経済の死角

独占スクープ・インタビューカリスマ・ファンドマネジャー 清原達郎(タワー投資顧問運用部長) 手の内を明かす(下)

特集「株価2万円」その正体1

2015年04月06日(月) 週刊現代
週刊現代
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不動産はもう売った

かつては内需株をたくさん買いましたが、もう手は出しません。ゼロ成長の日本では内需はもうどうしようもありません。たとえば、ショッピングモールは一般的に減価償却を39年でやっています。しかし、田舎のショッピングモール周辺の人口がどれだけ減っていくかを想像すると、恐ろしくなります。おそらく、どこかの段階で数千億円レベルの減損に追い込まれる会社が出てくるでしょう。

百貨店もお客の高齢化でダメ。不動産もかつてはたくさん買いましたが、もう売りました。不動産はいつ空売りするか、という段階です。ただし、ジャパン・ホテル・リート投資法人はたくさん保有していて、現在もあまり売っていません。

ホテル業界は、訪日外国人が急増していることで稼働率がどんどん上がっています。稼働率が上がってきたことで、これまで団体旅行客に対して行ってきたディー プディスカウントもする必要がなくなってきました。ジャパン・ホテル・リート投資法人は自分たちがやっているホテルは2割程度で、あとはマネジメント会社に貸している。その契約更新があるので、まだまだよくなっていくチャンスがあると見ています。

そもそも内需企業は、規模のメリットを享受できるところしか成長はできません。たとえばゼネコン業界は、中堅2社が合併しても受注が2倍とれるわけではない。

一方で、派遣業界というのは規模のメリットが効きます。大企業はちゃんとした派遣会社としか付き合いたがらないし、契約を切られた時に次の契約先に人をはめこむために派遣会社はお客さんをたくさん持っていなければいけない。こうした事情から、派遣業界ではすでに中小の淘汰のされ方が半端ではなく、大きい会社がどんどん大きくなるという流れが加速しています。

さらに、円安時代に入って日本に仕事が戻ってきている。製造業の現場では需要が旺盛なので、派遣業界は構造的に伸びるチャンスもある。われわれがUTホールディングスに投資しているのはそのためです。

投資をする人へのアドバイスですか?個別銘柄では、まだみながその価値に気付いていない中小型株を探すことです。どんなに相場環境が悪くなっても、成長する中小型株はあります。長い目で見て、これから人口が減る日本社会でも必要とされると信じられる会社に投資をする。1社だけでは間違いもありますから、10社くらいに投資をする。5社伸びて、5社ダメになっても、中小型株ならたぶんプラスの成績になります。

ただし、すでにロングで儲かっている人は、もうそろそろ売り始めて、今後2年くらいかけて売りきっていくというのが正しい選択になると思います。日経225のようなインデックスファンドに投資をしている人も、2年以内くらいに処分したほうがいいでしょうね。

聞き手伊藤博敏(ジャーナリスト)

>>>「独占スクープ・インタビューカリスマ・ファンドマネジャー 清原達郎(タワー投資顧問運用部長) 手の内を明かす(上)」はこちら

「週刊現代」2015年4月11日号より


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