ソニー:PS4を中国で発売-機能やソフトで制約もファンが支持 (1)
2015/03/20 13:26 JST
(ブルームバーグ):ソニー の据え置き型ゲーム機「プレイステーション(PS)4」が20日、中国市場で発売された。提供するゲーム数は少ないが、同社は政府規制から14年ぶりに開放された巨大ゲーム市場に「四公主」(PS4の中国語愛称)で挑戦する。
四公主の見た目はPS4と変わらないが、一部機能が制限されている。PS4は自分がプレーするゲーム画面をソーシャルメディアに投稿できるのが特徴だが、ネット規制の厳しい中国では動画をユーチューブに投稿することも、ゲームの感想をツイッターに書き込むこともできない。当局の承認を得たゲームのタイトル数もわずか6本だ。日本のPSストアには200本以上のタイトルが並ぶ。
昨年1月に中国のゲーム規制が解除されて以降、既に米マイクロソフト が「Xbox One(エックスボックスワン)」を投入しており、ソニーはこれを追撃することになる。パソコンやモバイル端末での廉価ゲームに慣れた消費者を専用機市場に呼び込めるかも課題だ。
発売初日、北京のソニーショップには行列ができた。開店3時間前から並び一番乗りでPS4を購入した学生のアレックス・リュウさん(21)は購入したばかりのPS4と携帯型ゲーム機PS Vitaを手に満面の笑みを浮かべた。「ソニーを支持するために来た。ソニーはきっと来年以降もっと多くのゲームを提供してくれる」と話した。リュウさんはすでに海外版のPS4を持っているという。
共有機能ソニー ・コンピューターエンタテインメントジャパンアジアの中国戦略部長、添田武人氏はブルームバーグの取材に、中国版PS4にも共有機能があるが、発売初日から利用できるオンライン機能は有料会員サービスの「PSプラス」など一部に限られると説明した。共有機能については現地のソーシャルメディアと「手を組んでできるか、いろいろと話をしていきたい」と話した。
中国ではチャットアプリのLINEに類似する微信 (ウィーチャット)やツイッターと似た微博 (ウェイボー)などが浸透している。動画共有サービスに対する規制は一段と厳しく、添田氏は「中国の規制を少しずつ勉強しながらやっている」と述べるにとどめた。
ジェフリーズ・グループのシニアアナリスト、アツール・ゴーヤル氏は、収益はハードウェアではなくゲームソフトから上がっているとし、海賊版の問題がある中国ではデジタル配信が唯一の道だと述べた。
米調査会社IDCのゲーム業界アナリスト、ルイス・ワード氏は、13億人の中国市場の可能性は大きく、1%を獲得するだけでもソニーにとっては最大の市場となるとコメントしている。
中国ゲーム市場IDCの予想では、中国のゲーム市場は2017年に220億ドル(約2兆6000億円)規模に成長する可能性がある。ただ現状は、今年にエックスボックスワンとPS4合わせて同市場で100万台売れれば上出来だとワード氏は予想する。
付属品のカメラが付かないPS4の販売価格は2899元(約5万6000円)で日本の販売価格3万9980円(税抜き)より高い。中国の政府統計によると、同国都市部労働者の手取り平均月額はわずか2400元、農村部では874元で、PS4は高根の花。
添田氏は、まずはゲーム機の発売に注力するとした上で、「ハードの普及はあくまでも指標の1つ」だとし、将来的には中国発のさまざまなタイトルが発売されるようになることが重要だとの考えを示した。
20日発売のゲームタイトルは「KNACK(ナック)」、「レイマン レジェンド」、「トライアルズ フュージョン」(いずれも日本語名)などグローバルで展開しているタイトルの他に、中国の制作会社の作品「Mr.Pumpkin Adventure」など。
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更新日時: 2015/03/20 13:26 JST