前園真聖が愛される理由。「イジってもらって楽になれた」という松本人志との出会い、謹慎と今と今後を語る

浅野祐介 | 「Walkerplus」編集部

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愛される前園真聖。彼が今、実に面白い。レギュラー出演している『ワイドナショー』を始め、『めちゃ×2イケてるッ!』のスペシャル番組「トップアスリート抜き打ち期末テスト」で存在感を放ち、『ボクらの時代』で三浦知良、中田英寿との対談が放送されるなど、幅広いシーンでメディアに姿を見せている。

2013年10月の“タクシー騒動”から、約1年半。謹慎復帰後の活躍の理由はどこにあるのか? ずばり、本人に話を聞いた。

――まずはサッカーのお話しから始めさせてください。以前、日本代表のヴァヒド・ハリルホジッチ新監督、日本代表の注目選手について話をうかがいましたが、今シーズンのJリーグで注目しているチームはありますか?

湘南が面白いですね。個々の力ではJ1の上のチームには負けているかもしれないですけど、それでもどうやったら勝てるかというサッカーを確立しているので、それが日本代表につながるかはわからないですけど、ああいったチームが出てくると、今シーズンのJはおもしろくなるのかなと。決定機とか技術の部分でもう少し精度を上げれば、開幕節の浦和レッズ戦も勝てたかもしれないですし、今シーズンは2ステージ制なので、勢いに乗ると恐い存在だと思いますし、いろいろなチームと対戦する中で波乱を起こしそうな楽しみなチームですね。

――シーズン前の個人キャンプでカズさん(三浦知良)のもとを訪れていましたが、J2開幕節でスタメン出場。第6節のジュビロ磐田戦では今シーズンの初ゴールをマークしました。改めて感じる、カズさんの印象を教えてください。

開幕スタメンの後に、ちょうどお会いする機会がありまして、やっぱり、48歳の、ああいう選手が自分を高めてピッチに立っている姿から、逆に他の若手の選手は刺激を受けなければいけないと思いますし、そういう意味では素晴らしいお手本だと思います。僕なんかもずっとカズさんを見てやらせてもらってきましたけど、特に同じチームとか対戦するチームの選手はいろいろ吸収してほしいというか、当たり前にやっているようにみえるけど、今のうちに、カズさんが現役でやってくれている間にたくさんのものを吸収してほしいですね。

――プロですよね。

一緒にトレーニングをさせてもらっても、本当に妥協をしないし、それは僕が知っている若いころから変わらないですし、当然、体力や技術の衰えなど、うまくいかないこともあると思いますけど、モチベーションやマインドを維持し続けるというのは、サッカーを離れた僕もすごく刺激になるし、現役の選手にとってはより大きなチャンスだと思いますね。

――ここからはサッカーを離れた話です。メディア出演を自粛していた期間を、今、改めて振り返ると、ご自身にとって、どういう時間になりましたか?

すごく考える時間を与えてもらったと思っています。当然、そのときは「これからどうしよう」という明確なプランは正直、抱けなかったので、とにかく、一つひとつ、いろんなことをこなしていくことが大事だと思っていましたし、自粛の期間に改めて自分を見つめなおすというか、自分だけじゃなくて周りで支えてくれた人だとか、いろんな方のことを考えながら、自分にとっての大事なものが見えてきて、やっぱり自分一人でやってきたことじゃないということが確認できましたし、改めて周りの人に感謝する気持ちとか、それは今も全く変わらないです。そういう感謝の気持ちがなかったわけじゃないですが、薄れてしまうときがあったりとか、いいときに忘れがちになったりとか、たぶん人間はすると思うので、あの一件によって、自分を見つめなおして、大事なものが見えて、今はそれが自分の支えというか、忘れずにいられるのはありますね。なければ当然良かったですけど(苦笑)、本当にいろんな方が支えてくれたので、本当に感謝しています。

――1年ぶりにメディアに復帰する際、具体的なきっかけというものはあったんですか?

特に「いつから」というのは決めていませんでしたが、最初のメディアとしては、自分がずっとかかわっていたレギュラー番組で復帰させていただきました。でも、「本当に復帰していいのか」、「そういうタイミングなのか」というのは自分の中でもモヤモヤしていて、『ありがたさ』と『申し訳なさ』がずっとありましたね。

――やはり大きなきっかけとなったのは『ワイドナショー』かと思います。松本人志さんとのやり取りが話題になりました。この番組、という理由はあったのでしょうか?

