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新幹線の福井先行開業は可能か えち鉄高架化もネック

新幹線の高架にえちぜん鉄道が乗り入れるため、仮線工事が進む現場。福井先行開業に向けた課題の一つでもある=福井市日之出5で

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 与党が今夏までに可否の判断を示す北陸新幹線金沢−福井間の2020年度先行開業。九頭竜川、手取川の架橋工事をはじめ、ハードルは高い。福井駅周辺で進むえちぜん鉄道の高架化事業との調整もその一つ。本当に先行開業は可能なのか。

◆工程に余裕なく期待できず

 三月十九日に与党が東京で開いた先行開業の可能性を探る検討委員会。県が配った資料には、えち鉄高架化と新幹線事業の工程表とともに、こんな一文が記されていた。

 「新幹線高架橋工事の一八年十月着工と四年半での完了は、埋蔵文化財調査の前倒し完了と工事の急速施工が前提」

 どういうことか。「(金沢−敦賀間の)三年前倒しは頑張ればいける。ただ、決して余裕があるわけではなく、ギリギリの工程ということです」。県都市計画課の小川俊昭課長が解説した。

 現在、地上を走るえち鉄は九月から既に完成している新幹線の高架八百メートルを含む新幹線用地で仮線運行を始める。三年間で福井駅から福井口駅付近まで約三キロの高架橋工事や信号などの設備工事、検査を終え、一八年十月に高架運行を始める予定だ。

 「えち鉄が走るすぐ横の狭いところで工事をしないといけないので制約がある」と小川課長。同様に三・三キロを高架化したJR北陸線の場合は着工から開業まで約五年かかっており、工期短縮は難しいという。

 そうなると、新幹線高架橋の未完成部分に着工するのは一八年十月以降。設備工事に加え、試運転も必要となる。太田昭宏国交相は三月二十日の会見で「冬に二回走行実験をしたい」と発言。二〇年度に開業するには一八年度には工事を終えなければならない。

 そもそも橋やトンネル以外の工事では用地買収が大前提。県は用地取得に全力で取り組む姿勢を示し、職員を大幅に増やすが、福井市の担当者は「相手がいることだから、早くしたくても簡単にはいかない」と明かす。

 先行開業の議論に結論が出ていない現段階で県が目指すのはあくまで二三年春の敦賀延伸だが、それでも「ギリギリ」。工事を担う鉄道・運輸機構も「個別の工区における具体的な検討には至っていない」と慎重な姿勢を示す。

 三月二十日の会見で可否を問われた太田国交相はこう答えている。「言われたことは全力でやるというのが行政側の姿勢。まず決まった三年短縮を成し遂げなくてはならない」。現実的には極めて難しい福井先行開業。過剰な期待はせず、冷静に見守る必要がありそうだ。

(高橋雅人)

 

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