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福利厚生、夫婦と同等に 性的少数者のカップル

渋谷区の条例成立を願って店頭に掲げられたレインボーフラッグ。LGBTを象徴するカラーだ=東京都渋谷区のラッシュジャパンの渋谷駅前店で

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 同性愛者や性同一性障害者ら、性的少数者(LGBT)が働きやすい職場環境を整える動きが民間企業で広がっている。同性カップルにも異性間の夫婦と同じように“結婚”祝い金を支給したり、育児・介護休暇を使えるようにしたりする例も。同性カップルに結婚に相当する関係を認める条例が、東京都渋谷区で1日に施行され、新たに取り組む企業も増えそうだ。 

 東京都港区の六本木ヒルズ。米金融大手の「ゴールドマン・サックス」が三月下旬、LGBTの学生を対象に開いた就職説明会には約四十人が集まった。

 「LGBTの人が自分らしく、最大限の力を発揮できる環境があります」。ゲイ(男性同性愛者)の社員(39)が語りかけた。当事者や支援者二百人でつくる社内グループ代表だ。

 同社は五年以上前から、同居一年以上の相手を「ドメスティック・パートナー」として届け出れば、同性間でも夫婦と同様の福利厚生を受けられるようにした。結婚、育児、介護などの休暇取得のほか、会社が契約する団体生命保険の受取人に指定することも。昨年末からは、働いていないパートナーの国民健康保険料の相当額を負担する制度も始めた。

 説明会は二〇〇九年から開始。参加者は増え続けており、広報担当者は「だれもが働きやすい職場を提供し、優秀な人材を獲得したい」と強調する。

 英国化粧品会社の日本法人「ラッシュジャパン」(神奈川県愛川町)は、LGBT支援に積極的で、今年一月から同性カップルにも結婚祝い金を支給し、結婚、介護休暇などがとれるようにした。採用試験のエントリーシートも性別欄をなくした。

 広報担当のゲイの男性(39)は昨秋、IT会社から転職。以前の勤務先では「なぜ結婚しないのか」「そっち(同性愛)系?」とからかわれたことも。ささいなうそが重なってストレスを感じ、同社に移った。

 人材紹介会社「ワイルドカード」(東京都新宿区)は昨年七月から、LGBTと会社をつなぐ転職支援サービスを始めた。会社は登録者の希望に沿って同社が開拓する。

 山野弘司マネジャー(33)によると、昨年末には、企業向けセミナーを開催。ITや広告、医療機器メーカー、デザイン系など約三十社が参加した。「今後は旅行や結婚式場、保険などLGBT向けの商品を検討する会社が人材を求めるケースも出てくる」とみる。

(山本真嗣)

 <渋谷区の条例>20歳以上の区内在住の同性カップルに、互いを後見人とする公正証書の提出などを条件に区が証明書を発行する。証明書があれば、家族向けの区営住宅に入居できる。区内の事業者には、LGBTに対する人事や職場で待遇など「一切の差別」を禁止する。

 

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