掲載日:2015年4月6日
世界銀行や欧米のITベンチャーなど世界を舞台にキャリアを積む一方、「いつかは日本に戻って働きたい」という思いもあった朝海さん。常に自らのキャリアを見つめ直し、努力を続けてきた朝海さんに、活躍し続ける中で感じた海外とのギャップや、ユニークなキャリアパス、働く女性に向けてのメッセージを語ってもらいました。
アマースト大学(米マサチューセッツ州)を卒業後
世界銀行に入社
民間企業の投資業務に携わる
米ボストンのITベンチャー企業にインターンシップを経て
就職 研究開発部門のアシスタントを担当
同社のロンドン支社に移り、エンジニアとして
プログラミング業務やコンサルティング業務を担当
帰国後、日本で転職活動をするも、再び渡英し、
ソフトウエア開発会社に転職
アクセンチュア株式会社 テクノロジー部門の
マネジャーとして転職
同社 戦略コンサルティング本部マネジング・ディレクターに就任
世界56カ国200都市に展開し、コンサルティング、デジタルサービス、テクノロジーサービス、アウトソーシングサービスを一貫して提供する総合コンサルティングファーム。女性のキャリアアップ支援活動 「Women’s Initiatives(ウィメンズ・イニシアチブ)」など、多様性を活かす組織づくりを積極的に進めている。
アメリカで大学に通っていたころは、途上国援助に興味があり、OBなど周囲に相談した上で最初の就職先に選んだのが世界銀行でした。途上国での民間セクター開発の技術支援をする部署に籍をおき、医療やIT関連などさまざまなプロジェクトに接する中で、次第にコンピュータサイエンスに関心を抱くようになっていきました。
私のいた大学は、新卒で入社した会社で2~3年働いてやりたいことを探し、その後、大学院に進む人が大多数でした。私もいずれは日本かアメリカの大学院に進むつもりでいたのですが、ある時知人から「マサチューセッツ工科大学(MIT)の教授が新しいITベンチャー企業を立ち上げるから、行ってみては?」と教えられ、ボストンにあるその企業のインターンシップに参加することにしました。
その企業は、当時としては画期的な発想で大学と協働しながらオープンソースのWebプラットフォームなどを作っており、インターンシップの経験が楽しかったので、そのまま就職しました。ところが、就労ビザの関係でロンドン支社に移ってまもなく、会社が倒産。クライアントを持ち、コンサルティングができるエンジニアとしてようやく一人前になってきた矢先のことだったので、自分のアイデンティティを喪失するほどの衝撃を受けました。
仕事を失うとビザも切れてしまう状態だったので余計に戸惑いましたが、当時の上司に「人生なんて、何度休んでもいいじゃないか」と言われたことで気が楽になりました。この経験で「自分のキャリアにオーナーシップを持つ」ことの大切さに気づくとともに、「おそらくこんなにゆっくりできる時間もないだろうから」とシベリア鉄道経由で2カ月かけて帰国し、日本で次の仕事を探し始めました。
日本で就職活動を始めてまず違和感を覚えたのが、年齢を伝えただけでいきなり「あなたは若手の未経験採用」とレッテルを貼られてしまったことでした。仕事内容も「英語ができるから通訳的な仕事を」「女性だから秘書的な業務を」というオファーが多く、これまでのキャリアを活かせず、ゼロに戻されてしまうと焦りました。
そうしているうちにロンドン時代の元上司から「戻ってこないか」という話があり、再びロンドンで働くことに。新しい会社は倒産した前社の業務をそのまま引き継いでおり、私も前職と同じ業務を担当しましたが、社内で昇進するに従い、いちエンジニアから人をまとめるマネジメントへとポジションが移っていったんです。だったらもっと大きな会社で、お客さまと向き合うコンサルティングを極めたいと考えるようになりました。
その一方で、日本の友人たちからしばしば「こちらで働かない?安全だし住みやすいよ」と言われていたこともあり、夏休みなどで一時帰国をするたびに、外資系やIT企業の面接を受けていました。今にして思えば「どのくらいのキャリアを積めば、年齢や性別ではなく、私自身の正当なキャリアを評価してもらえるのだろう」と、ころ合いを見計らっていたのだと思います。アクセンチュアの面接を受けたのも一時帰国中でしたが、休暇が終わりかけていたので一旦ロンドンに戻らざるをえませんでした。ところがその後、アクセンチュアの採用担当者がわざわざロンドンまで来てくださり、管理職でのポジションを再度オファーしてくれたのです。
後で知ったのですが、私を採用するにあたってどんなポジションを与えるべきか、社内でずいぶんと議論してくれたようです。IT分野の先端に携わっていたことや、やりたいことが明確にあり、自分の価値をしっかり伝えたことが評価につながったのではと考えています。
アクセンチュアではテクノロジーサービスのマネジャーなどを経て、2014年12月に戦略コンサルティング本部のマネジング・ディレクターに就きました。当社は自由度が高く、働きやすい環境です。外資系なのでドライというイメージが強いかもしれませんが、「人を大事にする」カルチャーが根づいています。例えばまったく面識のない社内の人に相談を持ちかけても親身になってもらえますし、悩んでいると「あなたと似た境遇の人がいるから、会ってみない?」と周囲がアドバイスをくれることも。会社自体がコンサルティングを得意としているので、相談されると放っておけないのかもしれません。
日本で働いて感じるのは、特に女性は自分を過小評価しがちで、すごくもったいないということ。「私はこれができます」と自分で思っている実力の1.5倍アピールするぐらいでちょうどいいのではないでしょうか。私はいつかおばあちゃんになった時に、孫と「おばあちゃん昔、こんなことをやってたのよ」「すごいね、おばあちゃん!」という会話をするのが夢です。今は国内外におけるスマートシティやスマートグリットのビジネスモデル化などに携わっていますが、私の孫の時代まで語り継がれる、インパクトのあるプロジェクトに携われたらうれしいですね。
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