告され、これまでの研究で、主に3つの原因が考えられると話しています。
イルカは海の中の磁気の強さを感じ取り、同じぐらいの磁気の場所をたどって泳ぐとみられています。そうしたルートを泳げば、通常は陸に出くわすことはありませんが、そのルート上に海岸線があると、そこに打ち上げられる可能性があるということです。また、シャチなどの天敵に追われているうちに打ち上げられてしまうことや、イルカの平衡感覚をつかさどる内耳と呼ばれる耳の器官に寄生虫が付いて、方向感覚を失ってしまうことも原因として考えられるとしています。また、一度に大量のイルカが打ち上げられることについては、イルカは群れで行動するため、数匹が異常な行動を取ると、ほかのイルカもそれにつられてしまうことが原因になっている可能性があると指摘しています。

関連ニュース

k10010044091000.html

関連ニュース[自動検索]

このページの先頭へ