IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社(所在地:東京都千代田区九段北1‐13‐5、代表取締役:竹内正人、Tel代表:03-3556-4760)は、企業におけるオープンソースソフトウェア(OSS)の利用実態調査結果を発表しました。本調査では、国内の企業および組織のIT部門を対象としたアンケート調査を2015年1月に実施し、1次調査で1,782社、2次調査で309社から有効回答を得ました。
1次調査では、自社の情報システムにおけるOSSの導入状況について調査を行いました。OSSを「本番環境で導入している」と回答した企業は31.5%となりました。さらに、「試験的に導入している」は5.2%、「導入に向けて検証している」は4.1%、「これから導入を検討する」は10.0%となりました。一方、「導入の予定はまったくない」は33.3%、「今後の予定は分からない」は12.1%となりました。産業分野別にOSSの導入状況をみると、「本番環境で導入している」が30%を超えているのは、通信/情報(39.2%)、公共/公益(37.6%)、金融(35.4%)でした。
さらに1次調査において、IT戦略におけるOSSの使用方針について質問した結果、「積極的に使用する」と回答した企業は12.1%、「適材適所で使用する」は31.3%となり、それらを合わせた40%以上の企業がOSSの使用に対して前向きな方針をとっています。一方、「明確な方針はない」が26.6%、「分からない」が9.4%となるなど、OSSに対する方針が不明瞭な企業も約3分の1を占めていることが分かりました。
2次調査ではOSSを使用している企業に対して、より詳細にOSSの利用実態について調査しました。その中で、本番環境で利用しているOSSの種類を調査した結果(参考資料参照)、Linuxが63.8%で最も高い利用率となりました。その他、アプリケーションサーバーのTomcat(39.5%)とJBoss(13.9%)、RDBMSのMySQL(26.5%)とPostgreSQL(13.3%)、運用管理のZABBIX(13.3%)、仮想化のXen(12.6%)とKVM(10.7%)、システムソフトウェアのSamba(29.1%)とOpenLDAP(15.5%)が利用率10%を超えました。ビッグデータ関連ソフトウェアのHadoopやNoSQL、クラウド基盤ソフトウェアのOpenStackやCloudStack、仮想コンテナソフトウェアのDockerなど最近注目を集めているOSSの利用率は低いものの、今後第3のプラットフォームにおいて活用が期待されます。
IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの入谷 光浩は「日々新しいOSSが生まれており、OSSの種類と活用領域が急速に拡大している。OSSを利用する最大のメリットは、コスト削減や最新技術だけではなく、エコシステムを活用できることにある。特に第3のプラットフォームはOSSのエコシステムがけん引している。ユーザー企業とソリューションプロバイダーはOSSエコシステムを十分に活用し、第3のプラットフォーム上で新たなビジネスを創出し競争力の強化を図っていくことが重要になる」と述べています。
今回の発表はIDCが発行したレポート「2015年 国内オープンソースソフトウェア市場 ユーザー利用実態調査」(J14390103)にその詳細が報告されています。本レポートでは、アンケート調査結果をもとに、国内ユーザー企業におけるOSSの利用実態について集計/分析したものです。OSSに対する方針、Linuxやデータベース管理システムの利用状況、クラウド基盤におけるOSSの採用意向、HadoopやNoSQLの採用意向などについて、詳細に分析を行っています。
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<参考資料>
OSS使用企業における主なOSSの利用率

n = 309
Notes:
・OSSを使用している企業が調査対象
・複数回答
Source: IDC Japan, 4/2015
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