YU@Kの不定期村

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なぜ特撮ファンは毎年春の大戦映画を観に行きまた同じように憤るのか

2015-03-23 12:42:11 | 特撮



こんにちは、YU@K(@slinky_dog_s11)です。
最初に断っておきますが、この記事は完全なる愚痴です。面倒臭い特撮オタクがブログに愚痴を吐いているのです。それをご承知の上で読んでいただければと思います。

さて、先日「スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号」が公開されました。例年のように公開日初日初回で観に行きました。上映中ずっとウンチク語りをしているコスプレオタク集団がいてかなり不快な思いをしたのですがそれは置いておいて、問題は肝心の映画の中身です。まあ、「白倉伸一郎プロデュース」で「米村正二脚本」という時点で想定内ではあったのですが、正直かなり酷い内容でした。

表題の新キャラクター「仮面ライダー3号」は、問題なくかっこよかったです。ニヒルでクールで、抱える葛藤も背景のドラマもそれなりに魅力的で、何より演じる及川光博が脂乗せまくったノリノリ演技を披露してくれるので、とても観ていて楽しかったです。扮する黒井響一郎が何かするたびに黒い羽が舞うという一見するとギャグのようにしかならない演出も、ミッチ―がこれでもかと貫禄の演技をする訳で、普通にかっこよく観えるという…。

ただ、魅力はそれだけ。主に脚本が、もうこれでもかと酷いものです
物語の主人公というか、進行役、または観ている側に近いポジションのキャラクターがストーリーの進行によって出たり入ったりするため、誰に感情移入して良いか分かりません。場面優先・演出優先でキャラクターが動くため、辻褄の合わないことが盛り沢山。そのシナリオのギミックも要素も過去の同枠「〇〇大戦」シリーズの焼き増しでしかなく、柴崎監督の演出もメリハリに欠けており痒いところに手が届かない。過去シリーズの名台詞を何の積み重ねも無くキャラクターに言わせるのが盛大に薄っぺらくて仕方がありません。観ていて頭が痛くなるとはまさにこの事で、まさかあの伝説の「仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦」に勝るとも劣らない大惨事が再び観られるとは思いもしませんでした。

むしろ、“整合性や展開は大惨事だけどキャラクターだけは魅力的”という「仮面ライダーカブト」から続く米村正二の個性そのままの結果と言えばそうなのですが…。





そして、毎年同じようなモヤモヤにぶつかるのです。「なぜ観に行くのか」「なぜ毎年こうなる事は分かっているのに観に行って怒るのか」。まんまと毎年観に行っている自分でさえ時に自問自答したくなりますし、ネットでもそういう声を沢山見かけます。それも特撮ファン・仮面ライダーファン以外から「なぜこの人たちは毎年観に行ってお決まりのように憤っているんだ…」という同情とも疑問ともつかない声を投げかけられる事もしばしば…。

また、ファンの間でも「そうやって観に行ってお金を落としているから毎年こうなんだ」「後でどれだけ批判を叫ぼうが観に行ってお金を払っている以上は東映の思う壺だ」「ファンが甘やかすからいけない」という声が上がるのが毎年の事で、その界隈が殺伐とするのがここ数年春の風物詩となっています。

多くのファンが同じだと思うのですが、このジレンマに、「なぜ観に行くのか」という問いに対する答えをひとつに集約するならば、それは「仮面ライダーが(東映ヒーローが)好きだから」以外にはありません。





その理由の1つに、純粋に期待している部分もあります。

春の大戦映画は毎年大惨事と言われて久しいですが、例えば私は昨年の「平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊」は結構好きだったりします。相変わらずシナリオは酷いのですが、監督が金田監督から柴崎監督に変わった事もあり、創意工夫の効いた絵作りは結構新鮮でした。個人的に好きなファイズに尺が割かれていたのも大きいですが…。その前年、よく酷評される「仮面ライダー×スーパー戦隊×宇宙刑事 スーパーヒーロー大戦Z」も、私としてはその更に前作よりは改善点が見られたので印象は良いです。この2作についてはBDを買っていて今でもよく見直します。
世紀の問題作「仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦」から毎年毎年、実は少しずつ良くなっていたんです。あくまで体感的にというか、私の感想ですが。まあ、良くなっていったというより“マシになってきた”という方が正しいのかもしれません。それで少しだけ油断していた面もあるんですよ、今年は。まさか完全にぶり返すとは思いもよらなかったですが…。

