中央線沿線には魔が潜む。
大槻ケンジ、くるり、リリー・フランキー――中央線沿線には面白さの沼がある。それがどんな発端からそうなったか知らないけれど、僕のような小さいが個性的な店が好きな人からすると抜けられない面白さがあるのです。
中野、高円寺、阿佐ヶ谷。荻窪、吉祥寺、そして西荻窪。中央線沿線には本屋が多い街がたくさんありますが、西荻窪は尖がった店の多さでいえば間違いなくNo.1なのです。
そんなわけで西荻窪にどんな本屋・古本屋があるのかまとめてみました。本記事を読んでぜひとも西荻窪に遊びに行って頂ければと思います。
西荻窪は大きく分けて北口と南口に分けられます。とはいえ駅を挟んでいるだけですが、強いて言えば北口の方が落ち着いた街並みだというくらいでしょうか。どちらも小さなお店が多いので僕にとってのメシウマ感が半端ないことに違いはないのです。北口にはよい本屋が点在しています。
西荻窪駅北口を出て左手に曲がるとすぐ目に入るのが今野書店。「街の本屋」というイメージの外観ですが侮るなかれ。しっかりとした品ぞろえです。
店舗入ってすぐのスペースに人文コーナーが設けてある辺りは素晴らしいの一言ですが、ほかの本も網羅的にそろえており、地下にはコミック専門フロアまで。こんな本屋が駅前にあるだなんて。西荻窪住民は良いですなあ。
今野書店を左手に歩いてすぐ右に曲がります。こんなところに店があるのかと疑いたくなるような住宅街を進んでいくと現れるのがbeco cafeです。
とにかく素敵なブックカフェでドリンクも美味しければ蔵書も素晴らしい。奥にある座敷コーナーなどは一度入ったら出てこれないのではないかと危惧(きぐ)するほどの居心地の良さです。一部の本は購入することができます。実はお客さんの本棚でもあるのです。本屋好きの先輩、空犬さんの本だったり、ある読書家の蔵書「かえる(買える)ライブラリー」であったり。いつまでも居たくなるブックカフェ。それがbeco cafeなのです。
今野書店のある通りの路地にちらりと目に入る「古書」の文字。そうです。そこがかの有名な「古書音羽館」です。
品ぞろえと良心的な値付けで有名な同店は評判の通りの素晴らしさ。文学、漫画、アート・デザイン、人文などに新刊の扱いも若干ながらあり、絶妙な照明と空間づくりのためか隠れ家的な雰囲気も漂わせておりたまりません。
またまた今野書店ロードに戻り、北東に進みます。道沿いに可愛らしいフォントで書かれた「旅の本屋のまど」の文字が。旅の本専門店とはここのことでございます。
いわゆる旅行書だけではなく幅広い観点から店主が「旅」を感じた本を置いているこの本屋。1時間ほど本棚を見て回るだけで旅した気分になれるかも?
さらに北東に進みますと右手に素敵な名前の古本屋が。「古書 花鳥風月」。こちらはいわゆる普通の古本屋です。一般書が多めの店内は広いこともあってそれなりの品ぞろえ。気軽に寄れる古本屋ですな。
いったん駅の北口まで戻り、目の前にあるカラオケ館脇の道を進みます。このような路地にこそ西荻窪の真骨頂があると個人的には考えておりますが、しばらく歩くとオシャレな感じの古本屋が見えてきます。「TIMELESS(タイムレス)」です。
『ガロ』や絵本、アート、写真、文学といった品ぞろえ。印象は「ライトなサブカル」といったところでしょうか。それでいて上品な雰囲気なのが素晴らしいのです。
路地から離れてメインストリートに戻ります。商店街のような通りの中にある街の本屋的本屋が「颯爽堂」です。新刊書店が北口に2店もあるなんて本屋好きのためのような駅ですな。西荻窪は。
店舗に入ってすぐの場所で「挿絵・装幀で選ぶ、文庫フェア」が行われていたり、人文書が店舗右手の目立つ場所に並べられていたり、岩波や筑摩の文庫もしっかりあったりなど素晴らしくしっかりした本屋であります。良識を感じます。
メインストリートを南下して駅前まで戻ります。線路沿いを東に向かってしばらく歩くと左手に「昔ながらの古書店」といった雰囲気のお店です。
時代を超越したようなたたずまい。店舗内は雑然とした書庫のような感じです。店頭に並んでいた『錆びた言葉』という本の装丁があまりにも素晴らしいので購入してしまいました。ほとんどが見たことのない本ばかりで、もしかしたらお宝が見つかるかもしれません。
北口と比べると南口の本屋は数が少ないですが、個性的な本屋がしっかりとあり、これがまたどれも素敵なのです。
比良木屋を左手に見ながらまっすぐ進み交差点で右折。線路を超えてまた交差点で左折。南口側の線路沿いを西、つまり駅の方に進みます。しばらく進むと小さい古本屋。油断していると見逃しそうなお店があります。そこが「にわとり文庫」です。
品ぞろえはコミックや日本・海外小説、猫とこけし、洋酒天国の豆本、本屋本も見たことないものがあり、なかなかに渋い品ぞろえです。
線路沿いから離れて路地を南下します。すると次の通りに出たところに「待農堂」はあります。珍しいキリスト教書専門店です。結構広い店内に新刊・古本を取り混ぜてすべてキリスト教関連書ばかり。こんなにあるなんて、びっくりです。
通りを西に行くと左手にデイリーマート。この脇道を曲がります。まっすぐ行くと新古書店らしい風ぼうの「ねこの手書店」です。名前がユニークですね。新古書店ですが意外と品ぞろえが良いので寄ってみたくなってしまいます。
ねこの手書店を出たら左にまっすぐ南下すると次の通りに出ます。出たところで右折。北東に向かって歩くとかの有名書店「信愛書店」に出会うことができます。
このお店。2015年12月から本屋ではなく、セレクトされた新刊・古書、紙雑貨や杉並区立松庵小学校の洋品を扱う shop en=gawa とオープンギャラリーにも使えるコミュニティスペースとなっています。
サイトを見ますとリニューアル後も素敵な雰囲気ですね。
何店も紹介してきましたがついに最後です。なぜか見つけることができなかったのですが西荻窪には「盛林堂書房」(東京都杉並区西荻南2-23-12)があります。見つけられなかったので写真はなし。ぜひご自分の目で確かめてください。
こうやって紹介してきて驚きましたが西荻窪には14店もの本屋があるようです。これは素晴らしい。西荻窪は本好き本屋好きにとっての楽園、ユートピア、メッカだということでございます。さらに小さくてイケてる店が本屋以外にもたくさん。次に住むなら西荻窪に決定であります。
本屋開業を目指す本屋好きサラリーマン。ブログ「BOOKSHOP LOVER」を中心に活動。同名のネット古本屋も営み、「Cannes Lions 2013 Book Project」ではプロデューサーを務める。理想の本屋さんを開くべく本の世界で縦横無尽に活動中。好きな作家はクラフト・エヴィング商会。一番好きな本屋は秘密。
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