「ブロントサウルス」は、これまで同じものだと考えられてきた「アパトサウルス」とは異なる、独立した別の種類の恐竜だった──ポルトガルとイギリスの研究チームが4月7日、化石から調べた研究結果を発表した。かつて一般にも広く親しまれながら姿を消して久しい人気恐竜が再び表舞台に戻ってくるかもしれない。
1億5000万年前のジュラ紀に生き、首の長い巨体として想像図が描かれた「ブロントサウルス」(「雷竜」とも)は、恐竜ものの活劇などで決まって登場した、恐竜界の往年の人気スターだ。
だが現在出版されている恐竜本を開いても「ブロントサウルス」は載っていない。ネットで検索しても、代わりに表示されるのは「アパトサウルス」だ。恐竜好きの子どもに聞いても「ブロントサウルス」はきっと知らないだろう。これは100年以上前に起きた、命名をめぐる混乱が原因になっている。
「ブロントサウルス」は米国で見つかった化石から米国人によって命名された。だが、その後の研究で、この「ブロントサウルス」は先に発表されていたアパトサウルスと同じ恐竜であると結論づけられた。その結果、先に付けられた名前が有効という科学界のルールに基づき、正式名称としては「アパトサウルス」が残ることになった。
それでも1970年代ころまで、「ブロントサウルス」は「あまりに巨体だったので水の中に住んでいた」などというイメージ図とともに、児童向け書籍ではおなじみの恐竜だった。当時は頭骨が見つかっていなかったため、別の種類の恐竜をもとに復元図が描かれていたが、現在は正確なものに改められ、陸棲だったという新しい研究成果に基づいたイメージに改められている。
新たな研究では、ブロントサウルスは独自の「属」を構成し、アパトサウルスとは異なる恐竜だと結論している。「15年以上前だったらこうした研究は不可能だったろう」と、論文を発表したヌエバ・デ・リスボン大学のイマニュエル・チョップ氏は話す。
研究者は、アパトサウルスとブロントサウルスに似た恐竜についての最新の発見に基づき、アパトサウルスを含むディプロドクス科の恐竜の化石について調べた。その違いを計算していったところ、「ブロントサウルスとアパトサウルスには、近しい関係の別の属とされる程度の違いが十分にあった。種の間に見つかる違いよりも多かった」──と、論文の共著者でオックスフォード大学のロジャー・ベンソン氏は述べている。
こうして研究チームは、ブロントサウルスはアパトサウルスから区別するべきだと結論した。再び恐竜界の人気者に返り咲く日がくるかもしれない。
成果はオンライン論文誌「PeerJ」に発表された。
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