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【必撮・鉄マニアが見た風景】
阪堺電車/ハルカスが変えた景色
「あべのハルカス」が3月7日、オープン1周年を迎えた。日本一の高さ300メートルの空色のビルは、大阪市南部の景色を変えた。
阿倍野再開発の道のりは長い。着工は昭和51年。高層住宅とショッピングモールを兼ねたあべのベルタが完成したのが62年。その後20年以上をかけてルシアス(平成10年)やキューズタウン(23年)をはじめさまざまな施設がオープンし、人の流れは大きく変わり若者の集まる街になった。
それでもあべの筋から北を見れば、ぽっかりと開いた空間に空が広がる街の景観は画竜点睛(がりょうてんせい)を欠いていた。ハルカスの完成で、空虚だった空間が充実した。
松虫通(阿倍野区)の北側、阪堺電車が道路から専用軌道に入る直前の風景はヨーロピアンなたたずまい=写真(1)=で、最新車両「堺トラム」との相性もいい感じ=写真(2)。
専用軌道でも至る所で青い巨塔を見ることができる=写真(3)。聖天坂(西成区)では家並みの甍(いらか)の向こうにハルカスが浮かぶ風景の中、昭和3年生まれで日本最古の定期運用車両「モ162」が、ガタピシと音を立てて通り過ぎた=写真(4)。
キューズタウン付近から広角レンズで狙うと、圧倒的な高さに改めて驚かされた=写真(5)。
(文化部長 藤浦淳)