理由の2つ目は、正直に言いましょう、投資です。

仮面ライダーというコンテンツが好きだから、続いて欲しいから、それに対してお金を払っているんです。それ以外の何でもありません。例えそれが茨の道でも、数年に一度、見応えのある作品が出てくるのです。Wの夏映画やMEGAMAXといった、多くのファンに喝采を持って迎えられる作品が無い訳ではないのです。だから、コンテンツやシリーズへの投資として、映画鑑賞料金を払っているのです。傑作も、クソ映画も、まずは“製作”されないと話になりません。文句を言いながら、血を吐きながら、税金を納めているのです。ファンが出来る最大の応援は、ネットで絶賛意見を広める事でも、毎週の放送を欠かさず観る事でもありません。そのコンテンツに対し、お金を払う事なのです。

理由の3つ目は、ちゃんと批判したいからです。

観てもいないのに「春映画はダメだ〜」なんて、私は口が裂けても言いたくありません。お金を払うからこそ、文句が言えるというものです。“政治に文句が言えるのは選挙に行った人だけ”という論旨と同じです。特撮に限らずオタクは歪んだプライドを持っているもので、好きなコンテンツや付き合いの長いシリーズだからこそ、真剣勝負がしたいのです。その作品とちゃんと向き合って、その上で感想を抱きたいのです。だから、毎年観に行った後に批判を並べるだろう事は分かっていながら、映画館に足を運ぶのです。

結局は「そのシリーズが好きだから」観に行くんです。誰にどうこう言われても、好きだからしょうがないじゃないか。一縷の希望を胸に抱き、戦況の良くない戦地に赴く兵士の気分で毎年春に映画館に行くのです。





もっと言うと、そもそも東映の製作サイクルというか体質の問題もあるのですが、正直私は脚本の米村正二に同情こそあれど擁護は一切できないと思っています。キャスティングがギリギリだったとか、彼の速筆っぷりが唯一頼りにされているとか、分かります、分かりますよ、その背景は。白倉伸一郎の方々でのインタビューも読んでいます。でも、そんな次元じゃないでしょ、もう。脚本書き上げて入稿する前に一度でも、30分でも読み返したのか、というレベルですよ。せめて少し台詞を変えれば、ちょっとでも手直しすれば、沢山の粗が減っていくらかマシになるのではと、素人目にもそう見えて仕方ないんですよ。それ程までに大参事なんです。製作環境という言い訳はもう通用しない酷さでしょ。一応プロとしてお金を貰って書いている以上は、もうちょっと、もう少しだけまともな脚本にしようと気を配っても良いんじゃないでしょうか。(勿論、現場で変更やアレンジされた点もあるとは思いますが

ラーメン屋に行って注文したらふやけて伸び伸びの麺が出てきて「いや実は今日仕入れでバタバタしてて店のコンディションが悪かったんで勘弁してください」って言われても私は納得できないですよ。しかもそのラーメン屋もう何年やってんだ!っていう。

文句を言いつつも観に行くファンの面倒な心理は、こういう事なのです、多分。少なくとも私の血反吐マラソンの理由は前述のとおりです。


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【過去記事】
仮面ライダー4号にみる“THE”シリーズ復権の兆し 〜東映・白倉伸一郎の思惑を量る
カクレンジャーから続く忍者戦隊の系譜 〜「人に隠れて悪を斬る」から「忍びなれども忍ばない」へ
予告解禁「仮面ライダー4号」、その本気度に見る新ブランドへの展望
ジャンル:
投資
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