クルーグマンの3月9日のブログの翻訳です。

二つの大きな景気後退後の需要政策
Demand Policies in Two Big Resessions


 雇用の成長がやっと深刻な不況の後に期待される状態になるにつれ、すばらしいレーガン時代のようにV字回復を遂げることができなかったのは、オバマの反資本家的な政策のせいだ、という意見は聞かなくなった。しかし、回復に時間がかかったのは事実だ。なぜだろうか?

 もちろん、答えはずっと前からわかっている。名目金利にはゼロ付近から下がらないという限界があるおかげで、金融政策には限界があったからであり、財政赤字に対する不安と共和党の反対のために、財政政策にも限界があったからだ。しかし、単純なグラフで示すことは有益だろう。実は、授業のためにいくつかのグラフをまとめていたのだが、それは他の人にとっても有益だろう。どちらの景気後退でも、ビジネスサイクル(景気循環)のピークから比較することにしよう――そのピークは、レーガンにとっては1981年の7月(そのため、1979-80年の景気後退は無視する。通常、79-82年を一連の出来事として扱うのが普通なのだが)、オバマにとっては、2007年の12月だ。

最初の図は、金融政策に関するものだ。

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フェデラルファンドレート




 81-82年の景気後退と、2007-09年の景気後退では、原因がまったく別だ。81-82年の景気後退の原因は、高いインフレ率を抑えるためにFedによって実施された金融引き締めのためである。したがって、金利にはまだ下げることができる余地があった(また、それまで住宅需要が封じ込められていたため、住宅需要にも伸びる余地があった)。いっぽう、2007年からの景気後退の原因は、民間部門の超過債務のためだった。金利とインフレがすでに低くなっている状態で、不況に突入した。そのため、金利とインフレにはカットする余地がなかった。もちろん、僕はこうなると予想していた

 2番目の図は、財政政策に関するものだ。
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実質政府消費支出と投資



 この図は、予想していなかった。しかし、意味は明白だ。金融政策が効果の点で抑制されているときには、財政政策も抑制されてしまうのだ。実は、レガノミクス (Reaganomics) はかなりケインズ的だったのだ。一方、レガノミクスから発展したその最新版のベイナノミクス(Boehnernomics, John Boehner) は、反ケインズ的だったのである。

これが回復が遅れた原因である。