激しく動いても「古傷」は全く気にならなくなった。プロを目指してスポーツ推薦でサッカーの強豪、神戸弘陵高に入った大隅育志(なるし)さん(17)は現在、夏の高校総体に向けて練習に励む。ただ、けが予防のために毎日の風呂上がりのストレッチは欠かさない。

 6歳からサッカーを始めた。地元のクラブに所属していた小学3年生の冬、練習中に右ひざに痛みが走った。「すぐに治る」と練習を続けたが、数日後、今度は激痛に襲われた。病院で検査を受けた。

 医者は、ひざのX線画像を見ながら告げた。「軟骨が傷ついている。サッカーはしばらくできない」。画像には白く写った骨に薄い線が映し出されていた。診断名は「離断性骨軟骨炎」。成人より軟骨の成分が多く、まだ骨が弱い成長期の子どもに起こりやすい障害の一つ。強いキックや急な方向転換を繰り返すことでひざに負荷がかかり、関節の表面から軟骨のかけらがはがれ落ちてしまう。