スマートフォン向けゲームアプリ「ねこあつめ」に登場する日本庭園について、新潟の文化遺産・旧齋藤家別邸の担当者が“本気”で解説しました。取り上げているのは、和風の趣が印象的な「池と床の間」。旧齋藤家別邸の庭と比較し、橋の位置や座敷から見える風景などをプロの目線で詳しく説明しています。
▽ 新潟市:旧齋藤家別邸 » 「ねこあつめ」の日本庭園を真面目に鑑賞する
解説した担当者は、自身も「ねこあつめ」を楽しみながらプレイしているそう。バージョン1.2.0へのアップデートで新機能「もようがえ」が追加され、庭や建物を日本庭園風の「池と床の間」に変更できるようになったことから、旧齋藤家別邸と比較しながら“真面目に解説”しています。アップデートでは、わらを編んで作る新潟の伝統民芸品「ねこちぐら」もアイテムに加わりました。
担当者はまず、庭園の構成に着目。「池と床の間」では、左上に配置されている垣根の向こうから客人が通され、垣根が途切れた場所に架けられた橋を渡る動線になっています。担当者によると、橋は日本庭園で重要な構成要素の1つだそう。園路の演出に変化を与えられるだけでなく、橋の上に立つと目線が少し高くなることから「庭園を眺める地点としても大事」とのことです。特に「池と床の間」の場合、垣根で遮られた視界が橋の上で一気に開けるため、印象深さは一層だと説明しています。
建物については、床柱にあえて樹木の肌が見える丸太を使うことで印象づけていると指摘。デコボコとした表面は「柱にすり寄る猫たちの心地よさを重視したのかもしれません」と分析しています。さらに、この座敷の最大のポイントは「角の柱が一本無い」こと。開放的な造りは旧齋藤家別邸とも共通しており、庭園の眺望を重視し、極力柱が少ない構造にしているそうです。担当者は「このお屋敷の当主は、悠久自然の中に身を置く心地よさ、穏やかな気持ちを客人に感じさせようとしている」と締めくくっています。
解説では日本庭園を鑑賞するポイントも押さえているので、今後庭園を訪れる際の参考にもなりそうです。はてなブックマークのコメント欄には「角柱がないのは匠の技だったのかw」「こんな視点を持てたら日本各地の庭園がより楽しめそう。そんな世界があることを教えてくれた良エントリー」「今まで興味無かったのにこの解説のせいでねこあつめDLしてしまったじゃないか!」などの反応が集まっています。
ヒットポイントが開発した「ねこあつめ」は、遊び道具やごはんを庭先に置いて猫を集めるゲームアプリです。基本は猫の様子を“眺めるだけ”ですが、かわいらしいイラストや部屋の模様替えができる機能などが人気を呼び、2015年4月現在、Android版とiOS版で合計300万ダウンロードを突破しました。
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