モバイル端末の電力を激しく消費することで知られるAR陣取りゲーム Ingress のエージェント(プレイヤー)にとって、必携のアイテムとも言えるモバイルバッテリー。ダンボーバッテリーで知られるcheero が2月に発売したIngressコラボ製品 cheero INGRESS POWER CUBE 12000mAh (CHE-058)は、白・緑・青の3色に発光するギミックが特徴です。
INGRESS POWER CUBE 本体のインプレと、花見シーズンの上野公園で Ingress をプレイし続けたら何時間保ったのか?をプレイリポートを交えつつお伝えします。
Ingressは、Googleの社内スタートアップ「Niantic Labs」が開発・運営するAR陣取りゲーム。プレイヤーは覚醒者(Enlightened、緑)と抵抗勢力(Resistance、青)のいずれかに所属するエージェントとして、実際の地図上に点在する拠点(ポータル)を奪い合い、ポータル同士を結んで作ったCF(Control Field)の総面積を競います。
3月に行われた世界規模のイベント Shonin XM Anomalyでは、日本の開催地に選ばれた京都に多くのエージェントが集い、熱い戦いが繰り広げられました。参加者は5000人を超えたと報告されており、未だ衰えない高い人気が伺えます。
地図上には日を追うごとに新たなポータルが発生しており、エージェント活動が捗る一方、問題となるのはIngressのバッテリー消費量です。プレイ中はGPSとWifiをフルに使い、液晶画面を常時点灯させ、端末によっては処理落ちが起こるほどの激しいエフェクトがかかる場合もあるので、一般的なスマートフォンで集中的にIngressをプレイした場合、見る間にバッテリー残量が減ってゆきます。
そうした状況の中、エージェント達の必須アイテムになっているのがモバイルバッテリーです。中には1人で複数のモバイルバッテリーを運用するエージェントもおり、フリーゲームであるIngressの「リアル課金」対象としてメジャーなアイテムの1つとなっています。
cheero の POWER CUBEは、2.1Aと1AのUSB出力ポートを各1つ、計2ポートと、充電用のmicro USBポート1つを装備。空の状態から満充電までの充電時間は、コンセントに接続した状態で約10時間が目安です。接続機器に給電しながらバッテリー本体への充電を行うことはできません。出力と入力にコネクタを挿入した場合は、バッテリーへの充電(入力)が優先されます。
パッケージ内容。このほかADA REFACTOR、JARVIS VIRUS、POWER CUBEがもらえるコードの書かれたINGRESS MODが同梱されています
ポートは2.1Aと1Aの2つ。INPUTはバッテリー本体への充電用
価格は5980円。同容量帯の比較的安価な製品と比べてやや割高な価格設定となっています。ただし、これを超える容量になると値段が跳ね上がって1万円台に乗り始めるので、Ingressオフィシャルコラボという付加価値を考えると法外に高いわけでもありません。
外形寸法は約157×75×19mm。重量は約285g。ワット時定格量は44.4Whで、航空機内持ち込みが可能な容量です。ちなみに単体のリチウムイオン充電池(160Wh以下)は機内持ち込みのみ可能で、受託手荷物としては機内に持ち込めません。
電源を入れると、Ingressのロゴをあしらった中央のLEDが明滅し始めます。LEDボタンを押す度に緑、青、3色(緑/青/白)の3パターンで発光色が変化し、長押しすることで中央のロゴを取り囲むように配置された単色のLEDも発光します。
外部機器に給電しない状態が2分間続くと自動的に消灯しますが、電源ボタンを長押しすれば直ちに消灯することもできます。ただしLEDを消灯しようとして誤ってLEDボタンを長押ししてしまうと、ロゴ周囲のLEDまで点灯してしまい悲しい気持ちになるので注意してください。
LEDが点灯すると、XMを思わせる光の粒が浮き上がります
POWER CUBE最大の特徴であるIngress色全開の外観は、Ingress関連のイベントなどで各ファクション(陣営)のカラーに合わせたコーディネートの一環として身に付け、イベントを盛り上げる活かし方が考えられます。エージェントであることを言外に表明したい場合は一発でそれとわかるので、そういう意味では便利なアイテムと言えます。
とはいえ日常生活では他のプレーヤーに見つけてほしくないときもあり、敵味方問わずリアルキャプチャー(ほかのエージェントと出会うこと)をされたくない向きには、ほかのモバイルバッテリーと同じように、鞄の中などでひっそり運用するのがベターでしょう。
電源を入れると、残量のインジケーターが点灯します
LEDボタン(左)と電源ボタン(右)
さて、実際のプレイでPOWER CUBEを使った場合、バッテリーがどの程度保つのかを試してみました。スマートフォン(HTL22)とモバイルルーター(NAD11、WiMAX2+)を繋いだままひたすらIngressをプレイし、バッテリー容量が無くなるまでのおおよその時間を測ります。
HTL22の電源設定は省電力モード、ディスプレイ輝度は自動調整。ロケーションは上野公園一帯で、時期は4月初旬の休日。あいにくの曇天ながら、通りは桜の散り際を楽しむ花見客で大いに賑わいました。
この界隈は公園、美術館、博物館、図書館、動物園、寺院、神社、学校、研究所など歴史的な建造物が数多く集まる関係でポータルも密集しており、人の集まる場所と時期も相まって、当日は相当数のエージェントが活動していたとみられます。
モバイルバッテリーにスマートフォンとモバイルルーターを接続した状態で使用しました
バッグからケーブルだけを出して使用。結局、バッテリーを取り出す機会はありませんでした...
週末の上野公園一帯。ポータルが密集しており、キャプチャーするそばから奪い返されるのでリンクもほとんど見当たりません
いかにもポータルなオブジェクトや建物が数多く存在します
週末の上野公園はあいにくの天気でしたが、日が暮れても桜を楽しむ人々で混雑していました
結論から言うと、本体とバッテリーで朝から晩までおよそ13時間程度持続しました。使い方次第で持続時間も変わってくると思いますので、プレイスタイルも記載しておきます。当日は上野公園界隈のミッションをこなしつつ、既存のポータルやリンク、CFを補強していく方針でした。
狙えそうであればユニークポータルのキャプチャーとCFを作成し、グリフハックも積極的に行いました。地域のコミュニティには参加していないので1人でマイペースに活動します。この日は時々休憩を挟みながら丸一日プレイを続けた結果、17万弱のAPが得られました。
筆者はつい先日LV8になったEnlightenedで、L8のXMPが撃てるようになったうれしさのあまりXMPを撃ち過ぎて、ひとしきり自宅近辺のポータルを白くしてハッと我に返った時期。そうした事情でXMPの在庫が少なめだったことから、キャプチャーは白(中立)ポータルを拾う形をメインに、上野公園の緑化に励みました。
我に返ったときのL8 XMP Bursterの数
チャンスがあれば、あまり邪魔にならない範囲でCFやリンクを張りました
結局のところ、POWER CUBE自体は普通のモバイルバッテリーですが、Ingressを象徴するポータルをモチーフとしたことで、公式コラボアイテムとしての存在感を演出しています。数あるモバイルバッテリーの中で敢えて本機を選ぶ理由はそこでしょう。
単にモバイルバッテリーが必要なのであれば、必ずしも本機である必要はありません。例えばエージェント同士集まる際の目印にしたり、先述のようにイベントを盛り上げるファッションとして使ってみたり、せっかくの外観とギミックなので、ゲームをより楽しむ方向に活かしたいものです。