ちょうどワールドカップ期間中でしたから、ワールドカップのコメンテーターとして呼んでいただいたときに、自分としては何でも一つひとつをこなしていきたいと思っていましたし、来る仕事がありがたいので、それは今でもそうですし、そういう気持ちがずっとあったので、やらせてもらおうと思いました。それが、こういうふうになるとは自分でもまったく予想していなかったです(笑)。でも、確かにあれがきっかけで、それまでスポーツ番組をやらしてもらっていたので、僕の中の復帰したときからの違和感というのはずっと消えなかったんですけど、逆にこの番組で核心をうまくついてくれたのが松本さんで、いわゆるイジってもらったというか、そこで僕の肩の荷が下りたというか、何か、すごく楽になったんですよね、僕自身が。あの番組に出られて良かったなと。こうなるとは思っていませんでしたが、あれでとても楽になれたと思っています。

――松本さんは、スタートからお酒の話題を振ってきましたね。

そうですね(苦笑)。ワールドカップの話をする前でしたから、でも、あれですごく楽になったというのが本音ですね。

――松本さんや東野幸治さんとの絡みなど、適度なイジりが前園さんの復活にもうまく機能しているように感じます。そうしたイジりをしっかりと受け止め、反省というスタンスを常に示している点も前園さんの復活の一因だと個人的に感じています。ご自身はどう感じていますか?

今でも変わらないんですけど、やっぱりこういう番組に呼んでいただくとか、奇跡というか、一年前を振り返るとそう思えるので、真摯というか、何でも素直に、何も飾らずに自分を出せるようになったのは、この番組のおかげかもしれないですね。

――みうらじゅんさんとの絡みも大変そうですね。

みうらさんは、もう「宇宙人」なので(笑)。僕もどう対応していいか分からないんですけど、これまではああいう方とも会う機会はなかったですし、みうらさんを含め、いろいろな方とお会いできるので、サッカーのことにも触れていただいて、ありがたいなと感じています。スポーツとは違うジャンルですけど、そこでサッカーを扱っていただいたり、いろんな人に会えるので、勉強になりますね。トークだったりとか、サッカー以外のことでも本当に勉強になります。

――『ワイドナショー』以前で、松本さんと接点はありましたか?

他の番組で、『ダウンタウンDX』とかでお会いしたことはありましたけど、番組の中だけですし、浜田(雅功)さんとお会いする機会のほう多かったですね。

――プロとして一流の方だと思いますが、松本さんの印象を教えてください。

一言で言うと「天才」です。とにかく、いい意味で期待を裏切るというか、予想できない答えが返ってくるし、「ああ、そういう考え方があるんだ」というか、もちろん芸人さんですけど、ちゃんとまじめな話があって、そこには独自のものの考え方があったりとか、そういうのはすごく勉強になります。なかなか芸能人の方とお会いして、まったく緊張しないわけではないですが、緊張感のある人は少なくて、でも松本さんはそういう人ですね。いい意味で読めないので、それはやっぱりすごいなと。僕も変にいいことを返そうとせず、考えつつも、出たとこ勝負でいこうと考えながらやっています。芸人ではないので面白いことを言えるわけではないですから、そこはイジってもらって(笑)。松本さんはそうは思ってはいないでしょうけど、僕はすごく安心するし、感謝していますね。収録は毎回、緊張感のある中で、楽しんでやっています。

――ずばり、前園真聖『復活の理由』をご自身はどう考えていますか?

僕自身は、復活したというか、やっぱり周りの人に助けてもらっているのは今もそうですし、いろんな人のおかげでやらせてもらっているので、復活というふうには思っていないです。人と人とのつながりだったり、そういうことがとても大事だと改めて感じています。素直に自分を表現していくというのを前提に置いているので、ちょっと前だと着飾ってしまったり、バラエティはちょっと苦手だなと思っていたりもしましたが、素の自分を出せるようになったことで僕自身も楽になれましたし、イジりやすくしてもらえたのもいいし、僕の気持ちとしては、感謝の気持ちを周りの人に向けて素直に出してやっていく、そういう思いですね。

――メディア復帰後、ファンの方や周囲の反応というのはいかがでしたか?

そんなに改めては言われないですけど、「面白い」とか、昔から僕を知っている人からは「キャラが変わったね」と言われたりします。僕もそういうふうになると思っていなかったし、新しい発見ではないですけど、そういうこともあるんだなと感じています。それはそれで僕は楽しいですし、これでずっとバラエティだけをやっているとストレスもたまってしまうかもしれないですけど、サッカーにも携われることをやらせてもらっていますし、そういう意味ではバランスが取れているのかなと思っています。

――今年2月、フジテレビ系列『問題のあるレストラン』にもご本人役で出演されました。ドラマ出演の感想はいかがでしたか?

ああいうのも昔の自分では声はかからなかったと思うし、ありがたく、楽しみながらやらせていただきました。ドラマの出演は『ワイドナショー』を見てくださってということでしたので、それがきっかけでしたね。

――上沼恵美子さんに、5年の恋愛は長いと厳しいコメントをいただいていましたね。「相手がびっくりするようなプロポーズをしなさい」と勧められていましたが、いかがですか?

