普天間基地問題に終止符を打とうとしている安倍政権
4月5日、ついに菅義偉官房長官と翁長雄志沖縄県知事の会談が実現した。翁長知事就任から5ヵ月近くも、安倍晋三首相と菅官房長官は無視していたが、ようやく菅官房長官が沖縄を訪れた。会談で菅官房長官は、アメリカ軍普天間飛行場を名護市辺野古へ移転することに対して、改めて理解を求めた。
これに対して翁長知事は、厳しい表情を崩さなかった。「辺野古移転絶対阻止」「沖縄発展の最大の障害であるアメリカ軍基地の追放」を公約に、昨年11月に県民の圧倒的支持を受けて当選した翁長知事としては、当然だろう。
なぜこの中国のコラムで普天間基地問題の話を述べるかと言えば、後述するように、第一にこの問題を中国が注視していること、第二に近未来の日中関係に大きな影を落としてくることが見込まれるからである。
そもそも普天間飛行場の移転問題は、1995年9月に起こった米海兵隊員による痛ましい沖縄女児監禁レイプ事件がきっかけとなっている。以来、すでに20年も迷走している。2009年9月に発足した鳩山由紀夫民主党政権は、「最低でも沖縄県外移転、できれば日本国外移転」と発言したことで、アメリカの逆鱗に触れて崩壊したというのが定説になっている。
いまの安倍政権は、この長年の懸案事項に終止符を打とうとしている。2013年12月には、当時の仲井間弘多知事の説得に成功。今年3月12日には、辺野古で海岸埋め立てのための事前調査を開始した。
安倍政権の政策は、一見すると行き当たりばったりのように見えるが、なかなか用意周到に進めている。そもそも政府とは用意周到に政策を進めていこうとするものだが、人災や天災などで、常に変更を余儀なくされる。その点、安倍政権には強力な野党もなく、自民党内の反対勢力もなく、反体制メディアの朝日新聞や『報道ステーション』も、すでに骨抜きにした。ということで、2年前からの「計画」に沿って、まさに菅官房長官の口癖ではないが、「粛々と進めている」わけである。
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