なにこれ使いづらそう
武器は使いやすさが一番です。
命を懸けて敵と戦うわけですから、武器がヘボかったせいで死ぬなんて報われません。
しかし歴史の中でいくつもの「使えない武器」が発明されては消えていきました。
今回はそんな「すごく使いづらそうな武器」を集めてみました。
1. ウルミ(インド)
ムチのようだけど、れっきとした剣
ウルミはインドの格闘技・カラリパヤットで使われる「柔らかい剣」。
振り下ろすとグニャングニャン曲がって、狙い通りのところになかなか当たらない。
素人が使うのはまず無理で、相当熟練しないとダメなようです。その武器の特性上、集団同士での会戦には向かず、1対1の対戦か、暗殺向きの武器です。
といいつつ、これでどうやって人を殺すんだろう。
そもそもカラリパヤット自体が演舞を主目的とする武術なので、殺傷能力よりもカッコよさ重視なのだろうと思います。
YouTubeにウルミの演舞があったので貼付します。
オッサンの顔が怖い。
Urumi, Flexible sword, Kalarippayattu, Martial art form - YouTube
2. ショーテル(エチオピア)
刃が極端に曲がったエチオピアの剣
古代エチオピアの剣で、握り手が極端に小さく刃の部分が婉曲に曲がっているのが特徴。
横殴りに叩くことで盾をかわしてダメージを与える狙いがあるのと、曲がった金属の方が直線の形状よりも切れ味があるからなのですが、ディフェンスが極端に苦手なのと、曲がり具合が大きいものは鞘に納めることができないので、めちゃくちゃ不便で使いにくいものでした。
当のエチオピア人からも不評で、飾り物にされることが多かったようです。
3. マドゥ(インド)
インドの格闘技 "マーン・コンブ" の主要な武器の1つ
マドゥは金属製の盾にシカやレイヨウの角が横に付いた武器。
中二病患者が考えたようなビジュアルですよね。
防御はもちろん、角を刺して相手を攻撃したり、角で敵の武器を受け止めてそのまま絡めとったり、いろんな使い方がなされます。
謎な武器がたくさん登場するインドの格闘技「マーン・コンブ」では主要な武器の1つです。
ちなみに、現代では動物の角を使用することは禁じられているので、金属の角が使われているそうです。
4. ハラディー(インド)
引用:taringa.net
士族階級・ラージプートのナイフ
7世紀~13世紀、インドの諸王朝はラージプートという士族階級によって支配されており、彼らが士族の証として携帯していたのが「ハラディー」と呼ばれるナイフ。
ハラディーは両柄に刃が付いており、刃はそれぞれ左右に曲がっています。
そのため使うのは非常に難しく、使うだけでなく携帯するのも難儀な代物で、そのようなものを持つラージプートが尊敬される身分であったということを意味する象徴的な武器です。
5. 火槍(中国)
殺傷能力も命中精度も悪い初期の火薬兵器
古代中国で使われた初期の火薬兵器で、竹筒に火薬と金属片を包んで入れ、火をつけて敵に向かって炸裂させるというもの。
初期のころはとくに精度が悪く、火薬がうまく炸裂しなかったり、思ったタイミングで炸裂しなかったり、あらぬ方向に暴発したり、殺傷目的ではあまり有効ではありませんでした。
ただ、一斉に放つことで馬や兵をびっくりさせたり、ひるませたりする効果はあったようです。
6. ツヴァイヘンダー(ドイツ)
とにかくデカくて重い剣
写真じゃ分かりにくいですが、このツヴァイヘンダーという剣は全長が1.8メートル、重量が3〜6キロ近くもある代物。
とにかく、デカくて重く、扱いづらいことこの上ない。運ぶだけで大変ですよ。
ツヴァイヘンダーを使ったのはランツクネヒトというドイツ歩兵。
パイク兵(槍ふすまを作って騎兵の突撃を防ぐ兵)をなぎ倒して騎兵の突撃を助ける活躍をしたそうです。
次第に使われなくなり、どちらかというと儀式や飾りのために使われることが多くなっていったようです。
以下の動画のツヴァイヘンダーは、178センチで重さは3,45キロ。
振り回すのにも相当大変そうですよこれは…
Zweihander / Bidenhander Sword First Training 178cm, 3,45 kg - YouTube
まとめ
インドのヘンテコっぷりが目立ちますね。
いかに効率よく殺傷するかでなく、カッコよさとか精神的な意味合いが強いとこういう摩訶不思議なものが登場してくるのでしょうか。
水戸黄門の印籠のようなもので、殺傷能力はありませんが象徴的な意味を持つ代物で相手を屈服させて戦う気をなくす。
日本人は武器の質の向上と、その質を磨く気質に精神的意味合いを見いだしましたが、民族によって武器に対して全く異なる意味合いを添加しており、面白いものですね。