それは考えてないですよ(笑)。でも、今までは隠さなきゃいけないことというか、そういうこともありましたけど、今は全部言えるような自分にもなっているし、そのスタンスは変えずに、これからもやっていきたいなと思っています。

――モーニングというお店から送られてきたというヨーグルトはもう食べられましたか? スイーツ好きとしても有名になってきましたね。

食べました。いつも食べているのとは違って、ネット注文のものとヨーグルトが違うんですけど、あとはレアチーズがすごくおいしかったです。でも、紹介をしたわけでもなく、番組でちょっと言っただけなのに、こうして送ってきてくれるのはうれしいですよね。スイーツ好きというのも、これまでも甘いものは食べていたわけですが、こういうタイミングで拾われていくんだなと感じています。そういうところを取り上げていただくのもありがたいですね。

――犬のアンジェロとミニ豚のセブンについて教えてください。前園さんにとってペットとはどんな存在ですか?

物心がついたころから犬と猫をずっと飼っていて、プロになってからもこっちでワンちゃんを飼ったりしていたから、ペットはとても大切な存在です。セブンは別ですけどね。まさかミニ豚を飼うとは自分でも思っていなかったので(笑)。ペットがいると落ち着くし、癒されるし、できれば2、3年後は千葉とか鎌倉に、芝生付きの庭がある平屋の一軒家、そういうところで暮らしたいなと計画を立てています。マンションを買ってしまったので考えなきゃいけないですし、現実的なことを考えると、仕事に通えるところとか、もっとがんばって、小さい古民家を買って週末をそっちで過ごしたりとか、そういうのは考えますね。田舎で育ったので、山とか川があると落ち着くんですよね。なので、がんばりたいなと思っています。窓とか玄関を開けておいて、セブンが外に行き来できるようにしたり。絶対いいなと。

――アンバサダーを務めている「アットホーム F5WC JAPAN」の魅力、こういう大会が存在する意義とは? 来年は中田英寿さんらを誘って優勝を目指すとドリームチーム構想を明かしましたが、ご自身の参加はいかがですか?

サッカーやフットサルがすごく普及して、プレー人口も多いですし、それぞれ大会もたくさんあります。ただ、これだけの規模で、いわゆるアマチュアの方が世界を目指す大会はなかったと思うので、公認ではないですけど日本代表として世界大会に出られる機会は貴重ですし、アマチュアの方はみなさん本当に楽しみながらやっていますけど、こういう大会は別格だと思います。大人になってから仲間と一緒に真剣勝負に挑んだりとか、その先に世界の舞台があるとか、そういうのはなかなかないと思うので、とてもいいことだと思っています。僕も引退してから、やっぱりサッカーでの真剣勝負の場で日の丸をつけるとか、ああいう興奮とかアドレナリンって得られる機会はなかなかないので、そういうものがアマチュアの方の中で存在するのはとても素晴らしいと思うので、本当に楽しんでやってほしいですね。

――来年はドリームチームで、というようなことも?

半年くらいトレーニングをして、メンバーもチョイスしてやらないと簡単に勝てないんですよ。レベルが高いですから。若い選手もいて、元Jリーガーの人もいて、簡単には勝てない大会なので、やるならちゃんとメンバーをそろえて、準備をしてやりたいですね。

――最後に、前園さんの今後のビジョンを教えてください。サッカーへの取り組みや、キャリアの展望についてお願いします。

いろんなメディアに出させてもらっていますし、それは変わらずやっていきたいと思います。よく「現場に戻らないのか」とか、サッカーファンの方から「監督をやってほしい」という声もいただきますが、今のところは、そのビジョンはないですし、「今、自分にできることを」ですね。ただ、今、自分がこうして番組に出させていただいているのも、肩書きの『元サッカー日本代表』があるからですし、それがサッカーの普及の一つでもあると思っています。子供たちの育成であったりとか、それが今は楽しいので、今の自分にできることをやっていきたいなと思います。今すぐ現場に戻れるかというとそうではないと思うし、いろんな選択肢を持ちながら常にサッカーにかかわっていきたいなと考えています。あのことがあったので、先がどうなるかは本当に分からないなと思っていますし、今の流れも予想外だったですし、4年後何をしているかもわからない。でも、今できることをやっていく先に、もしかしたらタイで監督をしているかもしれないし、そういう選択肢も持ちながら今を一生懸命にやっていきたいと思います。

浅野祐介

「Walkerplus」編集部

1976年茨城県生まれ。KKベストセラーズで『Street JACK』などファッション誌の編集者として活動し、その後、株式会社フロムワンでサッカー誌『ワールドサッカーキング』、サッカーサイト『サッカーキング』 編集長を務めた。現在は株式会社KADOKAWAに所属。「Walker」系のメディア事業を担当しています。

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