ブランディング
意外と知らないマーケティングとブランディングの違い
- Apr 5, 2015
マーケティングとブランディング、この違いをはっきりと説明出来る人は意外と少ない。世の中の人々に知ってもらう事、そしてより良いイメージを持ってもらう事、それを達成する為に多くの企業がマーケティングとブランディングに注力している。特にこちらアメリカでは、国土が広い事もあり、簡単に営業活動を行う事が出来ない。そこで重要になってくるのが、マーケティングであり、ブランディングである。
本来この二つは本質的に異なる目的と戦略があるのだが、デジタル社会が非常に発展した今日の社会では、マーケティングの中にブランディングがあるケースや、ブランディングの中にマーケティングがあるケースも少なくないことからも、混合されやすい。
今回はbtraxでこれまで複数のブランディングとマーケティングに関するプロジェクトを通して蓄積した知識、経験を踏まえて、それぞれの違いや重要性について基本的なポイントまとめてみた。
30秒で分かるマーケティングとブランディングの違い
企業や商品の認知度を上げるのがマーケティングであれば、それらのイメージアップを行うのがブランディングである。一言で簡単に説明するとそうなるが、具体的な事例に当てはめてみると、その両方を兼ね備えたキャンペーンだったり、施策があり、意外と混合しやすい。
それでは、極単純に一般的な概念で考えてみた場合の、マーケティングとブランディングの役割、そしてその効果を説明する。出来るだけ簡単に分かる安くする為に、ここではあえてビジネスではなく、人間同士のやり取りを例としてあげる。そうすることで事で、より日常生活でのイメージが湧きやすくなる。
マーケティング vs ブランディング
上記の図では男女二人が会話をしている。男性が頭が良いというイメージをどのように伝わるかを、マーケティングとブランディングの手法を用いて説明している。男性が自分自身が頭が良いという事を”自己申告”するのが、マーケティング的手法であり、女性の方が何らかの理由で彼が頭が良いと思っている。
これは彼女がなんらかのブランディング施策を通じて得た彼のイメージとなる。情報を配信する側が直接伝えるメッセージと、受け取った側が自主的に感じるイメージの差が、マーケティングとブランディングの違いを説明している。
- マーケティング – 自分から自分のイメージを相手に伝える努力
- ブランディング – 相手に自分のイメージを持ってもらう努力
マーケティング vs 広告 vs PR vs ブランディング
それでは、上記に加えて、広告とPRの役割を含めて考えてみよう。広告はマーケティング施策の一つと考えられるが、より消費者へのメッセージ性が強い。従って場合によっては”ノイズ”として見なされるケースも少なくは無い。あまりに直接的に伝えすぎると受け取る側が引いてしまうという事態になる。
そこで、もう少し間接的で信頼を得やすい方法として、PR (広報活動)がある。PRとはPublic Relationsの略で、メディアやニュース等を通じて、第三者から消費者に届くような情報やメッセージを配信してもらう施策である。信頼出来る情報源からの情報であれば、より信頼してもらいやすいという事である。
ブランディング役割とその効果
消費者の心にイメージとして蓄積されていく企業価値
「今さら聞けないブランディングとは?」の記事でもご紹介したように、ブランディングは企業価値向上に直接関わる。そして、ここでいう企業価値とは、金銭や数値では簡単にはあらわしずらい、模倣不可能なものである。例えば、新型のiPhoneをスペックをあまり見ないでも無条件に予約したり、海外旅行にいってもなぜかマクドナルドに行ってしまうなどである。
こうした目に見えない、消費者の心にイメージとして蓄積されていくもの、心理的な企業価値がブランドであり、企業イメージやプロダクトに付加価値を加えることで、消費者に対してその認識価値を上げることがブランディングの役割となる。そして、ブランディングが強い企業では、割引どころか常にプレミアム価格にて顧客の継続低な購買の動機付けが行える。例) 高くてもヴィトンの限定財布を買っても良いと考える。
CMにおける芸能人の役割
ではどのように企業がブランドイメージを構築していくのだろうか?アメリカでは多くの場合、 その企業が持っているフィロソフィーや、商品が表現するビジョン等を表現する事が多い。例えばNikeのCMであれば、商品よりもアスリートにフォーカスされているのも、ブランディングを重視しているからであろう。
一方、日本では、例えばテレビCMで芸能人が用いられているのが一般的であるが、これは世界的に見てもかなりユニークな特徴である。これは、その企業が達成したいイメージに合った芸能人を起用する事で、外部の力を借りてブランド構築を行う、ブランドアソシエーションという戦略である -ブランドをビジネス価値に変換させる5つの構成要素【ブランディングの教科書 Pt.1】-。
マーケティングの役割とその効果
ブランディングが企業価値を向上させることを目的とし、企業の存在意義を定義するWhatの部分を担う。一方で、マーケティングの役割は、企業の価値(商品やサービス)をどのように伝えるのかというHowの部分である。
言い換えると、マーケティングは顧客へのリーチに直接関わるプロセス。決して本来のプロダクト自体の価値に影響を与えることなく、そのプロダクトをどうやって見せるか、どうやって顧客まで届けるか、どうやって潜在顧客を増やすかといった”部分にフォーカスしたものである。
市場をつくり、より多くの人々に広げるのがマーケティングの役割
そもそもマーケティングという言葉は、「Market(市場)」を動名詞化したものから来ている通り、”市場を開拓する”、”市場を作る”といった意味合いを自然と持つ。優れた製品や、企業の魅力をより多くのターゲット層に届けるのがマーケティングの役割。ヘンリー・フォードの名言”もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、我々は今頃速い馬車を作っていただろう”からもわかるように、もし既存の市場が無いのであれば、顧客のニーズを喚起し、新たな市場を作り出す事も可能である。
グローバル展開には強いブランドと優れたマーケティングが必須
Appleが初期のマッキントッシュのデザインを発注した際、スティーブ・ジョブスは”まるでSONYが作りそうなパソコンをデザインしてくれ“とリクエストしたという。これは、その当時 (1980年代前半)にSONYをはじめとした多くの日本企業が世界的にも優れたブランディングがされていた一つのエピソードと言える。しかし、30年以上たった今、残念ながら日本発のブランドはその当時ほどのプレゼンスは無い。
これは多くの日本企業が守りに入り,人々の注目を集め、心に響くようなブランディング戦略が取れていないことも一つの理由だと考えられる。加えて、それぞれの市場にふさわしいマーケティング施策も必要になってくる。日本国内で上手くいっている方法でも、海外ではあまり効果が生まれていないケースも少なくは無い。
実際に、btraxがクライアントに対して海外向けの施策を行う際には、国内向けとは全く異なるブランディング戦略とマーケティング施策を取る事が多い。心響くメッセージを世界の人々にとどけるには、ユニークなストーリーを元に、ソーシャルメディアや動画、イベント、デジタルマーケティング等を活用した施策を継続的に行う必要性がある。
筆者: Mao Kawashima / Growth Hacker, btrax, Inc.
Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.
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サンフランシスコに本社を構えるbtraxでは、それぞれのターゲット市場地域に最適なブランドメッセージを通し、グローバルマーケットにおけるブランド・エクイティの創出、プロモーションの達成、顧客獲得、ブランド認知度向上を目的としたグローバルブランディングサービスを提供しています。詳しくはこちらから。資料請求はお気軽にtokyo@btrax.comまでご連絡下さい。Like us on Facebook