雇用の質が改善しつつある。パートや派遣など非正規社員は2月に1974万人と前年同月より15万人減った。マイナスは月次データをさかのぼれる昨年1月以降で初めて。正社員数の伸びも最大になった。人手不足が深刻になるなかで企業は正社員への転換を進めている。個人消費の押し上げにもつながりそうだ。
総務省が27日まとめた2月の労働力調査によると、完全失業率(季節調整値)は3.5%と、前月から0.1ポイント下がった。就職が進んで2カ月ぶりに改善した。職を探す人1人に対する企業の求人数を示す有効求人倍率も、1.15倍と0.01ポイント上がった。22年11カ月ぶりの高水準だ。
働く人にとっては仕事を見つけやすい一方、企業から見れば採用が難しくなっている。そのため待遇を改善して人材を囲い込もうとしている。
非正規社員の数が前年実績を下回るのは四半期の統計でさかのぼっても2012年4~6月期以来だ。14年初めは前年比100万人ペースで増えていたが、足元では伸びが鈍ってきていた。
非正規社員の増減を年齢別に見ると、15~24歳(18万人減)、25~34歳(11万人減)、35~44歳(11万人減)で大きく減った。男女別にみると、男が14万人減、女が1万人減だった。
正社員の数は3277万人と58万人増えた。増加幅は14年1月以降では最大となった。45~54歳で29万人増えたほか、15~24歳(10万人増)など若者でも改善が目立つ。企業が人材を確保するために正社員の求人を増やしたり、非正規から正社員への転換制度を設けたりしている。
国税庁によると、正社員の平均給与は年473万円と非正規(168万円)の2.8倍だ。正社員が増えれば、「収入が増えて雇用も安定するため、消費の押し上げにつながる」(ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長)。
ただ2月の実績を見ると、65歳以上の非正規社員は265万人と36万人増えた。子育てが一段落した45~54歳の女性でも非正規が7万人増えた。シニアや女性はパートなどで働くことを望むことが多く、今後も増加が見込まれる。非正規社員全体の数の急増には歯止めがかかっているが、「今後もマイナスが続くかどうかは不透明」(総務省)だ。
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